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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o 女の子とご主人様と神狩りと
992/1098

 CC. 七人目

キスケ&スヘミアの強襲、の巻。

レム君、フルボッコ。

「――ハンッ!!」


「っ!!」




完全な奇襲。


さて何処かに出かけようかと扉に手を掛けた瞬間、最早芸術と呼んでも差支えないだろうその一閃は音も立てずに扉を二つに斬り分けた。




「だっ――」


「沈め、だよっ♪」




誰だ、と叫び声を上げかけた刹那、聞き覚えのある少女の声と共に身体が強制的に沈む。


片膝をつきながら見上げた先には、見知った黒髪の男が既に獲物を振り下ろしている最中だった。




「おまっ……!」




正に間一髪。


髪の毛を数本持っていかれただけで、床を転がってその斬撃を避ける、……だがそれでも切り返しの刃で更に斬撃が迫る。




「いや、無理だから!!」


「――な、」


「……ぇ?」




――それは一言で言えば神技にも達する領域だっただろう。


床に身体を投げた出した、俗に言う“死に体”のまま超高速の斬撃を迎え受けた“彼”は、横薙ぎに振られる刀、高速で動くその腹に片手を当てて――それだけで跳躍。


一瞬、呆気にとられた男を半呼吸の間に抜き去って、その後ろに隠れていた少女の口を塞ぐのと同時に真後ろに回り込んでその動きを封じていた。




「……――テメ、思ったよりも良い動きするじゃねえか」


「むぐ~!!」




好戦的に、なおも刀を構え直す男と、何か言いたげに腕の中で騒ぎたてる少女。


“彼”にとっては命を狙われる覚えなど全くない――とは言ってもあくまで“彼”主観で、だが――既知の相手だった。






◇◆◇






「つかいきなり何しやがるお前ら!! 俺を殺す気かっ!!」



「ア――? まあ、こんなことでテメェを殺れるんなら、ってんで殺る気で行ったに決まってるだろうが。そんな事も分からないってすっとぼけるつもりか?」



「う゛~、う゛~!!」



「いや、そもそも何、アレ!? 何で俺殺されかかってるわけ!?」



「ハンッ、身に覚えの百や一万、軽くあるだろうが」



「ん゛ー!!」



「いや、無いよ!? 一つや二つなら……いや、無いけどっ! 百や一万もあってたまるかっ!!」



「あん? なんだ、そりゃ。無知か? それとも無知を装ってるだけか?」



「う゛~!!!!」



「無知じゃねえよ!! あと鞭とか言い出す輩はスィリィ一人で十分だよ!? ……と言うか、え? そんなに恨み買ってないよな? 俺、恨まれてないよな?」



「なんだ、マジで自覚ない方かよ」



「む゛ー! む゛ー!!」



「自覚ないよ、悪いかよ! てか、恨みも買っちゃいないよっ。――そりゃお前の全面的な勘違いだ!!」



「――テメェはいつも幸せそうで良いなぁ、あぁ?」



「う゛? う゛う゛! う゛う゛う゛!!!」



「幸せ……幸せ、ね。――ああそうとも俺は幸せだったともっ!! 付きまとってたラライも捲いて、ようやくアルアとデートでも……とか思ってたのにそれをお前ら何!? そんなに俺の幸せ壊して楽しい訳か!!」



「ああ、そりゃ最高に楽しいぜ?」



「う゛~!! う゛ー!!!!」



「くそっ、この頭でっかちめっ、お前じゃ話にならん!! 大体、スヘミアもスヘミアだッ、お前も俺を殺す気かっての!!」



「誰が頭でっか――」



「――ぷはっ!!?? っっ、と、当然じゃないのレム兄様、ちゃんと“殺す気”位で掛からないとっ! それに私はレム兄様が避けるって、ちゃんと信じてたから!!」



「要らん信用は止めて!?」



「ハッ、何言ってやがる、結局全部避けきった癖しやがって」



「うん、だよね! 流石はレム兄様。“逃げる”のと“避ける”のだ・け! はすっごい上手だよね!!」



「当然だ! じゃなけりゃ俺は今頃五億度くらいは死んでるさッ!!」



「……一回くらいはマジで死んどけよ、テメェ」



「あはは~、レム兄様も本当に大変そうだよね~?」



「大変とか俺を襲った張本人が言う!? あとキスケ、てめぇの方こそ、この事をあいつにちくったらどうなるか分かってんのか、ああ!?」



「――ッッ!! そのまえにテメェの存在ごと消し去ってやる」



「あは♪ キスケ兄も本当にお姉ちゃんが苦手になっちゃったね~。レム兄様もレム兄様で、お姉ちゃんの使い方、良く分かってる~」



「ふっ、まあな。伊達につき合い長くないぜ。……と、いうかさー、お前ら二人とも、本当に何のつもりな訳? 気配殺した上に問答無用で殺しにかかってきやがって。危うく殺しちまうところだったじゃないかっ! お前達が俺を!!」



「俺としちゃぁ、そっちの方が望むところだが?」



「私、レム兄様を信じてる!」



「本気で無用な信頼ほど要らないものは無いですね!!」



「てめぇにゃお似合いだ、ざまぁ見ろ」



「大丈夫! こう言う“信頼”と“絆”がレム兄様を強くするんだって、お姉ちゃんも言ってたし!」



「しないよ!? 全然、強くとかしてないからな!? 限界来たら普通に死ぬから、俺!!」



「……そう簡単に死ぬタマにも見えねぇがな、」



「うん、うん。レム兄様ならきっとどんな事があっても大丈夫だよ!」



「……嫌な信頼のされ方。本当に嫌な信頼のされ方だ」



「――まあ、俺としては予想通り……いや、予想以上のテメェの動きに、少しだけ楽しくなって来たぜ?」



「……うん、私もびっくり。レム兄様、仕留めたり! とかちょっとだけ思っちゃったのに~」



「いや、仕留めたら駄目だろ?」



「駄目じゃねえよ」



「流石、レム兄様!」



「……駄目だ、こいつら。話が通じる気がしない」



「――さて、よぉ。いい加減この刀がテメェの血を吸いたくて吸いたくてうずうずしてんだが、殺し合い、再開しても良いか?」



「これ以上はもう駄目なのっ、キスケ兄!」



「いや、ホントもう、ウンザリなんで止めて欲し……――ぃゃ?」



「……あん?」



「……レム兄様?」






「――よし、最近ちょっとだけ気分が乗ってるんだ。キスケ、良いぜ、俺が相手になってやる。軽い“肩慣らし”だ」









◇◆◇









「――御免なさい、参りました、降参です!!」



「……弱っ」



「……レム兄様、ちょっと弱すぎぃ」






数分後、全身“掠り傷”で平服している男の姿と、それを半分呆れて見ている男と少女の姿があった。



呆れは半分、もう半分は――。




何か最近、半シリアスばっかりなきがするなぁ。これはいけない、非常にまずい。

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