プロローグ
フワリと、カーテンが風になびく。窓からは太陽の陽射しが差し込む。
僕は今、ベッドの上にいる。周りには空の花瓶くらいしか目立ったものが無い。明日、やっとここから出られる。荷物は既に両親に運んで貰った。
ここにいたのはいつからだっただろう。もう記憶になやいや。あるのはここでの記憶と、君との記憶だけだ。
君とであったのは一年前だったね。本ばっかり読んでいた僕に、積極的に話しかけてきた。君と関わったことで、本を読んでも分からないことをいくつも知れた。君は誰よりも明るく、誰よりも優しかった。しかし、そんな君はもういない。いや、会えない。
君は、僕にとっては恩人であり、かけがえのない一番の親友。
別れの時、君と僕は三つの約束をしたよね。
『一つ、ここを元気になって出ること。』
果たせた約束が一つ。
『二つ、また再会しよう。』
もう果たせない約束が一つ。
そして、これから先果たしていく約束が一つ。
『三つ、ーーー』
この約束が、君からもらった数少ないもの。
最後の約束。絶対に果たしてみせるよ。だから、最後まで僕のことを見守っていてくれ。
それが、僕にとっての君への恩返しだ。
「花はただ咲く ただひたすらに。」
この言葉が、最後の君と僕との約束の第一目標だと僕は思う。