ど?-600. 俺、コレが終わったら……
どうでもいいが、アルーシア(新)にとって
“はい”は肯定、“いえす”は否定の意味である。……原因、レムにそんな嘘を教えられたから。
「……ふー」
「……?」
「やれやれ、ようやく静かになったぜぃ」
「……(じー)」
「? どうかしたか、アルア?」
「……怪我」
「怪我? ああ、あの程度なら一晩寝れば治る」
「……?」
「ふっ、俺は頑丈さにも定評が……てか気が付くとこれだけ丈夫な体になってました、はい。ヒトってさ、思ってるよりも逞しいんだよ、アルア」
「……?」
「分からない? まあ分からないならそれでいいと俺は思う。うん、こんなこと分からないに越した事は無いし」
「……(こくん)」
「でも……随分とまあ、静かになったなぁ」
「……(こくん)」
「あれ以来、つかクゥワが拉致られて以来、皆さっぱり宿に来なくなった……つか、美形か? やはり美形が正義なのか?」
「……(じー)」
「あ、アルアはどう思う? やっぱり美形は正義か?」
「……(ふるふる)」
「だ、だよな! 男は顔とかじゃなくって、心だよな、心」
「……?」
「え、なに、その反応?」
「……?」
「……ま、まあアルアが言いたい事は何となくわかる気がする。つまり自分で自分の自慢しちゃいけないって事だよな、うん。分かってる」
「……???」
「……」
「……?」
「よ、よし! けど俺はこんな事じゃめげてないぞっ。第一、アルアと二人っきりでいられる時間が増えたと思えばむしろ儲けものさっ、ああそうだよッ!?」
「……(じー)」
「べっ、別にあんな野郎に女の子を取られて悔しいとか、全然思ってないんだからな!」
「……(じー)」
「……ぅ」
「……(じー)」
「――御免なさい、めっちゃ悔しいです」
「……(こくん)」
「ま、まあアルアが居ればそれで良いって言うのも本当だけどなっ!」
「……(ぷいっ)」
「――、アルア?」
「……?」
「ん、あ、いや。何でもない。……今一瞬、アルアが照れたみたいな気がしたけど俺の気のせいか? ……だよなぁ」
「……(こくこく)」
「ん?」
「……(ぷいっ)」
「ア、アルア? あれ、もしかして何か怒ってる?」
「……(ふるふる)」
「そ、そか。……あれ、でもそれじゃあどうして俺と目を合わせてくれないの?」
「……」
「や、やっぱり何か怒ってらっしゃる?」
「……(ふるふる)」
「……訳分からん。――いやまさか、今まさにこの瞬間、余りの美貌の俺に気がついて視線も合わせられない程に照れてる、とか? ……ないな、うん、自分で言ってて、コレはないな」
「……いえす」
「ですよねー。まあそんなこと、あるはずないって分かってるけどさ。でもさ、夢くらいは見ても良いよな、うん、だって夢だもの」
「……?」
「それはそうとっ、アルア!」
「……(こくん)」
「お代り、いる?」
「……(こくこく)」
「そか。――おねーさーんっ、クッキー、追加でお願いねっー?」
「……(こくこくこく)」
「あー、でもさ、アルア? あんまりそういうモノばっかり食べてると太るし、食べすぎは体にも良くないから、ちゃんとほどほどにしておくんだぞ? ……アルアに頼まれると嫌と言えない俺が憎い」
「……はい」
『嫌われては大変ですからっ!』
『だねっ。それにぽっちゃりは私も嫌だしっ!』
「――? あれ、アルア、今お前何か……」
「……?」
「ぁ、ん……――いや、なんでもない。気にしないでくれ」
「……(こくん)」
「……俺、疲れてるのかな? 何か今一瞬、アルの幻聴が聞こえた気がする」
「……(じー)」
「なあ、アルア。俺って疲れてるように見えるか? 自分では然程疲れてないと思ってるんだけど」
「……(ふるふる)」
「そうか。だよな。そんな疲れてないし……幻聴? ――ふぅ、いよいよ俺もヤバいって事なのか?」
「……(こくん)」
「まー、最近ちょっと派手に動いてるからなぁ。その影響か?」
「……?」
「――なあ、アルア」
「……?」
「これが……て、アルア?」
「――(じー)」
「アルア、何処見て、」
「……シャトゥルヌーメ様」
「あん?」
「――レムを発見しました!」
次回、三人娘(?)合流。
やっとメイドさんが旦那様と合流できます、はふぅ。
・・・幼女&少女&メイドって“娘”なのか?