ど-555. ボケ&ホゲ
何処かのシャトゥルヌーメちゃん
「……ここ何処です?」
「……?」
「私はレムを探していたはずなのですが、何故砂漠のど真ん中にぽつり?」
「……暑い」
「うむ。私も汗だくだく。お水が欲しい所なのです」
「……喉渇いた」
「うむ、我も喉が渇きました。具体的には脱水症状の一歩手前です。うむ? 元気に見えます? それはアルアの気のせいです」
「……シャトゥルヌーメ様、大変です」
「うむ。まさか我もこのような所で力尽き朽ち果てるとは想像もしていませんでした」
「……(こくん)」
「――仕方ありませんね。最終手段です」
「最終手段?」
「ええ、――と言うよりもどうしてこんな仕様もない事で窮地に陥っているんでしょうね。……はぁ」
「……シャトゥルヌーメ様?」
「どうかしましたか、燎原?」
「……」
「燎原?」
「……しゃとぅ、さま――だぁ」
「? ――ええ、そうですよ?」
「――っ、お逢いしとう御座いましたっ、女神様!!」
「あら、燎原?」
「はいっ、感無量です!!」
「相変わらず賑やかな子ですね?」
「そんな、褒めてもなにもでませんよ~」
「一切褒めてませんが」
「そ、そんな!?」
「そんな今すぐ死にそうな顔をしなくても……」
「し、死にそうです。そんな、女神様に見放されてしまえば私はどうやって生きれば……」
「普通に生きなさい、普通に」
「女神様のご慈悲に感謝します!!」
「……慈悲?」
「こんな私でも見放さないでいてくれるんですねっ、女神様!!」
「ちっともそんな事言ってませんよ?」
「はぅ!? で、でもそんな冷たい事を笑顔でさらっと言う女神様もステキです!!」
「……相変わらずですね、燎原」
「い、いや~」
「……まあ、今はそんな事よりも水ですね、水。早くしないと脆弱なこの身体が参ってしまいます」
「――くっ、私の無駄話の所為で女神様に何と言う仕打ちをっ!? こ、こんな私なんて切腹して死んでしまえばよいのです!!」
「……待ちなさい。アルーシアの身体に何をしようとしているのですか、貴女は」
「はっ!? そうでした!! ……つい」
「つい、で殺されればその子も可哀想でしょうね」
「――くはっ!? そんな冷たい目で私を見ないで!? そんな目で見られると私……私、……癖になっちゃう、かも?」
「取り敢えず正気に戻りなさい、燎原。――必堕のぉぉぉ――『赤いツッコミ&幻のハリセン』……ていっ」
「ぁぅ!?」
「……って、何をやらせるんですか、全くもうっ」
「照れた女神様もす・て・きっ!」
「……全く懲りてませんね、この子は」
「もっと褒めてっ、もっと褒めてっ!」
「だから、褒めてません……はぁぁ。っ、」
「め、女神様!?」
「……喉が、渇きました」
「――只今水をお持ちいたしますっ、水を!!」
「ぁ、燎原、少し待」
「水っ、召喚します!! 出でよ、水! 」
「……、……あー」
「女神様っ、水ですっ、水!」
「コップ一杯あれば十分だったのですが。――ずいぶん立派な湖ですねぇ、燎原?」
「……てへっ?」
「まあ私の為にしたことと言う事で許して――」
「ありがとうございます、女神様!!」
「――あげるとでも思いましたか?」
「流石は女神様です!!」
「……本気で思っているようですね。この能天気な娘は」
「当然ですっ!!」
「砂漠の生態系を滅茶苦茶にして、ふふっ、本当に、本当に――仕方のない子ですね、貴女は」
「……ひっ!?」
「――」
「……、め、女神様?」
「ひゃっほ~い、いっぱいのお水なのですっ!!」
「……あ、無邪気な女神様も素敵」
「よしっ、我、復活!!」
「ら、らぶり~♪」
「――と、思ったらお水の底に足がつかないです! わぷっ」
「めが、シャトゥルヌーメ様が!?」
「アルアっ、あるあっ、助けて、テスタ!!」
「シャトゥルヌー、わぷっ、……わたしも泳げませんでし、……」
「アル、わぷっ」
「シャトッ、わぷっ」
「わぷぷ」
「わぷぷぷ」
「……、きゅぅ~」
「……にゅぅ~」
そして流されました。
『赤いツッコミ&幻のハリセン』
シャトゥ、108の必堕技の一つ……ではない。皆のアイドル? 女神シャトゥルヌーメ様の即席必堕技。
赤いツッコミは通常の三十倍の速さでツッコミを行うらしい。……とは言っても基本、反撃不可なので技の速さとか、全く関係ないですが。
幻のハリセンは真っ赤に染まったハリセン。別に血とかで染まってるわけじゃなくて、どちらかと言えば痴に染まっている。……まあ普通の真っ赤な果実とかの染料使ってます? 実は何の変哲もないただのハリセン。ただ材料が世界に存在しない物質で出来てるとか何とか。