52. どれいとじゅなん
~これまでのあらすじ~
いつもの如く捕まったレム君。そこに颯爽と現れたマレーヌが助けだしてくれる?
レム君の脱走劇が始まって……てな感じ。取り敢えずレム君が酷い目に逢う話。
アルーシア・・・喋れない(喋らない?)無口な奴隷の女の子。何か色々とわけありっぽい赤い子2。
マレーヌ・・・レムの忠実な? 奴隷の女の子。基本的には万能な子で、夢は何処かのくすんだ銀髪メイドさんみたいにみたいになること。
シンカ・・・運急下降中の、リリシィ共和国の“予言の巫女”様?
「ふ、ふふふふふ。邪魔、邪魔、じゃまぁぁぁぁ!!!!」
「ぅぐっ」
「ッッ」
「――ぁ!」
「、誰――」
「……」
「――まかり通る!」
「……主様、そう言った事はせめて自分でこのヒト達を蹴散らしてから言って」
「ふっ、マレーヌ。余り無茶な事は言うんじゃないぞ」
「……主様、恰好悪い」
「何を言うっ、俺以上に恰好良い奴なんてこの世にいないだろっ?」
「それもそうですね」
「と、言う訳だから俺恰好悪くない」
「いえ、女子供の後ろに下がってる時点で凄く恰好悪いです、主様」
「大丈夫っ、その内成長するさっ」
「……何の事を言っているのかさっぱりです」
「そうか。自覚して無いなら良いんだ、うん」
「あ」
「ん? ってぇ!!??」
「――ちっ、外した!!」
「御免なさい主様、一人逃しました」
「そう言う事はもっと早く言って!?」
「大人しくお縄につくんだっ、この犯罪者ども!!」
「そう言いながら真剣で斬りかかってくるのは何故でしょうか!? つか捕まえる気ねえだろ、テメェ!!」
「私は犯罪者じゃありません」
「そうだそうだ! 俺――」
「犯罪者は主様だけです」
「そうそう、犯罪者ってのは俺だけ……って、それも違うっ!!」
「主様、ボケ突っ込みは置いておいて、楯になって下さいませんか? ありがとうございます」
「誰がなるかっ!! むしろマレーヌ、それはお前の仕事だろうが!!」
「はい。ですから今こうして健気に主様をお守りしております」
「随分と余裕だなっ、犯罪者め!!」
「――っお!? と言うか、全然守れていませんが!?」
「あ、また十人程そちらに逃がしました」
「それは既に素通りと言う!? というか俺になんの恨みがあるか、マレーヌ!?」
「心当たり、ありませんか?」
「ない!」
「その通りで御座います。流石主様。堂々としたその御答え、このわたしの小さな胸が詰まってしまいそうです」
「何!? どんな理由で俺はマレーヌを怒らせたの!? と言うかマレーヌ、お前最近あいつに似てきたよなぁ!?」
「――ありがとうございます、主様。今ほど主様のお言葉を嬉しく思った事は御座いません」
「全然褒めてねえよ!?」
「私にとっては最高の褒め言葉です」
「ああっ、なんて最悪な悪影響がっっ……ぉ?」
「ょ、ようやく追いつめたぞ、この犯罪者。随分と手こずらせてくれる……」
「……あのさー、マレーヌ?」
「はい、何でしょうか、主様」
「何か行き止まりなのだが?」
「そうですね」
「こっちにレアリアとかがいる! って言って先導してたのは何処の誰だったかな?」
「私です」
「で、行き止まりな訳だが?」
「そこはぬかりありません。後は――」
「後は?」
「壁をぶちぬくだけ……主様、危険ですので少し下がっていて下さい」
「少しも何も下がったら後ろの連中に捕まるんだが!?」
「なら仕方ないです。危険ですので少々下がって下さい、主様」
「だから下がったら捕まるって!!」
「では捕まってきて下さい」
「嫌だよ!?」
「……嫌なのですか?」
「当然だ!」
「……ならば仕方ありませんね。では主様、危険ですので少し前に出て下さいませんか?」
「さっきは危険だから後ろ下がれとか言ってなかったか?」
「はい、その通りです」
「で、それじゃあ何で俺に前に出ろと?」
「そちらの方が危険なので」
「なら嫌だよ!? てか、そこまでして俺を危険な目に遭わせたいのかっ!?」
「まさか、その様な事は一切ありません。危険から主様をお守りするべき私が主様を危険に晒すはずがないではないですか」
「そんな戯言をほざいて、一番危険な奴を俺は一番身近で知っている」
