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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o 女の子とご主人様と神狩りと
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 OC-4. 四人目

罪状、掛かりました。

「……、?」




緊張にドアに当てた手が震えていた。


いいや、それも仕方のないことだと思う。この薄いドアたった一枚を挟んでこの先に犯罪者が……しかも一番性質の悪い、性犯罪者がいるのだから。




それにしても上は何を考えているのやら。相手が性犯罪者なら――何もよりにもよって私を選ぶ事もなかったのに。


それともなんだろうか、私は女じゃないとでも思われているのだろうか?


……くそっ、あのハゲめ、覚えてろよ。無事に帰ることができたら気が済むまで殴り続けてやるっ。




――その為にも今は。


目の前の仕事を無事に済ませないと。




緊張を落ち着かせるためにもう一度不覚呼吸を取って……覚悟を決める。




「――失礼する」


「……ん?」




ドアを開けて、真っ先に視界に入ったのは宿屋のベッドに腰掛けている――と言うより『ちょこん』と表した方が良いあろう――赤い髪の少女の姿だった。


……決してその前、つまり私の足元で土下座をしている男の姿なんて見えてない。この部屋には少女と男の二人しかおらず、先の犯罪者に該当するのは私の足元で少女に向かって土下座している男だけなんて事実は、




――かなり、認め難い。


…………あぁ、でも。他に該当する相手がいないんだから、多分この男が“そう”なんだろうなぁ。……嫌だなぁ。――直前まで感じていたのとは全く別の意味で。




いつまでも迷ってても仕方がないよね。はぁぁぁ……




「お前が――」


「あ、悪い。取り込み中だ。用事あるなら後にしてくれない?」


「あ、そうか? それは悪かった」


「いや、気にすんなって」


「ああ。では、改めて出直し――じゃないだろうっ!?」


「……ノリの良い子だなぁ」




くっ、やはりこの男は危険だ。外見や雰囲気だけで惑わされては駄目だ


もっと言うならば――この何とも言えずユルいペースに乗らされては駄目だ、絶対だめだ。




「――お前はっ、」


「うん?」


「お前がここ最近少女への暴行並びに誘拐・拉致監禁を企てている男で間違いないな!」


「人違いだ」




即答だった。まあ、普通はそう言うだろう。犯罪者か、と問われてそうですと頷くのは余程の阿呆か、あるいは――化物の様なてだれのどちらかだ。


だが――甘かったなっ、お前は私に気を取られていて致命的な事を見逃している!!




「嘘を言っても無駄だ! そちらの少女が何よりの証拠!!」


「そちらの――?」


「そうだ!!」


「……(こくこく)」




私の問いかけに対してしきりに首を縦に振っている赤い髪――そして赤い瞳をした少女。ぬかったな、犯罪者。だがこれが動かぬ証拠だ!!




「――アルアッッ!!??」




何やら絶叫しているが、恐らくその少女も何処からか攫ってきたのだろう。今更悔やんでももう遅い。そして、私の目の前でそちらの少女にも傷一つつけさせはしない。


……ここからが、重要な所だ。恐らく相手も逆上して襲い掛かってくるだろうから、慎重に。出来る限り慎重に。




「お前には街の者達からの嫉妬、……嫉妬? 何かの間違いか、コレは?」


「いや、俺に聞かれても知らねえよ」


「兎に角。お前には逮捕状が出されている。ギルドの方にも既に通達済みだ。大人しく観念して、私についてこい」


「……はぁ、仕方ねぇなぁ」




っ、来るか――?




「アルア、ちょっとだけ、お留守番出来るか?」


「……?」


「俺、この子にちょっとついていかなきゃいけないみたいだから、行ってくるよ。アルアは大人しくまっててくれよな?」


「……(こくん)」


「よし、良い子だ」


「……ゃ!」




……来ない?


いや、それよりも。目の前の男と少女の態度、それを見ている限りではとても被害者・加害者の関係には見えてこない。


今しがた男が触れようとした手を振り払ったのだって、嫌悪していると言うよりはどちらかと言えば照れている……ように見えた。


……この少女は男の被害者ではないのか?




