ど-525. 戦争2
戦争なんて所詮虚しいものです(汗)
「アル、良く見ておくんだ。これが……――戦争だ」
「……せんそう」
「一人、また一人と戦う戦士が星になって散っていく……」
「……きらり?」
「ああ、そうだ。『キラリッ、☆になる♪』だ」
「……きらり」
「――儚いよなぁ。ヒトの儚さ、ヒトの弱さって言うのはこう言う事なんだなって、俺、見てていつも思うよ。アルもそうは思わないか?」
「……(こくん)」
「そう、だよなぁ。戦争なんてして、後に残るは死屍累々……虚しさが残るだけって分かってるのにな」
「……はい」
「何で戦争なんてするんだろうな?」
「……(ふるふる)」
「そうだよな。アルに聞いても、アルは戦争する奴の気持ちなんて分からないだろうしな。俺もアルには戦争なんてする奴の気持ちを分かってほしくないよ」
「……(じー)」
「戦争なんて、ただ悲惨なだけだ。なんて、惨い」
「……むごい」
「命がゴミ同船の様に扱われてさ。……人々がまるで羽虫かゴミクズの様だ。ほら、また一人お星様になって消えた――」
「……ごみく、」
「アルは言わなくて良いの!」
「……?」
「アルにそう言う言葉は似合わないから、使っちゃいけません!」
「……め?」
「そう。使っちゃ、メッ! だ。いいな?」
「……はい」
「うん、アルはそのまままっすぐ育ってくれよ?」
「……まっすぐ?」
「そう。いいな、アル?」
「……イエス」
「うんうん、判ってくれて嬉しいぞっ」
「???」
「――と、言う訳でアル、戦争の悲惨さってのは分かってくれたか?」
「……?」
「あ、いや何も言わなくても良い。と、言うよりも俺だって本当はアルにこんなものを見せたくはないんだぞ。でもな、世の中には隠してばかりいちゃダメな事ってのがあるんだよ。分かってくれ、な?」
「……はい」
「ありがとな、アル」
「……はい」
「……ん、そろそろ戦いの決着がつきそうだな」
「……(こくん)」
「――あ」
「……(じー)」
「動く敵が居なくなって、どちらが戦いの勝者かがはっきりとする。……今更後悔したって遅いのにな」
「……(じー)」
「……ふぅ、いつになってもこの虚しさはなれねえぜ」
「……(じー)」
「――旦那様、双方の鎮圧、完了いたしました」
「あ、ご苦労さんなっ。一応、聞くまでもないけど戦果の方は?」
「はい。サカラ様、以下護衛部の方々十二名全員に重傷は無し。ただアレクセ様が不注意で転んで、膝に擦り傷を一つ作りました。他の方々は全員無傷で御座います」
「そかそか。んで?」
「スフィニェル、国軍総勢約三万五千。トリエッタ、傭兵を含め総勢約四万七千。総計約八万二千、不殺ならびに向こう数月に及ぶ対象の完全無力化の上、捕縛もしくは混とん――任務完全遂行に御座います、旦那様」
「りょーかい」
「旦那様、皆様方大変健闘いたしましたので、後ほど労いのお言葉を掛けてさしあげますよう、具申願います」
「ん、分かった」
「それでは、私はこれで。――旦那様もお早めにご帰還下さいますよう、お願い致します」
「分かった。分かった。もうちょっとアルにこの悲惨な風景見せたら帰るから。先に帰っててくれ」
「了解いたしました、旦那様」
「んじゃ、また後でな~」
「――はい」
「……、……ふぅ、戦争って、虚しいよな、アル」
「……(こくん)」
……ちなみに途中の『星になった』的な表現は比喩とかじゃなくて、本当にヒトが吹っ飛んでいってただけですヨ!
-とある兵士の証言-
「……俺、見たんだ。戦場を掛ける数人の乙女の姿。あれが、ワルキューレっていうのかな? 死の使い? 天の御使い? どちらでもいいさ。兎に角俺はあの姿を見た瞬間、戦争なんてどうでもいいと心底思ったね。それで、気が付いたら戦争なんて終わってたってわけさ。……ああ、でもこんな世そらごと、誰も信じてくれないんだろうな、くそっ……――――って、あんたも見たのか、戦場を掛ける乙女達の姿を?」