CC. 三人目
……あ、この子の名前、出てきてないや。
・・・ま、いっか。
「ここは……?」
「「――三人目」」
「え……?」
聞こえた声の方を見ると、呆れ顔? それとも苦笑? なんとも言えない表情の、女の子が二人いた。
「何考えてるんだろうね、あのヒト」
「さあ? ……とは言っても、毎日ここにきてる私たちも大概だと思いますけど?」
「……確かに。あ、でも私はアルちゃんが心配だからって理由だからっ! そこは間違えないように!」
「はいはい、分かってますよ、ルニさん」
「なら、良いけど。……そう言えば当の本人は何処に行ったの?」
「スズタケさん? さっき、『ちょっと女の子攫ってくる』って言ってまた出て行きましたけど?」
「――ああいうのは一度死んだ方がいいと思う」
「全くですね」
「あ、それとアルちゃんは何処に?」
「スズタケさんに拉致されてました」
「――にゃにぃおぅ!?」
「あ、ルニさ、」
女の子の一人が何だか怒って出て行った。
……と言うより、コレは一体どういう状況なんだろう?
誰か、説明してほしい。
「はぁ、落ち着きのない……?」
「あ、あのぅ……」
「ああ、御免なさいね。貴女の置かれている状況は本当に、手に取る様に分かってますから安心して下さいね。説明も二度目ですし」
「?」
よく分からないけど、と言うより益々良く分からなくなった。
私、どうなってるの?
「その前に聞いておきたいんですけど、貴女はここに来る直前の記憶ってありますか?」
「直前の、記憶……?」
「ええ」
……
「――あぁ、そう言えばあの変人のヒト!?」
「スズタケさんがどうかしました?」
「スズタケ……?」
「ああ、貴女の言う変人さんの事です、絶対」
「? 確か、ラブハンター・レムとか名乗ってた気がしたけど……?」
「レム、ですか?」
「うん、そう」
「……成程。ではこれからはレムさん、と呼ばせてもらいましょう」
「……はぁ?」
「それで変人がどうかしたんですか?」
「あ、ああ……」
あのヒト、いきなり私を拉致監禁させて下さいって頼んできて――、それと今の状況と考えると、コレはもしかしなくてもっ
「私、もしかして拉致監禁中?」
「得てして妙です」
「やっぱりそうなの!?」
「いえ、拉致とか監禁とか、レムさんにはそういう気は一切――……存分にあるかもしれませんけど」
「やっぱりだ!!」
「まあ、本人あれで悪意はないみたいなんで……と言うより付き合ってみればアレはあれで愉快なだけで優し……? 馬鹿なだけのヒトですよ?」
「……それを私に信じろと?」
「まあ、信じなくても良いですけどね。直、思い知りますから」
「――? それはどう言う、」
「今帰ったぞー!!」
その時、聞こえてきた声は聞き覚えのあるモノで。
声の方を見ると、やっぱり想像通りの、あの変人がそこにいた。
「あ、やはりルニさんとはすれ違いでしたね」
「ルニ? あれ、あいつ今日も来てたのか? と言うよりもジェニファも今日も来たのか」
「はい」
「ふっ、俺に一目会いたさに態々宿屋にまで足を運んでくれるなんて、なんていじらしさ――」
「つくづく能天気な頭ですよね、レムさんって」
「……ジェニファも涼しい顔して毒吐くようになったなぁ。会ったばっかりの時はそんなんじゃ……ん? あれ、今俺の事、『レム』って呼んだ?」
「はい」
「あれ? 今、その名前は使ってなかったと思うんだが……」
「子の女の子にそう名乗ったんですよね、ラブハンター・レムって」
「は? 誰だよ、んなこっぱずかしい、つかバカ丸出しの名前考えたの」
「「ん」」
「……俺?」
「「ん」」
「……、……まあ、そんな若かりし時もあった、かな? っと、気を取り直して、今はそんな事よりも、だ!」
全然気を取り直せてないけど。
変人が私の方をじっと見ていた。
「な、……何?」
無意識に腰の剣に手を伸ばして――そこにあるべきモノがない事に初めて気づいた。
剣、私の剣は……――ッ!? 最悪だ、よりにもよって、変人のすぐそばに立てかけてあった!?
「んー、後遺症、みたいなものは無い感じだな。どう? 身体の調子とか、何処かおかしくない?」
「後遺症? 何を言って……ぁ、ま、ままままさか――!?」
この変人な男のヒトに、私の意識が無い間に貞操を!?
「実にけしからん事を考えている気がするが、そこは違うと否定しておこう」
「嘘だ! ……本当に?」
変人の方は信用できなかったので、取り敢えず同性の女のヒト……ジェニファさん? に聞いてみたら苦笑しながら首を横に振って切れた。
少し、安心した。
「……そう、よね。よく見ればそんな度胸なさそうに見えるし」
「度胸なくなんてねえよ!? いい加減なこと言うなよ、テメェ!!」
「うん、なんて言うの? 三下の良い味が出てる気がする」
「三下違うよ!? 何いい加減なこと言ってくれてんの!?」
「うん、改めて安心した」
「……あ、安心してくれたのは助かるが。非常に、それはもう非常に不本意極まりないんだが?」
「それで、ここは――?」
「あ、俺ん部屋」
「――この、ヘンタイッ!!!!」
「何故に!?」
「細くしますと、ステフィアの宿屋の、二階の一室です」
「ま、まあ取り敢えず? 変な細工とかはされてないみたいだし、無事みたいで安心した。……――まさか、用が済んだら『ボンッ』てぇ感じのクズ丸出しだったらどうしようかと本気で少し疑ったぜ」
「無事も何も、変な事するのはあなたじゃない、ラブハンター・レム?」
「ぐあああああああああああああああああ、その呼び名で俺を呼ぶのは止めれ!? 無性に過去の自分を分殴りたくなるんですがっ!!!」
「自業自得じゃない」
「……その通りなんだけどさ―。その場のノリのみでやってた俺が全て悪かった」
「…………やっぱり、変な人だ」
変人、と言うのは初めて会った時に想った通りだったと思う。
でも――関わり合いにならない方がいいと言うのは?
私も冒険者のはしくれだし、このバカを見ていると心躍るような、何か面白い事が起きてくれそうな、この胸の高鳴りは……何だろう?
おくれたー!!!