ど-565. 堪忍袋に穴あいた
……何か急に限界来た。
でも他力本願
「もうっ――限界だ!!!」
「え、え???」
「もう我慢ならんっ、限界も限界だっ!!」
「え、ちょ、レム……?そんなに言う程ここのご飯美味しくなかったわけ? それに我慢の限界って……」
「それは違う!! 第一こんな美味しい――もとい、ちゃんと食べる事が出来る食べ物を不味いなんてありえねえよ!! 何処だ、そんな事言う不届きモノはっ!! 俺が地獄見せてやる」
「? なら一体何が我慢できないって言うのよ?」
「よし、スィリィ。ちょっとギルドを潰してくるか」
「は? だから何急に変な事言ってるのよ? またいつもの発作?」
「いや、違う。てかいつもの発作って何だ、発作って」
「レムって時々、何の脈絡もなく途方もなく変な事を唐突に言いだす事があるわよね?」
「え、いや、全然」
「……あるでしょ?」
「いや、無いだろ?」
「……」
「……」
「そ、無自覚なのね」
「何か酷い言われようだぞ、ソレ!?」
「……それで、今回は一体どうしたって言うの?」
「何だよ、その『はいはい、聞いてあげますから取り敢えず言ってみ?』的な上から目線な態度は」
「あ、そ。別にレムが話したくないって言うんならそれでいいわ。どうせ厄介事だろうし、聞かないに越したこともないわよね」
「でさ、スィリィ、やっぱり潰そうぜ、ギルド」
「ええ、別に良いわよ?」
「え、マジッ」
「? ええ。それでどのギルド? 盗賊? 暗殺? 私が知ってる所なら良いけど、知らないなら少し手間よね」
「ああ、それなら大丈夫だと思うぞ。スィリィでも知ってる大手だし」
「大手……と、言うとあれかしら? あの大物――漆黒の鬼人が居るっていう噂の、暗殺ギルド……確か、」
「あ、それじゃない。あとキスケの大馬鹿野郎ならソコにいないぞ? それはデマだ、デマ」
「え、そうなの? て、そこが違って、大手って言うと……」
「おいおい、スィリィ。何とぼけてるんだよ。第一ギルドって言ったら一つしかないだろ? あのスフィアの隣に拠点を陣取ってる奴だよ、アレ」
「……え?」
「ギルドって言ったらそのギルドしかないだろ、普通」
「え、ああ……まあそうだけど、」
「で、早速つぶしに行こうぜ、そのギルド」
「……」
「……スィリィ?」
「――はあぁ!? レムっ、あなた何言ってるのか自分で分かってるの!? あのギルドを潰すって事はつまり世界を敵に回すって事と同義よ!?」
「えー、だってアレ、ウザいじゃん」
「ウザいって……え、ナニ、もしかして潰すとか言い出したのはそれだけの理由だったりしないわよね?」
「え、それだけだけど? さっきから言ってるだろ、我慢の限界だーって」
「が、我慢て、……何の我慢なのよ」
「いやさ、もうこの際だから指名手配とか面倒くさいものをあとくされなく断とうと思って。そのついでにルーク・サリウスをぶっ飛ばしてこようかな、と。今なら戦力としても十分だしなっ」
「後腐れなくって、……余計にあとくされが出来ると思うんだけど?」
「大丈夫だ。主にスィリィが証拠と言う証拠を徹底的に排除してくれるから」
「って、私がするの!?」
「当り前だろ? 第一、仮にもギルドの長やってるルーク・サリウスに俺が正面から向かうはずがないだろうが。それにそもそもあいつ、リッパーに振られて以来俺のコト恨んでるし。やるなら闇討ちだな、うん」
「……まあ良いわ。それならギルドでも何でも潰しましょうか」
「え、マジ? いや、自分から言っておいて何だけど、そんなに簡単に了解していいのか、スィリィ? ……主にヒトとして良心の呵責とかさ」
「それをレムに言われたくないわよ」
「もっともだ。まあ取り敢えず、ルークの阿呆は前々から気に入らなかったので、と言うよりも俺を一方的に敵視してるのが非常にウザいので。スィリィという最大戦力が今こっちにあるうちに潰せるものを潰しておこうかなっと」
「……何か凄い理由よね、それって」
「大丈夫だっ、スィリィなら出来るって!」
「…………まあ、レムがそう言ってくれるなら」
「よし。じゃあ軽く行ってギルド潰してくるか。――主にスィリィが」
「……レムも手伝いなさいよね?」
「嫌です」
――――やっちまうか
……つづく?