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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさん+女の子とご主人様
906/1098

 ど-546. さあ、旅立ちだ

色々と、足りていない。

「るらら~♪」



「旦那様? ――聞くに堪えないので即刻その口を噤んで下さいませ」



「いきなりソレ!?」



「それはそうと旦那様、その様に哀愁漂う様な気がしなくもない鼻歌を口ずさんで如何なされたのですか?」



「つーんっ、お前に話す事なんて何もないよー、だっ」



「然様で御座いますか」



「ああ、ないねっ」



「では。旦那様が話したくないと仰られるのでしたら私は素直に身を引いておくと致しましょう」



「……」



「如何なさいましたか、旦那様?」



「……ぃや、いつになくあっさりしてるなって思っただけだ。――何を企んでる?」



「企むなどと人聞きの悪い。強いて申し上げるならば常日頃より旦那様の幸せのみを考えております」



「――嘘だッ!!」



「嘘など、一片たりとも申し上げてはおりません」



「なら……はっ、そうか!! 『俺の幸せを考えてる』って言うのはつまり『俺の幸せを如何にして壊すかを考えている』って事なんだなっ!! そうか、それなら納得、」



「……まさか。そのような事、ある筈が御座いません。私は常に如何にして旦那様が幸せになって下さるのかを熟考し尽くした上で全ての行動を行っております」



「――嘘だッ!!」



「ですから嘘など吐いてはいないと、何度申し上げれば信じていただけるのでしょうか?」



「お前が嘘を言わなくなるまで、だ」



「……仕方御座いませんね。口で言っても分かって下さらない旦那様には、どうやら実力で示すほかないようです」



「ほら、やっぱりそう来たっ!! くっ、来るならいつでも来いっ? 俺はいつだって相手になってやる……ぞ?」



「何故、疑問形なのでしょうか?」



「いや、冷静になって考える必要もなく、やっぱりお前とぶつかりあうのはどう考えても俺に分が悪と言うか、可能な限り回避したいなぁ、と思って」



「では旦那様も私の言う事を『嘘だ』などと悲しい事を仰らないで下さいませ。その様に嘘だ嘘だと言われますと、さすのが私も傷つきます」



「――嘘だッ!!」



「……旦那様?」



「いっ、いや。今のは明らかに嘘だろ!?」



「そのような事は御座いません。第一、私は旦那様に対して嘘を申し上げたことなど今まで一片たりとも御座いません。……――“誠でないコト”なら申し上げたかも知れませんが」



「大体よぉ、お前が俺の言うこと一つでいちいち傷ついてるようなタマか?」



「……それもそうですね。旦那様が仰る事を一つ一つ気にしていては、……身がもつはずが御座いませんよね?」



「ああ、だよなっ」



「……」



「――ふぅ、でもな、俺、最近になって思ったんだ」



「……何をでしょうか? 先程、哀愁塗れの歌と言うには聞くに堪えない駄声で口ずさんでいたことと何か関係があるのですか?」



「駄声て、……お前歌の事に関しては意外と厳しいのな」



「おや、旦那様も私ごときの言う事を一々気になどしていては身が持たないのでは御座いませんか?」



「……それはさっき俺が言った事に対する嫌味か」



「――ええ」



「!? な、何だ。今、何か自棄に重い肯定が返ってきた気が……?」



「それで、最近になって何を想われたと仰るのですか、――音痴で色々なものが圧倒的なまでに足りていないこの旦那様は?」



「な、何かいつにもまして気迫が……? い、いやな? 俺もまだまだ、修行が足りないな、って己の不甲斐無さをつくづく実感してだな、」



「全くですね」



「って、のを思ってはいてもそうも即答されると何だかムカつくな」



「何で御座いましょうか? ――この色々足りない旦那様」



「……ゃ。はい、って、あれ? 今思ったけど、お前何か怒ってる?」



「はい、怒ってはおりますがそれが何か低能無能この虫けらと比べることすらおこがましい足りないモノが余りに足りなさ過ぎて逆に足りてしまっている様な旦那様に関係あるのですか?」



「ぃ、ぃゃ、まあ、うん。……藪をつついて龍は出さないようにしよう」



「……」



「そ、それでな。俺、このままじゃいけないと思ったんだよ」



「そうですね」



「……」



「――旦那様?」



「……でっ、でだ。俺はこの甘っちょろい自分をもう一度鍛え直すために、ちょっと旅に出た方がいいのかなって、そう考えたんだが、……けどなぁ」



「けど? 如何されたのです?」



「いや、俺が旅に出たりなんてしたらアルアに逢えなくなるし。それじゃあアルアも寂しいかな、と」



「御心配なく。そのような事は一切あり得ません」



「……」



「では旦那様は己の甘さを鍛える旅に出る、と仰られるのですね?」



「あ、ああ。むろん、お前の助けもなしでだぞ」



「承知しております。……成程、そう言う事ですか」



「ああ。そうなんだよ。まあ俺が居なくて色々と寂しかったり心細かったり物足りなかったり、そう言う思いをさせちまうとは思うけど、」



「逝ってらっしゃいませ、旦那様♪」



「――ナニその清々しいまでの笑顔!?」



「自力で、と言う事ですので結界の外――タイプー山の中腹まで“弾かせて”頂きますね?」



「いや、ちょ、あそこは流石に厳し――」



「では、ご健闘を――旦那様」



「待て! 最後のその首かっ切る仕草は何、」



「……、――旦那様の言う事を一々気になど、しないはずがないではないですか、おおばか旦那様」



そして邂逅。


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