ど-589. 一発
改めまして、
「やっぱりヒトとして、一発逆転とかそういうのを狙いに行くのは間違ってると思うんだ、俺」
「……はい」
「うん。だから色々とぼやいて見てもコツコツ進めて行くのが一番効果的だよなーって」
「……はい」
「王道に近道なし、邪道に回り道なし、ってな。と言う訳で――アルーシア!」
「……?」
「デートして、頂けないでしょうか、お嬢さん?」
「……(ふるふる)」
「いきなり拒否された!?」
「……」
「だがここで挫ける様な昨日までの俺ではない。そしてもはやこの程度で傷つくかつての俺と思うな」
「……(こくん)」
「そう。俺は別に慌ててるわけじゃない。時間はまだいっぱいあるんだから、昨日よりも今日の俺、今日よりも明日の俺が理想に近づいていれば――具体的にアルアに好かれるような俺になってればオッケーだ!」
「……(じー)」
「かと言って、いつまでもモノで釣るのは何か餌付けしてるようで気が咎めるなーと思うんだ」
「……イエス」
「? アルア、何か微妙に堕ち込んでないか?」
「……」
「まあ飴でも食べて少し落ち着いてくれ」
「……(こくん)」
「――って、また反射的にお菓子を渡してしまった。……反省」
「……(ころころ、ころころ)」
「ま、まあ? 地道にやってくとか言っても別にアルアが悲しむ姿を見たいとかじゃないしな! 細かい事は気にしないでおこう、うん、アルアが喜んでくれてるのならそれで問題なし、と」
「……(ころころ、ころころ)」
「と、言う訳でアルア」
「……?」
「俺の辿り着いた結論としてはな?」
「……(ころころ、ころころ)」
「――ゆっくりのんびり、二人で歩いていけばいつかはきっと……とかって思うんだ。アルアはどう思う?」
「……(ころころ、ころころ)」
「……」
「……(ころころ、ころころ)」
「……だ、団子の方に夢中なお年頃なのね。いや、まあ、うん、たかが飴玉如きに負けたからって、別に悔しくもなんともないけどさ。ああ、全然悔しくないともさっ」
「……(こくん)」
「まあ、いいさ。取り敢えずは……そうだな。なあ、アルア。俺はちょいと、慌てるのは止めにしたけどさ? そろそろ――ちょいとばかり昔の約束を果たしに行かなきゃ駄目そうなんだ」
「……?」
「世界が平和でありますように――って。まあ俺が俺に課したルール、みたいなものなんだけどさ。他の奴から見りゃ、何やってんだこいつ、とか思わなくもないんだろうなーってよく思うよ、俺は」
「……」
「俺にとっては幸運な事に、こんな俺に黙ってついてきてくれてる奴も一人確実にいるしな。いや、まあ、日頃の行いは別として、ホント有りがたいことだよ、……あくまで日頃の行いは別として、だが」
「……(じー)」
「で、さ。アルア? ちょいとそろそろ害虫駆除しないと駄目かなーとか思い始めてる訳なんだけど、俺としてはアルアを危険な目に遭わせたくないんだ。けど、だからってアルアと離れるのも嫌だなーと」
「……(じー)」
「ま、……卑怯な事は分かってるし、ちゃんと理解してくれてるかどうかも分からないんだけどさ。アルア、アルーシアはどうしたい? 逃げって言えば逃げかもしれないけど俺はまずそれから、そこから始めればいいと思った」
「……(じー)」
「アルーシア?」
「……れ、」
「うん、何だ、アルーシア?」
「……」
「……」
「……一緒に行く、行きます」
「そっか」
「……(ふるふる)」
「――ってどっちだよ!?」
「……?」
「……何だかなぁ。やっぱりどうにも、ちゃんと理解してくれてるのかどうか、判断に困るな」
「……(こくこく)」
「こらっ、自分で頷かないっ。ったくもう、自分でちゃんと分かってるのか?」
「……はい」
「――はぁぁぁぁ、まあ、いいけど。アルアと一緒にいられるって言うのなら俺としては嬉しい限りだし、俺に否はないけどさ」
「……(こくん)」
「……、じゃ、アルーシア」
「……?」
「改めまして、宜しくな? ちょいとばかり危険地帯に踏み込む事もあるかもだけど、大丈夫、アルーシアの事は俺が絶対、守るから」
「……」
「……って、こう言う事を改めて面と向かってとか、いつになっても照れるな、やっぱり」
「……(ふるふる)」
「ま、何だ。改めましてって事で、ほい」
「……?」
「握手。お互いに宜しくお願いしますってヤツだよ?」
「……」
「うん、宜しく、アルーシア」
「……はい」
最近はもう、駄目駄目な気がしているので・・・
後十話程で一回、仕切り直しかなーと思ってます。