ど-551.出だしは順調?
基本、スィリィ嬢相手には強気に出る事が出来るレム君。
……そう言えばレムが強気に出れる相手ってどのくらいいたかな?
「――良い風だ」
「っ、はーっ、はーっ、はーっ……」
「まるで俺の事を呼んでいるようだ。――具体的には世界中の女の子たちがっ!!」
「死ねっ!!」
「おっと。もう、危ないじゃないか、スィリィ。当ったら痛いじゃ済まないぞ?」
「そのっ、つも、りでっ!! やってるの、よ!!」
「……と言うより大丈夫か? 何か凄く辛そうなんだが?」
「わた、にはっ、……どうして、レムがそんな平然として、るのか、がっ! 分かんない、わよ……」
「どうしてと言われても? いつも元気でちょっぴりお茶目なところが俺のチャームポイントの一つだから?」
「……三日、走り続けてっ、なんでそれだけピンピンしてるのよ……?」
「――……ふふ、三日程度どうってことないじゃないか。知ってるか、スィリィ、ヒトって死ぬ気になれば五日くらいは全力で走り続ける事が出来るんだぜ?」
「……それ、絶対ヒトじゃないわ」
「安心しろっ、此処に実体験した本人がいる!!」
「……正気?」
「当然正気だとも。そして嘘でもないぞ。いやー、あの時の事は今思い出せばいい思い出ってやつだな、うん。……いや、ごめんなさい。やっぱり全然いい思い出じゃないな。あんな体験、もう二度とご免だし」
「……」
「よせやぃ。そんな熱い瞳で見つめられると照れるじゃないか」
「なっ!? そ、そんなんじゃないわよっ、確かに少しだけ見惚れてたけどっ!!!」
「見惚れてた? 少しだけ?」
「あ、うん」
「……ほー」
「な、なによ!?」
「いや、なんでも」
「……」
「……」
「――って、何で急に服脱ぎだしてるの!? まさかいきなりそんな!?」
「ちょっくらツィートル狩ってくる。……と言うか『いきなりそんな』ってのは具体的にはどんな?」
「ッッ」
「まあいいや。スィリィの淫らな妄想にツッコミを入れるのは今は勘弁して置いてやろう」
「みっ、みだらって何がよ、なんの事よ!?」
「……言って欲しいのか? 具体的な説明が必要とか?」
「ぃ、言えるものなら言ってみなさいよっ、説明してみなさいよっ!!」
「……涙目でそんな事叫ばれてもなぁ」
「な、泣いてないわよ!?」
「うん、まだ、な」
「まだも何も――、っっ!!」
「? どうかしたか、スィリィ?」
「ままままま、前っ、前を隠しなさいよっ!? いえ、そんな事より服をちゃんと着て!?」
「嫌だよ。濡れるじゃないか」
「ならせめてその粗末なものを手で隠しなさいよっ!?」
「そう言いつつちらちらこっちを覗き見てくるスィリィちゃんの、えっちぃ~」
「ちがっ……」
「と、まあ冗談とスィリィで遊ぶのはこのくらいにしておこう。……ついでに幻覚も解除、っと」
「――、ぇ?」
「嫌だな~、俺は露出狂じゃないぞ? 女の子にそんな、自分の裸を見せて喜ぶとかそういう趣味は、……、……ないぞ?」
「ちょっと!? 今の間は何なの!?」
「自分を再確認するための時間だ。まあ気にするなっ!」
「気になるわよ!?」
「ついでに衝撃の告白をしておくと、スィリィにかけてた幻覚ってのはスィリィ本人が望んだ幻を見せるものだったり?」
「嘘っ!!」
「うん、実に衝撃的な事実だよな」
「嘘よ!!」
「そう否定したい気持ちは分かる。……でもな、スィリィ」
「な、……なによ?」
「まっ、それもムッツリーニョなスィリィちゃんの一面って事だっ、わははははは!」
「、……――、~~っっ!!!!!!」
「じゃ、つーわけで今度こそツィートルを狩ってくる。大人しくまってるんだぞ~?」
「ま、待ちなさい、レム!!!!」
「……」
「レ、」
「――待てと言われて待ってくれるほど世界は甘くないんだよ、スィリィ」
「……ぇ?」
「それでも待ってほしいと望むなら自力で、力尽くで待たせてみせろ」
「……」
「つーわけで、じゃあなッ、スィリィ!!」
「え、あ、ちょ――」
……予告通り、ゆめのなかは夢の中に消えましたー。
この文章の意味の分からないヒトはスルーで。
……んー、しかし、レムとスィリィ嬢の会話はどうも今一ノリが少ない。ちょっと考えもの。