「では私も――」
「すな!?」
「……、承知しています」
「今の間の意味は何!?」
「いえ、何でも……」
「何でもないって雰囲気じゃなかったんですがねぇ!?」
「――ええい、貴様ら。ごちゃごちゃと何を言っているかっ!!」
「主様、後ろの方々がお待ちのご様子ですので、少々荒っぽいですが失礼を」
「――ああ、許す」
「承知。――“来たれ、瞬風”……完了」
『――?』
「おお、相変わらず鮮やかな手並み、と言うか全然荒っぽくなかったな? 壁を綺麗にくりぬくとか」
「先程荒っぽいと言ったのは謙遜です」
「そう言う事をはっきりと言う所もあいつに似てきたのな」
「ありがとうございます、主様。それより今は――」
「ああ、そうだな。御対面と行こうか」
「はい。では――」
『――なっ!?』
◇◆◇
壁が、綺麗な円形に崩れ落ち――
「「……、え?」」
「……?」
そこに広がっていたのはパラダイス……ではなく、奇跡のタイミングの悪さで着替え中だったレアリア、シンカ、アルーシアの三人の裸体。
◇◆◇
「パラダイス桃源郷な絶景! ではなく――マレーヌ、能力解放!!」
「“遮断します”――風よ、光よ、意に従いて壁となせ、マインド・ウォール」
「良し!」
「……完了です」
「ふー、コレでひとまず、有象無象の奴らにレアリアとシンカの嬉し恥ずかしちょっぴりぽよよんな感じの裸体を見られる心配はなくなったな」
「そうですね」
「応!」
「で、主様は何故こちらに、結界の内側にいらっしゃるので?」
「や、こっちにいなきゃ捕まるだろ?」
「その通りですね。ですが、」
「な、な、な……」
「えと、……レムさん? なんで?」
「……のぞく?」
「相変わらず間が悪いですね、主様?」
「俺の所為じゃないぞ! 断じて着替え覗いたのは俺の所為じゃないからな!!」
「ならこっち凝視してるんじゃないわよっ、バカレム!!!!」
「――退避します」
「って、こらマレーヌ、一人で逃げ、んなっ!?」
「避けるなこのっ!!」
「危――」
「ちっ、相変わらず素早い!! 素直に当って刻まれろ!」
「嫌だよ! 殺意満々でナイフ振われりゃ誰でも避けるわ!!」
「あ、あ、ああ……あああ……」
「……?」
「ふつー、攻撃より先に身体隠さないか、レアリア!?」
「ならあんたが目を閉じなさい!!」
「今、目を閉じたら刻まれるよ、俺!?」
「だから素直に刻まれろって言ってるのよ、私は!!」
「いやっ、やっぱり先に身体隠そうぜ! レアリアだけじゃなくて、そっちの呆けてるシンカの方もっ」
「み、見られた……また、それも今度は全部……」
「そう思うなら早く隠した方がいいと思うのは俺だけかー?」
「そう仰られるのであれば目を逸らしては如何ですか、主様?」
「嫌。そうすると何か損したような負けた気になるから」
「左様ですか、この女の敵、害虫、最低腑抜けへたれ」
「何と言われても、ってかマレーヌ、俺を助ける気皆無っすか!?」
「はい」
「――や、そんな素直にうなずかれても……っと、」
「ああもうっ、何で当らないのよっ!?」
「ぶっちゃけレアリアの実力不足?」
「主様、避けるのだけは無駄に上手ですからね」
「無駄とか言うな。俺にとってはコレ、必須スキルだから。これがなくっちゃもう何度死んでるか分からないから俺」
「ああ、成程。言われてみればその通りですね」
「ああ。だから、無駄な事止めて早く身体隠さない? 眼福なだけだぞ」
「っ、はー、はー、はー……もう、そうするわ」
「見られた、みられた、見られちゃった、全部全部全部全部……」
「おーい、シンカー? おい、レアリア、シンカの方は大丈夫なのか、それ?」
「――、ねえ、シンカ? ちょっと、早く隠さないと、さっきからレムに視姦されっぱなしよ?」
「……、」
「シンカ?」
「――、……」
「シン、」
「――ん? あ、やべ」
「――いぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」
「それが正常な反応、ではありますが――」
「マレーヌ」
「はい、主様。危険と判断、処理します」
「頼む。あ、アルはこっちな? ちょいと俺の胸の中に隠れててくれ。危ないから」
