ど-582. チェンジでお願いします
交代でお願いします?
「――きゅぴんっ☆」
「どうした、シャトゥ。またいつもの発作か?」
「レムじゃないのでそんな発作、私は持ってません」
「あ、そ。ならどうしたんだよ?」
「急に閃きました」
「閃いた? 何を?」
「今こそチートクライが野望を打ち砕く時だと思うのです」
「――……ほぅ。で?」
「所でチートクライって何処の卑怯者です?」
「いや、今更そこから始めるなよ」
「うむ。では話を戻して、下僕二号ちゃんの行方は多分あっちだと思います」
「……ゃ、話を戻すも何も――いつの話だ、それ?」
「レムは私の下僕二号ちゃんに逢いたくないと言うのですかっ!」
「むしろ今すぐ会いたいわっ!! てか、今すぐお前と交代しろっ!!」
「……うむ? レムはそれをお望みです?」
「ああっ!」
「……」
「……って、つ言い過ぎたか? いや、コレで落ち込ませたなら悪――」
「今っ、必堕のっ、『イッ――――クス・ちぇんじ』!」
「――は、」
「……、?」
「……あ、アルア」
「……はい」
「って、え?」
「……(じー)」
「……まあ良いか。どうせシャトゥだし。それよりもアルア、久しぶりっ!」
「……(こくん)」
「元気してたか?」
「……(ふるふる)」
「何っ!? 元気してなかったのかっ!!」
「……寂しかったです」
「――っ、そうかそうかっ、俺に会えなくてさみしかったのかっ、アルア!」
「……(ふるふる)」
「いや、照れる必要はないんだぞっ。俺だってアルアに逢えなくて寂しかったんだからなっ!」
「……シャトゥルヌーメ様」
「……シャトゥ? シャトゥ探してるのか、アルア?」
「……(こくん)」
「あー、いや、シャトゥならついさっきまでそこにいたんだが……」
「……?(きょろきょろ)」
「今、つかついさっき? 何処かに消えた。行方は知らん」
「……」
「ま、まあそう落ち込むなってっ。ほら、シャトゥの代わりに俺が居るしさっ」
「……(じー)」
「なっ?」
「……シャトゥルヌーメ様」
「――な!? あ、アルア? 俺よりもシャトゥを取るって、そう言うのかっ!?」
「……?」
「そんなバカなっ!? アルアっ、お前あいつに、もしくはシャトゥに何を吹き込まれたんだっ!?」
「……?」
「ほらっ、俺に任せて安心してっ。だからどんな事をされたのか素直に話すんだ、な?」
「……(ふるふる)」
「――くっ、そこまで……。アルアを脅しにかけるなんてなんて酷い奴らかっ。血も涙もないってのはこのことだな、おい!」
「……?」
「ちっ、この、シャトゥは――……って、ついさっき急に消えたんだったけ? ……つか、シャトゥどうして消えたんだ?」
「……シャトゥルヌーメ様」
「――と。確か、イクス、チェンジ? ……転移の一種か? あ、そう言えば代わりにアルアがここにいて、……ああ、もしかしてアレ、物質交換?」
「……?」
「……まあシャトゥの事は今度会った時にどうにかすればいいか」
「……(こくん)」
「最後の最後で根暗の野望を打ち砕くとか、気になることを抜かしてたのが気がかりだが……まあこっちも後で良いか。あの“なんちゃって♪”の事だ。どうせ拒否してもその内“合流”出来るだろ」
「……(こくこく)」
「俺の方は――と。アルアと一緒かぁ……んー、タイミングが良いのか悪いのか、」
「……?」
「ま、難しい事は良いよ、アルア」
「……(こくん)」
「今は、ま、折角だ。俺と旅を楽しもうぜ?」
「……イエス」
「じゃ、行くか、アルア!」
「……、……、……(こくん)」
『イッ――――クス・ちぇんじ』
シャトゥ、108の必堕技の一つ。必ずオチる技、と書いて必堕技。
正式呼称は『イクス・チェンジ』。自分の居場所と任意の相手の居場所を入れ替える技である。仮面をつけたライダーさんのフォームで『へ~んしんっ』のリズムで両腕を振って、掛け声を掛ける、コレ必須。
熟練になれば物質とかじゃなくても任意のモノを任意の場所に送ることができるようになるらしい(上位技)。具体的には愛する心とか、その辺り。難易度、中級の必堕技であるので、現段階のシャトゥには精神的にも実力的にも厳しい御技となる。
ちなみに今回は転移先でシャトゥがへばるために『ロリ上等!』とかその辺りの特殊効果はなし。