ど-581. 覚醒その1
……スィリィさんも暴走開始?
「……」
「……」
「……」
「……」
「……ねえ」
「……?」
「いい加減、何か言ったら?」
「???」
「ああ、もうっ。何でこの子はこうも無反応なのっ!? ……その癖何故か妙に放っておけないし」
「……頑張って」
「貴女に言われたくないわよ!?」
「……(こくこく)」
「っ――はぁぁぁ、もう、一体何なのかしら、この子」
「……アルア」
「うん、それは分かってる。貴女の名前が“アルア”って言うのは、もう聞いたから」
「……(こくん)」
「……これもそれもどれも全部、レムの所為よっ、ホントにもう……全部全部、レムの所為なんだからっ」
「……(こくん)」
「そうよね? 貴女もそう思うわよね?」
「……(こくん)」
「それにしてもどうしてかしら? ちょっとはぐれただけなはずなのにこうも全然、逢えないなんて……もしかして、私避けられてる?」
「……」
「え、いや、そ、そんなことないわよね?」
「……?」
「わ、私別にレムから嫌われるようなこと……結構してるかも?」
「……(ふるふる)」
「え、もしかして本当に? 私、実は嫌われてるの?」
「……(ふるふる)」
「ならどうしてレムの事が見つからないのよっ!?」
「……(こくん)」
「や、やっぱりレムに嫌われてるとしか……」
「……(ふるふる)」
「――そうよね、つまりは、そう言う事なのよね」
「……?」
「嫌われてる? それがどうかしたって言うの……上等じゃない」
「……」
「嫌われてるなら嫌われてるで……そう、“調教”すればいいだけじゃない。――簡単な、事じゃないの」
「……(ふるふる)」
「――そうと決まれば……いえ、初めから、躊躇う必要なんて何もなかったのよね」
「……!」
「…………【冰頂】」
『――ふっ、スィリィ・エレファン。我らの間に言葉は無用です』
「……(ふるふるふる)」
「何をしたって無駄よ、アルア」
『何を言っても無駄ですよ、【燎原】』
「……冰頂」
「――“世界よ、飛礫となり私の僕と成れ”」
『検索、検索、検索――見つけた』
「――待ってなさい、レム・アイリアス。すぐにでも、私の目の前に這いつくばって『愛してる』って言わせてあげるわ。ふふ……ふふふふっ」
「……、……?」
アルアは常に傍観者。