Act ABC. シンカ-1
……賑やかですね~
目の前に白と赤の正装に身を包み、“予言の巫女”シンカが正座をして畳の上にポツン……と座っていた。
目を丸くしてこちらを凝視している。
「……ょぉ」
「……あ、はい。お久しぶり、……、です?」
「元気してたか?」
「……は、はい。元気してました」
「俺に逢えなくて寂しかった?」
「いえ」
「……、俺に逢えなくてさみしかったか、シンカ?」
「いいえ、全く」
「……」
「……」
「……」
「そ――そんな事よりもレムさんっ、今までどこにいたんですかっ!? それにどうやってこの最奥の部屋まで侵入してきたんです、姉さんも警戒してるはずなのに!?」
「あー、やっぱりマデューカスの奴、此処にいるのな?」
「はい、いますけど……?」
「……」
「? レムさん、もしかして姉さんに会いたくなかったりします?」
「ああ。実はな、何か最近マデューカスに命狙われてるんだ、俺」
「そうですか。じゃあちょっと待ってて下さいね?」
「いや待て、何処に行く?」
「あ、ちょっと姉さん呼んできますから待ってて下さいね?」
「なあ、シンカ。しばらく会わないうちに反抗的になった?」
「いえ、そんな事ありませんよ? 私はれ、……レムさんの、…………」
「俺の?」
「ぉ、お嫁さん……ですから」
「お嫁さん?」
「……は、はぃぃ」
「?」
「……、?」
「お嫁さん?」
「は、はいっ」
「……、誰が、誰の?」
「私が、レムさんの、ですっ」
「……ふむ」
「……」
「――え!?」
「……え?」
「……あー、こほんっ。何でもない、なんでもないヨー」
「……」
「そ、そうか。俺のお嫁さん、お嫁さんなー」
「そっ、そんな大きな声で言わないで下さいっ!!」
「いや、そんな恥ずかしがらなくっても良いぞ、シンカっ」
「いえ、単純に巫女としての世間体と、わ、私がレムさんに手籠めにされた、なんてそんなの他人に知られる訳にいかないじゃないですか」
「手籠め?」
「わ、忘れたんですか!?」
「忘れたも何も……何の事だ?」
「そんなっ、酷いっ!! やっぱり私の事は遊びだったんですね!!」
「シンカっ、声でかいでかいっ、今誰か他の奴に気づかれると俺の立場が色々とやばい!!」
「……レムさんなんて、レムさんなんてっっ!!」
「だから声でかいって!!」
「……」
「ぅ、涙目で見られると……何もしてないはずなのに俺の良心がチクリチクリと」
「……私を捨てるんですか?」
「いや、捨てるも何もっ。第一さっきから何の話だ? お嫁さんだの手籠めだの、……実に心に響くいい言葉何だが、ちっとも心当たりないんですけど?」
「……忘れたんですか、わたしのこと、キズモノにしておいてっ」
「キズモノ?」
「私にキスしたくせにっ、無理矢理キスしたくせに!!」
「わー、人聞き悪いっ、人聞き悪いからそんな大声で、――っ!?」
「――ちっ、外しましたか」
「姉さん!?」
「マ、マデューカス!? いきなり何しやがる!?」
「殺りそこねましたか」
「ね、姉さん!? 急にどうしたんですか!?」
「そうだっ、いきなり殺すとか何考えてやがる!?」
「これもシンカの為です。安らかに眠りなさい、レム・ぷっぷるん」
「姉さんは私を未亡人にする気!?」
「そうだそ、……――未亡人!?」
「みぼっ――……、レム・ザ・ゴールドスター、そうですか、私の知らない間に、ついにそこまで……――シネ」
「わぷっ」
「マデューカス!? マデューカスッ、落ち着けっ、良いから少し落ち着けー!!!!」
「……私の所為でシンカが、私の所為でシンカが穢されてしまいました汚されてしまいました。これをレム・ぷぺぽーを殺る以外にどうすればいいのやら――」
「ね、姉さん!? 急にどうしたの?」
「くっ、このっ、俺にこの程度の攻撃が当たると思ってかっ!!」
「――御心配なく。私は貴方を舐めてはいませんから。後シンカ、少し待っていて下さいね? すぐに済ませますから」
「ね、姉さん?」
「ふふっ、それにいつまでも俺が逃げてばかりだと思うなよっ、今こそ俺の逆襲の時!!」
「――秘技、“ファントムブレイド”」
「――」
「ッッ、本気か!?」
「――連斬!!」
「……ふぇ?」
「くっ、この――」
「それは幻。そしてこっちも幻。ふふっ、レム・さー、あなたに本体を見抜けますか?」
「……ね、姉さんが沢山? えと、ど、どういう……」
「ふー。……逃げるか」
「逃がすか、この!!」
「レムさん!? また私をおいて逃げちゃうんですか!?」
「逃げるんじゃない! 戦略的撤退をするだけだ!!」
「逃がしません、此処で――確実に殺ります」
「よ、よしっ、姉さん。私も手伝うよ!」
「って、シンカまで反逆を!?」
「流石シンカです。やっと分かってくれたんですねっ。そうです、今こそこの男のくさびから解き放たれる時!!」
「はい、姉さん!」
「だからっ、何でこうなってるの!!??」
基本、応用、ともにノリで進んでおります。
こんな時もあるさっ。
……て、気が付くと少し時間が過ぎてました。反省。