ど- 578.狩りのお時間２
狩りとか言いつつ。実際はシャトゥ＆レムの鬼ごっこと化している今現在。
……何でこんな事になっているのだろう？ と言うよりお前ら、何をしたいんだ？
「狩りじゃー！！」
「狩りですっ！」
「神狩りだー！！」
「姫狩りですっ！！」
「――ん？」
「うむ？」
「シャトゥ、それはちょっと違わないか？」
「レムの方こそ、違いませんか？」
「いや、違わないぞ」
「私も間違ってません。姫狩りをしてこそのレムです」
「ゃ、姫狩りって」
「女の子を食い物にするレムがいつものレムです。さあ、思う存分貪るが良い！」
「いやいやいや」
「では手始めは私ですか？」
「それはない」
「そうですか。……それなら、まずはあそこに見える街を襲うの？」
「だから何故そうなる」
「レムも本心では姫狩りをしたいと思っているはずです」
「いや、そりゃ――」
「目指せ、ハーレム！」
「当然っ、目指せハーレム！」
「ちなみに私は逆ハー囲ってますがレム以外に興味ないのです」
「何、その唐突な自慢と自白はっ！？」
「世の真理です」
「……そうか」
「うむ」
「うん、やっぱりの世の中って、理不尽に出来てるものなんだな」
「そんな事はないの。レムには私が憑いている！」
「……憑く？」
「自爆霊とも言うかもしれません」
「……自爆？」
「まあそれは些細な事なので私は気にしないの」
「……ゃ、十分些細じゃないと思うのだが」
「それはそうとレム、随分とやる気なようですね？ ふふふ」
「……んぁ？」
「気迫が漏れ出ていますよ？ 私には分かります。やはりあの街を襲うのかっ！」
「……――まあ」
「己世界の敵めっ、私の目が黒いうちはレムの勝手はさせません！」
「ゃ、黒いも何もシャトゥ、お前の目は紅眼だ」
「……おぉ？」
「まあ、シャトゥが邪魔しようが何しようが俺の邪魔はさせないけど」
「――今、私は自分の使命に目覚めました！ それは、レムを討つこと！」
「……やる気か、シャトゥ？」
「世界の平和のため、レムを討たねばならぬと言うのならば仕方ありません。――ひゃっほ～い、レム狩りだー！！」
「――そうか、シャトゥ。お前は俺に敵対する道を選ぶと、そう言う訳だな？」
「私はいつでもレムの味方！」
「……いや、どっちなんだよ」
「悲しい事です。私はレムの味方だけど私はレムを討たなきゃダメ……愛する二人に悲運な運命なのっ」
「そうか、それは悲しいな」
「何だかレムの瞳に躊躇いが感じられません！」
「そんな事はないぞ？」
「何だかレムがいつになく喜々とした表情を浮かべている気がします！ もしかして私、ピンチ！？」
「大丈夫だ、シャトゥ。お前は自分が倒れたことにも気づかないだろう」
「それに宣戦布告されました！」
「じゃあ、シャトゥ――」
「先手必負！ 今、必堕のっ、『ブレイ――」
「言わせるかよッ！」
「きゃうんっ♪ レムが襲い掛かってくるので私は素直にその胸に飛び込む事にしますっ」
「――ちょま、シャトゥ、」
「れーむー！！」
「ごっ！！！？？？」
「……うむ？ 何かむにょっとしたモノがおでこに当りました？」
「～～」
「レム？ 小股おさえてどうしたの？ 痛いの？」
「……」
「――はっ、我の第六感発動！ レムがかつてない程に怒っている気がするので速やかに脱兎します」
「――マテ、シャトゥ」
「待てと言われて待つシャトゥルヌーメは私だけなのっ、――でも今は脱兎！」
「――チッ」
「……私を呼んでる声がするっ、何となくあの街から私に助けを求める心の声が聞こえる気がするのですっ、そして私は救世主！ れっつ、ごー、あんど、レムから愛の逃避行！」
「――……や、やっぱりダメだ。コレ……普通に死ねる、ぞ……」
レム、股間強打。合掌。
……何でしょうね？ すっごいテンションが低い理由って。もう自分駄目駄目ですから。
【今日のメイドさん】
「あ、そちらの御方、少々宜しいですか？」
「は、はいっっ、なななんでしょうか！！？？」
「はあ、それよりもお顔が赤いようですが、お身体は大丈夫ですか？」
「だだだだだいじょうびゅびゅ！！」
「……申し訳ございません。体調が芳しくなかったようですね。少々お聞きしたい事があったのですが、他の方に伺う事に致します。貴方は……どうかお早めに御身体を八重洲目てくださいませ？」
「ははははは、ひゃ！？」
「……ふぅ、何故でしょう？ もしかしてこの街、今風邪か熱中病でも流行っているのでしょうか。困りました」
