ど-573. お前が悪い――!
原因、シャトゥ
「……私が何をしたと言うのですっ、ぷんすかぷん」
「――俺は全てを見ていた」
「ぷんぷんっ、レム、あの愚民ども酷いのです!」
「ズバリ言おう。シャトゥ、全てお前が悪い」
「レムもあの愚民たちの味方をするのですかっ」
「味方も何も。シャトゥ、アレはお前が悪い。大人なら兎も角として、子供相手に『跪きなさいっ』はないだろ?」
「うむ? 皆さん普通に『ははー』ってしてくれましたよ?」
「……まあ普通に跪いてたな、子供たち」
「私の魅力に掛かれば当然なのです!」
「いや、あのくらいの子供たちだと流石に……単にノリでやってただけだと思うけど」
「なのにあの愚民どもっ、態度をころりと一変させたのです!」
「一変もなにも、単に昼食取りに家に帰ろうとしただけじゃねえか」
「私を放って何処か行こうとしたのです!」
「いや、さ。お腹すかせて帰りましょ、って所の子供たちをシャトゥが無茶言って引き留めようとしたのがそもそもの原因だぞ?」
「私はもっと遊びたかったのっ!」
「だからってなぁ……力ずくで子供たちを止めようとしたのが駄目だっての」
「……う、うむ。流石に必堕技を繰り出したのはちょっとやり過ぎだったかも?」
「ああ、そうだな。何かおやらしきヒトたちが血相変えて走ってきてたもんな」
「ふふ、お陰で新しい信者が出来ました!」
「……ああ、怒って乱入してきたはずなのに、何故かいつの間にかシャトゥに頭下げてたよな、あのヒト達」
「全ては私の魅力のおかげ!」
「魅力……と、言えば魅力、か?」
「うむ!」
「いや、でも、なぁ……だからこそ、だと思うぞ」
「な、何がです?」
「いや、シャトゥが親たちを手懐けたから、その所為で子供たちが拗ねたんじゃないか」
「全くもう、失礼な愚民たちなのです、ぷんすかぷんっ」
「だからシャトゥ、お前が全て悪い。――ったく、遊び足りないっていうんなら少しくらいは俺がつきあってやるからさぁ」
「ホントですかっ!」
「あ、やっぱり訂正――」
「男に二言はありませんっ」
「……ゃ、それはどちらかと言えば俺のセリフ」
「と、レムが申しておりました?」
「いや、言ってない。……まあ、シャトゥに侮られるってのも癪だから、一応言った事だけは守るけどさ」
「ではレムっ、今から我と遊ぶのですっ、いっぱいいっぱい遊ぶのですつ、具体的には三十日程遊び続けるのですっ」
「……いや、死ぬだろ、それ」
「男に二言はない!」
「……シャトゥ、やっぱり訂正していいか?」
「駄目です!」
「……はぁぁぁぁ、仕方がない。頼むから、お手柔らかに、な?」
「うむ! 全て我に任せるのっ」
「……嫌な予感しかしねぇ」
基本的にシャトゥは往きとし生けるもの、何者にも対しても敬われる存在。
しかも無条件で。
だからこそ、この世界は色々と終わってしまっている(汗)