――いや、コレが罠なのかもしれない。油断せずに行こう。




「……抵抗なしとは良い判断だ」


「そりゃどーも」


「安心しろ。お前の安全は保障されていない」


「いないのかよ!?」


「当然だ。性犯罪者に人権は無い」


「……ホワッツ?」


「聞こえなかったか? お前にヒトとしの権利は無い」


「いや、あるよ? ちゃんと持ってますよー?」


「黙れ、社会の底辺がっ」


「……え? つか、何で俺、ここまでボロクソに言われてるわけ? と言うより性犯罪者? それにさっきの罪状は……何のこっちゃ」


「――お前の罪が曝露された。これだけ言えば分かるだろう?」


「いや、全然分からないんですが?」


「未だとぼけるか。だがな、今は良いとして、余りとぼけない方が身のためだぞ。本部に着けば嫌でも吐かされる、嫌でも、な」


「……悪い、と言うか、俺が何だか非常に不愉快な誤解を受けている事だけはもう分かる以前に何故いつもこうなる? 的な感じでもう諦めかけてるけどさ。兎に角、誤解だ」


「そうか、五回か」


「ああ、間違いなく誤解だな」


「成程。今の所被害者は三名と聞いていたが――知られていないことが後二件、他にもあったということか」


「……ん?」


「だが素直に過去の罪を吐いたからと言って、それでお前への刑が軽くなると言う事は無い、それだけは覚えておけ」


「……――いや待て。今の所、お互いの会話にすっげぇ齟齬があったと思われる」


「齟齬? お前は自白すれば罪が軽くなるとでも期待していたのか? ならば残念だったな」


「やっぱり何か勘違いされてるよ、絶対!!」


「因果応報だ」


「間違ってる! いや、あってるかもしれないけど、それは間違っている!!」


「……――抵抗する気か?」




ここで暴れられると宿屋の修理費が――あのハゲ、後でうるさいだろうなぁ。知ったことじゃないけど。




「いや、しないけど?」


「……そうか。それは賢明な判断だ」


「まあ、俺って賢しい?」


「賢いと言うのならば何故こんな愚かな事を……」


「や、つかそれ、そもそも冤罪……――ハッ?! もしかしなくとも既にヤツの魔の手がすぐ傍まで来ているのかっ!!??」


「ヤツ……? 仲間がいるとは初耳だが、」


「いや、仲間とかじゃなくて、どう言えば良いか……まあ一目見たら分かる、メイドだ」


「お前は、良く分からない事を言うが……そうか、頭を患っているのだな。それは残念なことだ、ああ、色々な意味で非常に残念なことだ」


「――今思っているソレも多分違うと思うぞ、名も知れぬお嬢さん」


「ふん、随分と口が回る犯罪者か。……成程、それがお前の手口、と言う訳だな」


「手口っつーか、……まあこの際それで良いか。ほら、それよりも行くなら早く行こうぜ。アルアをずっと一人ぽっちにさせてられないし」


「――それもそうだな。くれぐれも暴れるなよ? ここで暴れたとしても、」


「分かってる。君を倒しても次がいるんだろ?」


「……いや、いないが」


「あ、そなの?」


「ああ、うん。……人材不足で」


「……そうか、それは辛いな」


「……うん。お陰でハゲにこき使われる毎日。……就職先間違えたかな、私?」


「ちなみに俺の所に永久就職って言う選択肢もあるぞ?」


「永久就職、それも悪く――はっ!? 危ない。危うく犯罪者の手立てに乗る所だった」


「……はい?」




……まあ、取り敢えずは大人しくしてくれていそうだし(とはいっても油断はできないが)、さっさとハゲに引き渡して、こんな仕事は終わらせよう、うん、そうしよう。




「では連行する。……くれぐれも、下手な真似は」


「しないよ。――あ」


「ん? どうかしたのか?」


「ん? いや、ちょと、そこにゴミがついてたから取っただけだ。気にするな」


「――? そうか、なら良い」


「ああ。うん、――ゴミがまぐれ込んでるなんて、危ないなぁ。……冥了のヤツ、一匹消されたからばら撒いてきやがったのか?」


「? 何を言っている?」


「あ、いや。何でもない。気にしないでくれ。それと行くなら早く行こうぜ。どうせすぐに冤罪だって分かるはずだし」


「そうだな。お前も、ちゃんとしかるべき償いをして、罪を償うんだぞ」


「だからそれは……ゃ、もう良いか。そうだねー、じゃ、行こうか」


「ああ」




……ふぅ、既に三人も毒牙に欠けている犯罪者と聞いていたから緊張していたが。大人しそうな輩で助かった、うん、助かった。




ま、いつもどおりな感じで。

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