ど-538. ぷれぜんと、みー
只管、無駄。
「アル~」
「……?」
「あーるーあっ♪」
「……???」
「じゃーん!!」
「……?」
「良い子なアルアへ、プレゼント、ミー」
「……(こくこく)」
「――ぁ、間違えた。プレゼント、フォア、ユー、だ。アルア」
「……?」
「何か最近危ないからなー。アルアには何か身を守るモノが必要だと俺は思うんだ」
「……」
「と、言う訳で急ごしらえで申し訳ないんだけど、これを贈呈しよう」
「……」
「ここ十日程徹夜して作ってみたんだが、一応機能の方は俺の持てる技術の全てをつぎ込んだつもりだから折り紙つきだぞ。ちなみにギルドランクで言えば多分……オーバーS? いや、もうちょい上かな? まあオーダーメイドのオンリーワンって事は間違いないから」
「……(こくん)」
「あ、ついでに使用者を自動認識するから、ちゃんとアルアにしか使えない仕様になってるぞ、それ」
「……(こくん)」
「取り敢えず簡単な説明をするとして、基本機能は周りに危険因子があるって判断したら自動的に周囲の魔力を枯渇させる。それと殺傷能力のある武器も全自動で無力化してくれるすぐれものさっ」
「……(こくん)」
「あ、一応任意で機能限定は可能だぞ。……まあいざって時は問答無用で周り全部を無力化させるけど」
「……」
「応用は……まあ色々とつぎ込んだからなぁ。一言じゃ説明し辛いんだが。敢えて一言で説明するなら――まあ何でも出来るぞ」
「……何でも」
「応。単純なものをちょい説明するとだな、イメージジェネレータを搭載してるから、詳しい説明は止めておくとして、まあイメージした通りのものを創造出来る。まあ、“創造”つっても誰かさんみたいな本当の“無からの創造”とかじゃなくて、周囲の魔力を物質化とか、まあ色々とやっての“創造”なんだけどな」
「……いめーじ」
「ああ。ついでに言うとイメージジェネレータは本邦初公開の技術だぞ。何か徹夜してソレ作ってるとさ、七日目程に不意に脳裏にアイディアが閃いてな。間違いなく俺の快心の出来だと思う。……つか、今となってはどうやって作ったのは思い出せないのが不思議なんだが、まあいいか」
「……(じー)」
「まあそんな感じなんだが。どうだ? 使い方、分かるか?」
「……(こくん)」
「お、流石だな!」
「……いめーじ」
「そう。基本はイメージだな。それさえあれば何でも出来る。ついでに言えば動力は空間を漂ってる魔力を自動的に補給するからアルアには一切負担を掛けないぞ」
「……いめーじ」
「ああ、……お?」
「……イメージ。……いっぱいの、花畑」
「……おぉー、流石アルア。初めてで此処まで使いこなすとは……つか、廊下が一瞬で花畑に」
「……お花」
「ああ、そうだな、花だな」
「……綺麗」
「綺麗は綺麗だけど……コレ、誰が片付けるんだろうなぁ?」
「……きれい」
「――っ、あ、いやちょっと待て、アル――!?」
「……もっといっぱいの花畑」
「っっっ!!??」
「わぷっ」
「……さて、あの花の山は後で責任を持って旦那様に片付けさせるとして。機能の方も……まあ旦那様ですし仕方ないと言う部分がある、むしろ“創造”を模倣してしまっただけ凄いと賞賛すべきなのでしょうが、いえそれよりも………、何故、よりによって形状が“指輪”なのでしょうね、旦那様――?」
-とある少女たちの登山-
「……迷ったわ」
「――だから私はタイプー山何かに上るの嫌だったんだよ、スィリィ!?」
「ま、何とかなるでしょ」
「何ともならないよっ!」
「食材は現地調達、」
「無理。少なくとも私じゃ、逆に食べられちゃう自信があるよ?」
「……もう何か色々と面倒くさくなってきたから、この山、吹き飛ばそうかしら?」
「――ちょ、スィリィ、それは流石に拙くない!?」
「……ふぅ。――、あ、こっちかしら?」
「え、ちょ、スィリィ! 待ってよ!!」
「アイネ、多分こっちよ。さ、行きましょう」
「だから待ってってばっ、スィリィ!!」
何とかの足音。。。