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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o 女の子とご主人様と神狩りと
973/1098

 CC 二人目

レム君なんて、敵(笑)です。

「……、?」


「あ、起きました?」


「起きた? え、あれ? ここ……何処?」




目が覚めると知らない場所――なんてのは、話にはたびたび聞くけれどまさか自分がその体験をするとは思っていなかった。


隣には、私よりも少し年上っぽい女のヒトが苦笑を浮かべながらベッドの脇に座っていた。




「ここはステフィアの宿屋ですよ」


「宿……?」




何でそんな所に自分はいるのだろうかと考えて――寝起きの所為か頭が上手く働かなかった。




「まあ……事情は察します」


「事情?」




何のことだろう、と思いながら……ようやく頭の仲がはっきりとしてくる。


私は、確か――




「変なヒトに声かけられて、それから……」




それから?


それから、何があったんだっけ?


何かがあった事だけは確かだけれど。それが何だったのかが浮かんでこない。覚えていない、じゃなくて。まるで“この”私は初めから知らない、みたいな。




「……お持ち帰りされた」


「――?」


「あ、アルちゃん、お帰りなさい」


「……(こくん)」




アルちゃん(?)と言うらしい私よりも数歳は若いだろう女の子がドアの前に立っていた。


何故か赤い髪と瞳が酷く心を惹かれて――りょぅ……、何か言葉が出てきそうで出て来ない。




「アルちゃん、スズタケさんはどうしたの?」


「……?」


「いえ、一緒じゃなかったのかな、って思って――」


「……(こくん)」


「……もしかして、また?」


「……(こくん)」


「初めて会って未だ数日だけど……本当に凝りない人なのね、スズタケさんって」


「……?」


「ああ、アルちゃんには分からない? まあ、そっちの方がいいのかもしれないわね」


「……(こくん)」




何だろう、何だか無性に、アルちゃん(?)と言う名の女の子から目を離せない。不思議なくらいに庇護欲が湧き上がってくる気もしている。


……何でだろう?




「あ、あの、アル……ちゃん?」


「……?」


「――ぁ」




――不思議だ。


不思議とこの子に見られていると思うと心が落ち着く。


何となく、ベッドに座っているもう一人の女のヒトの事を見ると『貴女もですね』と言った感じに頷きを返されてしまった。


……本当に何でだろう。この子には何かヒトを引き付ける魅力とか、そんなのがあるのかな?




「……?」




一見無表情でじっとこっちを見ているその姿からは、特に何かを感じるとかはないのだけれど。




「えっと、その……ね、アルちゃん?」


「……(こくん)」


「その、……」




私は何を話したいんだろう?


よく分からないけれど、兎に角この子と話をしたい、一緒に居たい。それだけが頭の中を占める。




「ふふ、取り敢えず自己紹介から始めたらどうかしら?」


「あ、はい……」




全部分かってる、みたいな表情の女のヒトに促されて――うん、確かにその通りだと思った。




「私は、ミョニルニって言います。ステフィアの街でパン屋を……お父さんとお母さんがしてるんだけど、その手伝いをしてるの」


「……(こくん)」


「それで。あなたのお名前、聞かせてもらっても良い?」



「……アルア」


「アルアって言うの?」


「……(こくん)」




「そ。だから私はアルちゃんって呼んでるけど」




「アルア……アルアちゃん?」


「……(こくん)」


「――うん、アルアちゃんだね。アルアちゃんって呼んでも良いかな?」


「……(こくん)」


「そっか。ありがとう。――あ、私の事はルニって呼んでくれればいいよ? ミョニルニって何か言い難いでしょ?」


「……(ふるふる)」


「……うん、アルアちゃんは優しい子なんだね」


「……(ふるふる)」


「ふふ、謙遜しちゃって」


「……」




なんて言うんだろう?


この子――アルアちゃん、凄く話しやすい気がするのはどうしてだろう?


ただ頷いたりしてくれてるだけなのにするする言葉が出てくる気がする。もっともっと、この子の事を知りたい――私を知ってほしい、って思ってしまう。




……あれ?


それってもしかして恋とかいう感情じゃないでしょうか。……私、そんな趣味はないはずなんだけどなー?




「……?」


「あ、ううん、何でもないよ?」


「……(こくん)」




ふふ、アルアちゃんの仕草は何だか心和むモノがあるなぁ……――っ!?




瞬間、私は確かに嫌なものを感じた。第六感とか、そんなモノは生まれてこの方感じた事はなかったけれど。




「ふっ、今日も完敗だぜ……お? パン屋のルニちゃんや、起きたのか?」




「――敵だッ!!!!」


「……はぇ?」


「私に寄らないでッ!!」


「いや、急にそんな事言われても……つか、俺が何をしたと?」




「この子、攫ってきたんですよね?」


「……(こくん)」




「ゆ、誘拐魔!?」


「違う!!」


「何だかよく分からないけど……あなたは敵よッ!!」




アルアちゃんに続いてやってきた、何処にでもいそうな感じの男のヒト――彼を見た瞬間、直観的に悟った。


コレ、敵だ。




「ゃ、何だかよく分からないのはこっちの方なんだが。つか何で一目見るなり敵扱いされなきゃいけないんだよ」


「知らないっ、兎に角敵なのっ」


「……、ほらほら、怖くないよ~? 俺は常に女の子の味方だよ~? チッチッチッ」


「――フーッ!」


「くっ、失敗かっ」




「失敗も何も、傍から見ればバカやってるようにしか見えないわよ。ねー、アルちゃん?」


「……(こくん)」




「くはっ!! アルアとジェニファは少し黙ってろっ」




「都合が悪くなれば怒鳴れば良いって思ってるんですか? ソレは横暴です」


「……(こくこく)」


「――フーッ!! アルアちゃんに近づかないでッ!!!」


「何、この四面楚歌!? ……いやいや、まあ俺を取り合いたくなる気持ちは分からんでもないんだけどな、」




「「それはない」」


「……(こくん)」




「……まあ、少し落ち着こうぜ? きっとちょっぴり興奮してるから色々と周りのモノが違って見えてるだけだって。第一俺が敵とか、なんだそりゃ」


「……アルアちゃんを取って行っちゃいそうなヒトは、全員的、とか?」


「あ、ソレ何となく私にも分かります」


「……?」


「アルア、何だか凄く大人気だなー」


「「当然です!!」」


「……?」


「――……あー、成程。もしかしなくても使徒の残滓と、燎原ね。……チッ、死体フレッシュゾンビな分際で厄介な」


「敵!」


「敵ですねっ!」


「…………私、ゾンビじゃない」




何か楽しそうだなぁ。

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