CC. 六人目
……ちょっとスランプ中、かもしれない。
何か書く事がさっぱり思いつかなかった昨日の事。
ラライさんはラライさん。基本、ボケ子な愛いヤツです?
……これは、拷問の一種か何かだろうか、なんてどうしようもない事を考える。
「ね……――ねえ、アル……アル、ちゃん?」
「……?」
――燎原だ! 燎原だ!!
「ぷはっ!? だ、駄目、こっち見ないでっ!?」
「……(じー)」
――その瞳、その表情、いつ見ても素敵だ、燎原!!
「そ、そそそ、そ、そ、そそそ、そんなに見つめられるとわた、わたわた、わた、わたたしっ!?」
「……(こくん)」
――燎原! 燎原!! 燎原!!!
「――ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!??」
「……(じー)」
――燎原が見てる! 灼眼の事を見てくれてる!!
「って、お願いですからちょっと落ち着いて下さいよ、灼眼っ!? あとアルちゃん、お願いですから頼みますからもう本当に後生ですからこっち見ないで下さいっ!!」
「……(しゅん)」
――私、斬り刻む。燎原を悲しませるのは、全部わたしが斬り刻む
「って、ちょ、“燎原”を悲しませるな? って、怒鳴らないで下さいよっ!? そもそも貴女が今よりもう少し、ええ、もう少しだけ落ち着いてくれればそれで解決するんですから、もうっ」
「……」
――それは無理。だって燎原がこっちを見てる。
「何、言ってるんですか!! 大体、アルちゃんにちょっと見られたくらいで舞い上がってる貴女が悪いんですよ、ええ、全面的に悪いんですよ!!」
「……?」
――なら貴女は大丈夫? あの男にじっと見つめられても? 何も感じない? 少しも舞い上がらない?
「――て。……ぇ、そ、それは、その……また別問題と言いましょうか、何と言うか、――こっ、こう言う時にレム様を出すのは卑怯です! レム様に見つめられたら恥ずかしいに決まってるじゃないですかっ!!」
「……(こくこく)」
――ふんっ、意気地無しめ
「違いますっ! 全く……まったくもうっ、貴女と言うヒトは――って、ヒトじゃない? こう言う所で上げ足とらないで下さいよっ!」
「……???」
「――というか、ラライ。お前独り言ぶつくさ言ってて、何処からどう見ても怪しいヒトだぞ?」
と。部屋の隅っこで何かキモチの悪い生温かそうな目でこっちを見てるレム様。
あ、これは全然ときめきませんでした。それに今言われた言葉にちょっとだけカチンと――
「レム様にだけは怪しいなんて言われたくありません!」
「……(こくこく)」
「ちょ、それどういう意味だ!? あとアルア、何でそんな意欲的に頷いてんの!?」
なんて。いつも通りのレム様だった。
「……やっぱり自覚、無いんですねぇ」
「……(こくこく)」
「自覚って何の自覚だよ!? 俺は至って何処にでもいる普通のヒトだよ!?」
「それないです」
「……(こくこくこくこく)」
「それはラライ、お前の見る目がないだけだっ……アルアは、ちょっとだけ勘違いしてるんだよな、そうだよな?」
「レム様が普通のヒトって……それ、絶対普通のヒトに失礼ですよ。アルちゃんもそう思いますよね?」
「……(こくん)」
「何だっ! 俺はそこまで底辺だとっ、結局それが言いたい訳か、コンチクショウ!!」
「ゃ、誰も底辺なんて言ってませんし、」
「……(じー)」
「底辺じゃなかったら何だって言うんだよ!? 上ってのは先ずありえ無いだろ、なら下しかないじゃないか!!」
「……はぁぁぁぁぁ、レム様って、いつも“そう”ですよね」
「……?」
それは。
時々レム様の考えている事が分からなくなる。いや、今も全然分からないけれど。そういう意味ではなく。
――“本気”で言っているのか、それとも“全て知った上の冗談”で言っているのか。
……何か常に本気で言ってそうなのはきっとレム様の人徳なのでしょうね?
「ああ、アルちゃん。こう言う時のレム様は相手にしない方が良いらしので、無視しちゃいましょうか。何かつけ上がるそうなので」
「……(こくん)」
「つけ上がるって何に!? 貶められてつか上がりとかないよ!? くそっ、何処まで言っても俺の扱いってのはこうぞんざいなものしかないのかっ!!」
「……ふぅ、レム様を見てると灼眼も落ち着いてくれましたし、一安心です」
不思議と、レム様を見てると落ち着きます。私もそうだけれど、灼眼も。……まあ、気が削がれて呆れている、ッと言った方が正しいのかも、なんて思ったりもしますけど。
「……(じー)」
「はい? どうかしましたか、アルちゃん?」
「……灼眼?」
「ええ、ああ、はい。そうですよ? お久しぶりです、アルーシア」
「……はい」
「私の事、覚えてる?」
「……灼眼」
「うん、そう。アルちゃんは偉いね~」
「……ゃ!」
「――ブハッ!? ななななな、なにその凶悪的なまでに可愛……いや、待って私。落ち着くの、そう、良いから冷静に、冷静に、」
「……(じー)」
「ちょ、ちょちょちょ、お願い、お願いだから灼眼、もう少しくらい冷静に、落ち着いてぇぇ!?」
「……(じー)」
「こ、こう言う時こそ心のオアシス、レム様を見て――」
「あん? 何だよ? こっち見んなよぅ。何こっち見てんだ、あぁん? どうせ俺は底辺ですよ、その辺りでごろごろと転がってるだけの能無しっすよ、へぇ、御免なさいね、視界に入っててごめんなさいねッ!」
……はふぅ。
部屋の隅っこでいじけたように座りながらこっちを凄んで見てる――全然怖くなくってむしろ構ってあげたくなっちゃうくらいに可愛いですけど――レム様。
「――落ち着きますねぇ」
「……(こくこく)」
「灼眼も落ち着い――まあ気が削がれると言うのも一種の落ち着きですよね。ふぅ、これで少しだけ、真面目に考えることができそうです」
「……?」
◇◆◇
「――懐かしいですね、いえ、“私”ではなく、正確には灼眼が、ですけど」
この感じは――【記外】【冥了】……それに少しだけ遠くに感じるのは、【点睛】に【冰頂】の気配。そして【灼眼】と【燎原】。
……あと何となく、【透怒】の気配もあるような無い様な?
ん~? あの子だけは例外だから何となくとしか言えないけれど。
――七人、七人だ。
残るは【星天】【昏白】【逍遥】【智権】【十色】の五人だけ。
半数以上の七人“も”この近くに揃っているなんて、そんな偶然は在り得ない。
レム様は、その事を分かっておられるのだろうか? ……何かあっちでいじけているレム様は普段通りに見えて、何となく安心できるけど、でも――心配。
いつも通り過ぎる姿に心配してしまうのは、もしかしなくても私の杞憂なのかもしれないけれど。
「……――レム様、何を考えていらっしゃるのでしょう?」
神ならぬ、“使徒”ですらないこの身では何も分からないけど。でもせめて――
――さあ、私、早く燎原に! もっと燎原とお話しよう!!
「……っ、ぉ、お願いですからもう少し」
……こ、この湧き上がってくる『燎原』への熱烈過ぎる灼眼の想いを何とかしないと。私の身体がどうにかなっちゃいそうで怖い、です。
今日の更新二回分とか、敢えて何も言わない事にします。
出来れば遅れてる二日分ほど、一気に挙げたい気も……いえいえ、何でもないっす。