ど-557 .少し、真面目? やる気?
レム君、少しやる気も~ど。
「――ふっ、はっ、やっ」
「……」
「――っと。ん~、いまいちしっくりこないな。こう攻撃を、それからこう繋いで、んで、だろ? だから、――」
「……」
「ん? そう言えばさっきからずっと黙ったままぼっとして、どうかしたのか、スィリィ?」
「……」
「……スィリィ?」
「……」
「おいこら、スィリィ・エレファン!」
「……」
「駄目だ、こりゃ。――いや、待てよ? 今ならちょっぴり悪戯しても気付かれない?」
「気付くわよ!!」
「お、お帰り」
「ただい……て、何のことよ?」
「いや、こっちの話。それよりもどうしたんだ? さっきから何だかぼっとして。熱でもあるのか?」
「ね、熱はないわよ、熱は」
「ならどうした? 体調でも悪いのか?」
「悪いと言えば……ええ、確かに悪いかもしれない、わね……?」
「……本当に大丈夫か?」
「大丈夫。別に身体の調子が悪いとか、そう言う訳じゃないわ。……胸はちょっとだけ苦しいかもしれないけど」
「胸? おいおい、それって全然大丈夫じゃなくないか?」
「大丈夫なの!!」
「でもなー。知ってるか? 大丈夫って言う奴ほど実は危なかったりするんだぞ?」
「っ――だから私は大丈夫って言ってるでしょ、このバカレム!!」
「バカとは随分な言い様だな、おい」
「何よッ! ただちょっとレムの姿に見惚れてただけじゃない!! 悪いの!?」
「いや、悪くは……ん?」
「? ……、――!!」
「ほー、見惚れてた。そうですか、ふふん、俺の雄姿に見惚れていたと、そう言う訳ですか、スィリィさん?」
「……だって、あんな真剣なレムの顔、久しぶりに見たから」
「真剣? そうか?」
「うん。剣振ってる時のレムの顔、凄く真剣で……恰好良かった、わよ?」
「んー。どうにもな、今一実感ない事を言われてもピンとこない。真剣、真剣――ねぇ?」
「そ、そうよっ」
「……ま、それは置いておいて。ふふー、と言う事はズバリ、俺に惚れ直したなっ!」
「……ちょっとだけ」
「……何か新鮮だ。素直にそう返されると背中のあたりがむず痒いって言うか、何か裏があるんじゃないかと疑ってかかりたくなる自分に嫌気が差すと言うか、……――スィリィってさ、今更だけど」
「何よ?」
「俺の事、好きだよなぁ」
「な、にゃ、な……なななななぁぁ!?」
「……うん、だよな」
「ななにゃにゃにゃにゃにゃにゅっ、何よっ、そうよ! 悪いって言うの!?」
「いや、誰も悪いとは言ってないけど」
「な、……なら、その、ぅ…………嬉しい?」
「(ぐっ!)」
「……」
「ま、お遊びはこのくらいにして、」
「私ことは遊びだったのねっ!?」
「はいはい、お約束どうもねー。ま、スィリィをからかって遊――、休憩はこのくらいにするとして。そうだな、スィリィ、ちょっと稽古の相手してくれよ?」
「遊、……私が?」
「そ。やっぱり一人で剣振ってるだけだと、どうもなー。やっぱり相手が居た方が気合が入るかな、と」
「まあ? 別に良いわよ。……間近で真剣なレムの姿を見られるって言うのも、その真剣な目で私を見てくれるって言うのも悪くない、むしろ良いし……」
「――じゃ、早速行くぞ」
「って、全然聞いてないし」
「ほら、油断してると怪我しても知らないぞ」
「っ、レムの癖にいい度胸ねっ!!」
「ま、俺もそろそろ鍛え直さないといけないかなって思い始めてきたところだしな。丁度いいから、ちょっとだけ本気で行くぞ? 良いな、スィリィ」
「……」
「って、おいスィリィ?」
「……ぁ、うん。分かったわ」
「……本当に大丈夫か?」
「――っ、だ、大丈夫よっ。また見惚れてなんていたわ!」
「微妙に言葉遣いがおかしいが、本当に大丈夫か?」
「大丈夫よッ! 良いから掛かってきなさいっ、それとも私の方から行きましょうか!?」
「……いや、俺の方から行かせてもらおうか」
「――来なさいっ、レム」
ぼくねんじんー