ど?-591. さあ、行こうか
――開始。
「――さて、と。んじゃま、出だしは派手に言っとくかー」
「……?」
「ああ、ほら、さ。やっぱり宣戦布告ってのは相手にも分かりやすくした方がいいだろ?」
「……(じー)」
「ふっ、そう熱い目で見つめなさんな、お嬢さん」
「……」
「ま、アルアが俺に危ない目に遭ってほしくないって言う気持ちは、」
「……(ふるふる)」
「……きっ、気持はよく分かるんだけどな? 俺だってアルアの事、危険な目に遭わせたくないんだ」
「……?」
「襲い掛かってくるって分かり切ってる害神を手っ取り早く先に駆除しとかない手はないだろ?」
「……」
「そういう訳だからさ、アルアはちょっと――まあ、安心して見てろって。俺、こう見えてもやる時くらいはやるからさ」
「……はい」
「ん。良い子、良い子」
「……ゃ」
「ん? 珍しい反応……あ、もしかして頭撫でられるの恥かしがってたり?」
「……」
「……――ほ~れ、うりうりうりうりうり~~っ」
「……やっ!」
「……何だろ、コレ。すっげぇ達成感みたいなものがあるんだけど」
「……(じっ)」
「ふははははっ、なんだろ、アルアに微妙に睨まれてる気がするのに怖くない、悲しくないぞっ」
「……(じっ)」
「……っと、ゴメン。ちょいと調子に乗り過ぎました。機嫌直して?」
「……(こくん)」
「ほっ」
「……(じー)」
「変にへそ曲げないでいてくれた助かった」
「……(じー)」
「アルアー、そんなに熱い眼差しで見られると照れるー」
「……(じー)」
「あ、はい、そうですね。冗談言ってるときじゃないですよね、はい」
「……(こくん)」
「……しかし何か幸せだ。こうやってアル後のんびりしてるだけなのも良いかも、なんて」
「……?」
「ああ、もう神とかその辺りの事情なんてどうでもいいや。そんなの出来る奴にやらせておけばいいんだよ、俺はアルアといちゃいちゃラブラブしてればそれで満足だ、ああ満足だとも」
「……(じー)」
「な、アルア?」
「……(ふるふる)」
「……、な、アルア?」
「……(ふるふる)」
「……――アルアはいつも真面目だなー」
「……(じっ)」
「うん、そうだな、余りふざけてばっかりも駄目って事だよな」
「……(こくん)」
「そうだっ、真面目にアルアと戯れればいいんだ!」
「……」
「――冗談ッス。だから心無し冷たそうな目で俺を見ないで」
「……」
「アルアー、アルア―、もう不真面目な事はしないから今度こそ許してくれっ」
「……(じー)」
「――俺を信じろっ」
「……(ふるふる)」
「何故!?」
「……(じー)」
「……仕方ない。――おふざけの時間はもう終いだ」
「……?」
「ま、でも。幸先はいいのかもしれないな」
「……?」
「ん? まあ、いっちょでっかい花火を上げる前にこうやってアルアと楽しい一時を過ごせたのは気が楽になってよかったなって」
「……(じっ)」
「ははっ、いいさ。調子乗ってる馬鹿どもに、ちょいと今企んでるのがどれほど無駄なことかを説教しにいくだけだ。それに大丈夫、俺は別に誰にも酷い事はしないよ」
「……(じっ)」
「ああ、しないとも。――一柱を除いてな」
「……」
「じゃ、改めて……行こうか、アルア」
「……」
「さ、手を」
「……」
「――」
「……はい」
……ぷぴゅぽ
ああ、何だろね、この気持ち。