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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさん+女の子とご主人様
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56. どれいとざいじょう

~これまでのあらすじ~

婦女暴行の罪で一度牢屋に入れられたレム君。一度脱走したはいいが、また捕まってしまい、再度牢屋に逆戻りすることになった。

が、そこで諦めるはずも当然なく、――また逃げだそうとしたところでやっと追い付いたサリアや、次の刺客(?)クリステル・リュートリアムが姿を見せた――

……て、感じかもしれない事もない?



クリステル・リュートリアム・・・W.R.第六位『金奴』の異名で知られている凄く強い女の子。お金大好き、お金に厳しい。ケチ、お金持ちとか世間では思われていたりするが、その実態は――実は借金まみれで常にお金がないと貧困生活をしている苦労人だったりもする?


レアリア・・・レムの奴隷の女の子、その2。基本、ツンデレのツンが120%くらいでデレが-20%くらい。只今、人生転落中。

シンカ・・・レムの奴隷? の女の子、その3。予言の巫女とか大層な肩書を持っていたはずなのだが――ヒトとは落ちる時は早いモノなのですね……

アルーシア・・・愛称アル、レムの奴隷の女の子、その1。基本、無口。と言うか“喋り方”を知らない。


「――ひゃほーいっ、俺は自由だぜぇぇぇ!!!」



「待てっ、いや待たなくても良いから当たれ、このっ」



「俺は自由だ自由なんだっ、……例え後ろから追いかけてくるのが死神の類であろうともっ」



「縛砂!!」



「おっと?」



「っっ、また!!」



「ふふっ、流石に建物の中だとお得意の派手な魔法は撃ってこれないみたいだな!」



「くっ、一々そのしたり顔が腹立たしいっ」



「ふふ~んっ♪」



「縛砂! 縛砂!! 縛砂!!!」



「お、……っとと、ゃはっ!?」



「またっ」



「ふっ、その程度の魔法じゃ俺を捕まえるにはまだまだ全然甘いですなー、クリステル君」



「――待てっ、この!!」



「ふっ、待てと言われて待つ阿呆はシャトゥくらいしかいないわ、ボケめっ!!」



「……ま、それもそうさね? 『待て』と言われて待つ阿呆が居ないのと同じ、待たないと分かってて『待て』なんて言う方も阿呆だと私は思うよ――疾っ」



「――っ」



「やっと追い付いた。相変わらず良い感じに手間を掛けさせてくれるね、――レム?」



「……ちっ、流石はクリス。魔法の小手先の技術は流石だな。今のは風の魔法の応用か?」



「そうだね。とはいっても今のはほんの少し風に背中を押してもらった程度からそこまで大した事をした訳じゃ、ないけどね」



「やっぱり――お前相手だと正面から逃げるってのはちときついかー」



「それは、いつも逃げてるチキンなあんたからの、最高の賛辞だね……褒めてくれているようでうれしいよっ」



「そうか? じゃあ嬉しいならその嬉しいついでに俺の事を見逃してくれると、俺も嬉しくってたまらなくなるんだけどな」



「それとこれとは話が別、だね」



「だよなー」



「それにそもそも――私はあんたに数えきれないくらいの恨みがあるって言うこと、分かってるわよね?」



「何のことか、全然ワカリマセン」



「……とぼけるとでも言うつもり? 一体誰の所為で、私が借金まみれの生活を強いられてるか」



「お、“まだ”借金してるのか? 借金は良くないぞ、クリスー?」



「……」



「お金に意地汚いって言うのが第六位の定評なのになー? お金大好き、クリスちゃん」



「……そうだね。確かに私はお金は好きだよ? でもね、だからって別にケチな訳でも業突く張りってわけでもない」



「やだねぇ、この子は。そうやって自分を違うって言う奴に限ってまさにその通りなんだよなー」



「ああ、確かに。そりゃ正にあんたの事だね、このロリコンレム」



「――それは違うっ!!! 大体なんだっ、その不快極まりない呼び名は!!」



「世間一般に出回っている、正当なあんたに対する評価そのものだと思うけどね?」



「それは違う。それは断じて違うぞ、クリス。俺は断じてロリコンなんて特殊なヒトじゃない!」



「……そうさね。私の知りうる限りで、偶然を装って婦女子の着替えを覗くコト19回――」



「ゃ、それは不運な事故……」



「ついでにっ、事故を装って女の子に抱きつくこと527回、」



「いやー、偶然って怖いよなー」



「……だからレム、あんたが“ロリコンだけ”じゃないってことくらいは分かっているさ」



「いやね、クリステル君。全部偶然、あくまで不幸な事故だから、俺に下心とかそういうのは一切なかったからっ」



「流石に私が見てるだけでも回数が回数だからね、実際の所どれだけの女を毒牙に掛けているのかと思うと、もう嫌悪や呆れを通り越して感心すら生まれるくらいだよ」



「……ま、まあ世の中には不幸の女神に好かれてる奴ってのもいるんだよ、うん。そこのところはちゃんと分かってほしいかなー」



「――と、言う感じの事をこれだけヒトが多い所でばら撒いておけば十分かな?」



「うおおおい!!?? クリスっ、それは戦略とかそういう事にしてはあんまりじゃないですかっ!?」



「まあ、この程度じゃあんたにとっちゃ、痛くも痒くもない――殆んど堪えてないんだろうけどね」



「いやっ、滅茶苦茶堪えてますが!? 俺の知らない所で俺の風評が最下層まで堕ちてくことに激しい怖れと失望を抱いてますがっ!?」



「お遊びは――終いだよ。私も仕事で来てるからには失敗は許されないんだ。大人しくスフィアまで連行されな」



「お断り、だッ!! 大体俺はアルと楽しく、ちょっぴり辛いことや悲しい事もあったり? でもそれが時には二人の絆を強くも確かなものにしちゃうのさっ、的な感じで旅してる最中なんだ。それを邪魔して立ちふさがるって言うのならだれであろうと俺が粉砕するまでの事っ!!」



