ど-539. 最近のコト
ぐっすり睡眠中でした。
「ん~?」
「旦那様?」
「んー?」
「如何なされたのですか?」
「如何、如何……ねぇ。何か最近立てこんできてると思ってな」
「立てこんできている、ですか?」
「ああ。何かお呼ばれされてることと、タイプー山に登ってるモノ好きと言い、立て続けに珍しい事が起きてるな、てさ」
「……楽しそうで御座いますね、旦那様」
「楽しい? 俺が?」
「はい」
「はっ、まさか。平穏無事に過ごしたいと思ってるこの俺がどうして明らかに面倒事っぽい事が起きてるのに楽しそうにしてるんだよ」
「さて、それは私には――今更旦那様に申し上げる事でもないでしょうに?」
「楽しい、楽しい、ねぇ……」
「はい」
「ま、俺が楽しいかどうかは置いておくとしてだ。……最近賑やかになってきたよな」
「そうで御座いますね。めぼしい所では“灼耀”に“静鎮”、“原初の姫”の残留思念、そして【点睛】【灼眼】、【冰頂】に【冥了】――そして【燎原】……ですか」
「ああ、ついでに言えば何となくだけど、【透怒】辺りもいそうな気がする」
「【透怒】ですか?」
「そ。男神クゥワトロビェの使徒にして『最遠』、【透怒】――なぁんか不思議と“居る”気がするんだよなぁ」
「それは旦那様の非常によく当たると悪評の、悪い予感で御座いますか?」
「ああ。悪い……ってわけでもないんだけど、何となく。そもそも『透怒』だからなぁ。“居て”もおかしくはないんだよな」
「『最遠』、もっとも近く、そして最も遠い存在ですからね。以前、私が会った時も偶然で御座いました」
「だよな。ま、とは言っても『透怒』は気にする必要もないか。精々が部屋の片隅で泣いてる程度だろうし、問題ないだろ」
「そうで御座いますね。世界にとって、人々にとっても実害足る実害はないでしょう。――もっとも、旦那様にとっては違うのかもしれませんが?」
「ん、ああ、まあ……泣いてるって分かってる女の子を放っておくわけにもいかないしなぁ」
「それでこそ旦那様かと存じ上げます」
「……何か微妙にとげを感じる気がするのだが?」
「気の所為では御座いませんか?」
「……」
「……」
「……だな。気の所為って事にしておこう」
「はい。……しかしながら――今更滅んだ神が三柱に、使徒が六、ですか。それは確かに、賑やかになる訳で御座いますね」
「ああ。とは言っても昔の神二匹と使徒十匹が居た状況とはまた違うだろうけどな。なにより最大の抑止力足り得るはずの女神と『最強』がいるってだけでも大いに違う」
「女神と『最強』、で御座いますか」
「ああ」
「女神シャトゥルヌーメと使徒【燎原】、で御座いますか」
「……ああ」
「……シャトゥと、アルーシア様ですか」
「……、……何故だろう、そう具体的に言われると不安な気持ちしか湧いてこない」
「はい」
「ま、まあ二人ともやる時はやる奴らだよっ、な!」
「やらねばならぬ時しかやろうとされない旦那様と同じで御座いますね?」
「……何のこと言ってるのか俺分からないなー」
「左様でございますか」
「それに俺が何かするって事もないだろ。――俺にはお前がいるしな」
「……勿体ないお言葉に御座います、旦那様」
「んっ、まあ今の言葉を勿体ないと思うってのなら、勿体なくないようにその分の働きを見せればいいさ」
「ヒト使いの荒い旦那様で御座いますね」
「俺の扱いの荒いお前には負けるけどなっ」
「それもそうで御座いますね」
「って、それは認めちゃダメなところだと思うぞ!?」
「いいえ、旦那様。事実はどれほど過酷であろうとも認めねばならぬもので御座います」
「何か色々と認める所が違うよな、それって」
「委細重々承知しておりますので問題ないかと」
「ああ、全くな」
「……、はい」
「なんにしても。立て込んでるってのなら一つ一つその立て込んでる用事を済ませて行かないといけないってコトだな」
「仰る通りに御座います、旦那様」
「差し当たり……そうだな、招待してくれてる奴やタイプー山の件の他にもまあ細々とあるけど、どれが一番最初だと思う?」
「ご招待にお預かりした件で御座いましょうか、――来ます」
「ん? ああ、了解。着いたのか」
「はい」
「――いやはや、久し振りだねぇ……神都」
-とある存在の叫び-
「――――!!!!! ―――――!! ……誰か、私に気づいて」
複線とかじゃないです。ただ思いついたままに書いてるだけなんで(汗)
何も考えていないとも言う。