ど-516. 召し物
……うん、昨日はついうっかり冷房付けて寝る(布団なし)とかで体調が凄く悪くて、バカな事をしました、はい。
風邪と、エアコンには気をつけましょう。
「……あー」
「……?」
「あ、アルかー」
「……ん」
「悪い、今日はちょっとアルと一緒に遊ぶのは無理っぽい」
「……(ふるふる)」
「ははっ、嫌だ遊んでほしい、てか?」
「……?」
「いや~、モテる男は辛いね~……」
「……(ふるふる)」
「と、まあ悪い、アル。でも今日はちと無理」
「……?」
「何でかって? ゃ、身体が凄く重い、頭も痛いし、何だかぼっとして思考がまとまらないし、何より熱っぽい。うん、風邪の症状だな、コレは」
「……かぜ?」
「ああ、そう。風邪ってのが病名ではないんだけど、まあ風邪だな。ちっ、それにしてもまさか俺が風邪とはな。最近アルに時間とり過ぎで体調管理を怠った所為か」
「……わたし、せい?」
「あ、いや、別にアルの所為ってわけじゃなくてだな、完全に俺の体調管理不十分が原因な自業自得なだけであって、アルは一切悪くないから気にしなくても良いんだぞ?」
「……(ふるふる)」
「いや、だから……それにこの程度の風邪なんて一日寝てればすぐに治るし。そうすればアルともまた一緒に遊べるから、それまで待っててくれよ」
「……(ふるふる)」
「そんな、俺と遊ぶのが待てないなんて言われてもなぁ、流石の俺も、今日ばっかりはちょっと……いや! だがしかしっ、此処はアルの頼みとあれば――!! ……れ?」
「……!」
「……と。やべ、一瞬気が遠くなった」
「……むり、だめ」
「ああ、そうだな。一秒でも早くアルと遊ぶために、此処は無理せずにぐっすりゆっくりと休むべきだなぁ」
「……(こくん)」
「悪いな、アル。こんな風邪、すぐにでも治してまた一緒に遊ぼうな?」
「……(ふるふるふる)」
「……」
「……(ふるふるふるふる)」
「……えっと。そうだよな! アルも楽しみに待っててくれるよな!」
「……(ふるふる)」
「……ょ、よし! この程度の風邪、今すぐ治すから。だからちょっとだけ待っててくれよなっ!」
「……(ふるふる)」
「――くっ、激マズだしこれだけは使いたくなかったんだが、仕方ない。絶対安全、俺印の万能薬、その名も『万能くんZ』! コレを飲んで、ちょっとだけ休めばあら不思議、どんな病もイチコロさっ」
「……?」
「ま、欠点と言えば呑んだ瞬間、余りのまずさに気を失うって事だけなんだけどな。その代わり起きた時には元気満点だ」
「……」
「アル―、というわけだからちょっとだけ待っててくれよなー?」
「……(ふるふる)」
「……、よしっ! じゃあ、――飲むかっ!! ……んく」
「……!」
「――きゅぅぅ……」
「……アルーシア様? 旦那様は如何でしたか?」
「……ねた」
「そうですか。それはよう御座いました。旦那様がお風邪を召されるなど非常に稀な事ではありますが、一晩眠ればそれも良くなるでしょう」
「……(こくん)」
「しかしアルーシア様、旦那様の看病をなさるのではなかったのですか?」
「……(ふるふる)」
「おや。……旦那様に断られてしまいましたか?」
「……(こくん)」
「――もしくは、旦那様がお気づきにならなかったか、ですが」
-とある二人の会話-
「――うむ?」
「……ぁ」
「“燎原”、こんにちわなのです」
「……めが、さま」
「でも今回の“燎原”はちっちゃくてかわいいのです。見てて我も安心します」
「……めが、……さま」
「うむ? ノンノンッ、なのです。私は女神じゃないのです。シャトゥルヌーメと言います、愛称シャトゥちゃん!」
「……しゃと、」
「そうです。シャトゥちゃんなのです」
「……シャトゥ、ちゃん?」
「うむ!」
「……シャトゥ、たん」
「“たん”? ……それも悪くない気がします。シャトゥたん……うむ?」
「……」
「ところで“燎原”、一つ聞きたいのですが良いでしょうか?」
「……?」
「……帰り道って、どっちでしょう?」
紅い子vs赤い子