「……?」
◇◆◇
「魔力波――相殺、完了。対象周囲の封殺――、終了。無力化――」
「あ、そこまでは必要ない」
「――了解です、主様」
「……ぁ」
◇◆◇
「ふ―、危なかった。でも流石は“予言の巫女”。潜在魔力も中々だな!」
「……?」
「主様は何もしていませんが?」
「基本俺は偉そうにふんぞり返ってればいいんだよ」
「……(こくこく)」
「そうですね」
「あ、そう言えばレアリアは?」
「……(じー)」
「あちらに。相殺する前に魔力波に吹き飛ばされて、あちらに。傷はないかと」
「そうか、なら良かった。つか、レアリアの奴も散々だよなー、俺に奴隷にされたり、俺に裸見られたり、俺の所為で吹き飛ばされて気絶してたり」
「……」
「全部、主様の所為ですね?」
「それもそうだな、……あれ、俺ってもしかして酷い奴?」
「……(ふるふる)」
「言われるまでもなく」
「……ふっ、まあ俺って罪作りな男だから?」
「……(ふるふる)」
「そうですね?」
「いや、そんな素直に同意されても……そこはできればアルみたいに否定してくれるとありがたかった」
「……?」
「あ、申し訳ありませんでした、主様。気が利かず……」
「別に良いさ。そこは今後の成長に期待って事で」
「……??」
「……はい、主様の期待に応えられるよう、頑張りたいと思います。でも成長しなかったらごめんなさい」
「? 何か落ち込んでないか?」
「……???」
「胸の成長は私では如何ともしがたく、」
「って、待て待て。急に何を言ってる!?」
「……(じー)」
「何を? 主様がじっと私の胸を凝視しておられたのではありませんか」
「してない、してないから」
「……(じー)」
「私の勘違いでしたか。ではそう言う事にして置きます」
「いや、そう言う事も何も……と、それより先にシンカの方をどうにかしないと拙いか。と言うか裸見られたくらいで魔力暴走させるとか、“力”を持ってる存在として少し精進が足りないと思うんだけどなぁ、いや、初心なだけって言えばそうなのかもだけど」
「……(こくん)」
「全部主様の所為です」
「否定は出来ない。と言うかシンカレベルで暴走とかされると流石に拙いなーって感じだな」
「……?」
「それは確かにその通りですね。先程の暴走は小さな街程度ならば吹き飛ぶくらいの魔力でした」
「……!」
「? 主様、何を――」
「ん~? 何、ちょっとした保険だな」
「……!(ふるふるふる)」
「保険?」
「ああ、――シンカ、ちょっと」
◇◆◇
「……ふえ?」
「よし、キミに決めた!」
「……?」
「ちょっと俺の愛奴になってみない?」
「……ふぁい? ――て、えええええええええええええ!!!???」
「大丈夫、三食と人権と衣食住と、俺の溢れんばかりの愛は保障するから」
「な、なななな、何言ってるんですか、急に何言ってるんですかっ!?」
「シンカは……俺の事、嫌い?」
「き、嫌いも何もまだ遭ってから少ししかたってなくて、レムさんの事は変態さんって事以外良く知らないから、ってわたしはそう言う事を言いたんじゃなくてっ」
「なら――好き?」
「いいえ」
「……何もそこだけ冷静に即答しなくても」
「でもでもっ、急に愛奴とか言われてもわたし、これでも“予言の巫女”ですしっ、巫女と言えば神様に操を捧げた身でっ!!」
「……神、ねぇ。シンカの、リリシィ共和国の祭り上げる神様って言ったら、男神クゥワトロビェか」
「?」
「――そう言われるとつい無理矢理でも奪いたくなるのは俺の性格が悪い所為かねぇ?」
「――奪っ!?」
「じゃ、シンカ。覚悟はいいな?」
「覚――っ!?」
「それじゃ、」
「ぇ、覚悟って何の!? 奪うとか奪われるとか、わたしどうなっちゃうんですか!? え、え、ええー!?!?」
「――ふふっ」
◇◆◇
「主様、小悪党な顔して、……――っっ!!」
「……ぁ」
◇◆◇
ちゅ
「唇に、ってのは流石に悪いから、おでこにな?」
「……、――」
――術式起動、対象スキャン……終了、分析完了、“刻印”術式発動……正常動作を確認、隷属の“刻印”≪神の目さえも欺く楔≫
逃げろ、逃げろ。
……あ、時間過ぎてた(汗)