ど-559. 危険がいっぱい?
……遅まきに気がついた。
シャトゥ&アルアって、ボケ&ボケでツッコミ不在じゃないか――!
道理で話がひたすら彼方に飛んでいくことしかしない訳だ(汗)
「しっ、死ぬかと思いましたっ」
「……シャトゥルヌーメ様」
「アルアっ、アルアは無事ですか?」
「……(こくん)」
「しかし、今回ばかりはルルがいなければ本当に溺死する所でした」
「……ルルーシア様のお陰です」
「うむ。ルルには後で良い子良い子して上げましょうねっ」
「……(ぽっ)」
「さて。それじゃあ改めてレム狩りを再開するの」
「……(こくん)」
「レムの居場所は、どっこ、かな~?」
「……分かりません」
「心配しなくても大丈夫です、アルア。私にはとっておきの秘策がありますから!」
「……流石はシャトゥルヌーメ様です」
「うむ、当然です。では早速、この棒を地面に立てて、――うむむっ!?」
「……」
「あ、あっちですね」
「……(こくん)」
「今日はちょっとだけ北風が強かった気がしますけど、多分大丈夫! 私の探し物占いに狂いはないのですっ」
「……(こくん)」
「ちなみにアルア、ただの棒倒しと言って侮ってはいけませんよ?」
「……(ふるふる)」
「ふふふー、こう見えてあの棒倒しは、本当にただ棒を立てただけなのです。なので向こうにレムがいないと……しょんぼりなの」
「……きっといます」
「うむ、そうですね。我は我の信じた道をひたすら突き進むのみ――なのですね?」
「……(こくこく)」
「それこそが王道!」
「……(こくん)」
「我が進む道こそが神道ならぬ正義の道しるべなのです!」
「……!(こくこくこく)」
「いざ、獲物を求めて突き進むのですっ、――敵は西南にあり!」
「……シャトゥルヌーメ様?」
「うむ? さっき棒が倒れた方向と違うのです?」
「……(こくこく)」
「ふっ、アルアはまだまだ甘いの。時と場合と私の気分気持ちによって色々と大切なものは変わってくるのです。――我のレムへの愛情以外っ」
「……おー」
「と、言う訳で素直に棒が倒れた南に進みましょうか。何となくレムは西南にいる気がするのですが……断腸の思いなのです」
「……はい、シャトゥルヌーメ様」
「……ところでアルア、一つ重要な事を聞いておきます」
「……?」
「食べ物、何か持ってませんか? 私はお腹がぐーぐーです」
「……ないです」
「……」
「……(ふるふる)」
「さて、困りました。溺死の次は餓死するかもしれません。流石は地上、気を抜くと命がないかもなんて、危険がいっぱいなの」
「……シャトゥルヌーメ様!」
「うむ、いざとなったらルルを食べましょう」
キュ!?
「……(じー)」
「と言うのは流石に冗談なので安心して下さい、ルル。ルルを食べるくらいならば私は餓死を選ぶ!」
「……はい、流石はシャトゥルヌーメ様です」
「うむ、当然の事なのです!」
「……(こくん)」
「……ところでルル、少し相談なのですがそのぷりぷりした尻尾の端っこを、少しだけくれませんか?」
きゅきゅっ!!??
「……(じー)」
「……ごくりっ」
「……(じー)」
「……はぁ、はぁ、はぁ」
「……(じー)」
「……じゅるりっ?」
「……(じー)」
「もっ、もう辛抱できませーんっ!!」
「……!(だっ)」
キュ! ガアアアアア――
「うみゅ!? ルル! 急に炎を口から出すのは反則なの!!」
「……熱いです」
「ふー、危うく焼死する所でした。危ない危ない」
「……(こくこく)」
「ところでアルアはルルの炎に正面から包み込まれましたが、大丈夫なのですか?」
「……熱いです」
「大丈夫そうなので一安心です」
「……(こくん)」
「と、いうわけでアルアっ、下僕一号様に引き続きルルが死んじゃわないうちに、早く食べ物いっぱいの街に向かいましょう! レムは喰わねどご飯ほしい、なのです」
「……(こくん)」
「では、ごールル! ……と、行きたい所でしたがルルが怖がって近づいてきてくれません。……しょんぼり」
「……(しゅん)」
「仕方ないので地道に歩きましょうか、アルアっ」
「……はい、シャトゥルヌーメ様」
そしてシャトゥと愉快な仲間たち一行は今日も荒野をさまよう。