「……へぇ、レム、やる気なんだね?」



「応ッ、アルとの楽しい一時の為と思えば当然――」






◇◆◇






「――あ゛、レム」



「へへへ、ヘムさん!!??」



「……(こくこく)」









「――よう、レアリア、シンカ。お前ら、速攻でお仕置きな? あ、アルは俺が居ない間俺に逢えなくて寂しくなかったかー?」



「レムッ、あんた、私を前に余所見なんて、」



「ふっ、甘いぜ、クリスッ! アルを前にして俺に『逃げる』のコマンドは存在しないっ!! アルが後ろで応援してくれると言うのなら、俺は相手がだれであろうと勝てる自信があるねっ」



「――っっ」



「……そこで油断しないでちゃんと警戒するのは大したものだよな、クリス?」



「……あんたはあのリリアン姐さんが――それに何より“姫様”が認めているくらいだからね。滅多な事じゃ、油断なんて怖くてする気も起きないさ」



「お前のそう言う所、俺は結構好きだぞ」



「――な、」



「具体的には警戒し過ぎて隙を作りやすい所とか、な」



「っっ」



「へいっ、アル、カモンッ! ついでにシンカもっ。レアリアは“俺について来い”」






◇◆◇






「っ、何コレ、身体が勝手に――!?」



「!!!???」



「……」



「アル、こんな荷物みたいに持っちゃってゴメンなー? あとシンカも、暴れるんじゃないぞ? 暴れると落とすかもしれないから」



「レムッ、あんた私に何を――」



「っっっ」



「……(ふるふる)」



「何、って。なあレアリア、お前、俺がお前のご主人様だってコト、忘れてないか? 基本的に俺はお前にどんな命令でも出来るんだぞ? 例えばこんな所で着てるもの全部脱げとか――」



「誰が脱ぐかー!!!!」



「っっ、っっ、……へへへへむさんっ、うわ、浮気は駄目なんで、ゃ、落ち、落ちるっ!?」



「……(ふるふる)」



「いきなり殴りかかってくるなよ、危ないじゃないかっ!」



「誰の所為よ!!」



「ひゃんっ!?」



「……(ふるふる)」



「――っと。アルにシンカ、頼むからもう少し大人しく。じゃないと本当に落としちまいそうだ、ってまあアルは死んでも落とす気さないけどさ。それとレアリア、少し“大人しくしていろ”」



「ッッ」



「……ぁ、危なかったですぅぅ」



「……(じー)」



「レアリア、それにアルとシンカも。今は漫才してて逃げ切れる程楽な相手じゃないんでな。ちゃんと俺の指示には従ってくれよ? あと、出来る限り俺から離れないように。俺が一人にならない限りクリスも派手な魔法は撃ってこれないだろうしな」






「――人質とは卑怯者ー!!!!」






「な?」



「――」



「あああ、あのあのヘムさん!? あのヒト、後ろのあの人誰なんですか!? 何か凄い形相で追いかけてきてますけどっっ」



「……(じー)」



「おっと。そう言えばレアリアは今“大人しく”してる最中だったか。そしてシンカ、後ろのあれはクリステル・リュートリアムという女の子だ。何で追われているかに関して言えばこの不思議な状況に俺がどうしてって聞きたいくらいだ」



「ク、クリステル・リュートリアム!?」



「? レアリアさん、知ってる方ですか?」



「……?」



「あ、レアリアは知ってたか?」



「しっ、知ってるも何もW.R.第六位じゃないっ!? なんでまたそんなのに追いかけられる状況になってるわけ!?」



「わ、ワールドランクの六位!?」



「……?」



「まあ色々と事情があるんだよ、事情が。俺としてはただ単に脱走しただけなんだが。アレに掴まると色々と面倒くさい事になるし。折角アルと楽しい旅の最中なのに他の奴に邪魔とかされたくないだろ?」



「「……楽しい?」」



「……?」



「誰が何と言おうと俺は楽しい!! まあ俺としてはこんないつ捕まるかも分からない鬼ごっこよりも、アルと喫茶でまったりデート、とかの方が数百倍、いやもう比べる事も出来ないくらいなんだけどなっ」



「「「……」」」



「な、何か三人の無言の訴えがひしひしと伝わってくる気もするが、まあいい。今はそんな事よりも――おい、マレーヌ! クリスを一日くらい足止めしておけっ、それで今回の色々な無礼、お仕置きは勘弁して置いてやるっ。――あ、あとサリアへの言付けも頼むな?」






◇◆◇






「――委細承知いたしました、主様」






◇◆◇






「っし。これで安心して逃げることに専念できるっ。今のうちに次の街に行くぞっ、レアリア、シンカ、アルっ」



兎に角逃げる、逃げる。逃げの一手で。

『戦う』とか『魔法』『道具』とか、そんなコマンドレム君には存在してませんよ?

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