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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
【とある大会で編】
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とある大会での一幕-14(決勝戦・さん)

ん~、ちょっとスランプ気味に詰まってます。

超至近距離での、ドックファイト。


互いの獲物は短いナイフと、長剣。一度間合いを詰めた後では二人の切り合いは自然とクドウェルの攻勢、“白面”の男の守勢で続いていた。


ただし、どちらに戦闘の主導権があるかと言えば――




「やぁ!」


「ほいっ」


「とぉ!」


「よっ」


「っっ!!」


「――甘い」




手にした剣の、更に間合いの内から切り込んで来るクドウェルのナイフを僅かなステップ、絶妙な体捌きで避けて、或いは剣の腹でいなしていく。


一瞬、ナイフを空振ったクドウェルの身体に柄を叩き込む。




「ぐっ、そっ!!」


「お?」


「このッ!!」


「――っっと」




殴打を受けても全く怯まない姿に刹那の反応が遅れて、胸元の服が僅かに切り裂かれる。




「中々やる、――ッッ!?」




根性と言うべきか執念と言うべきか、それに“白面”の男は感心気に声を上げかけ、――ここに来て初めて“全力”で回避行動を取った。




バックステップ、バックステップ、――それでも更にバックステップ。




一方でクドウェルも逃げる相手を下がった分だけ、詰め寄り追い込む。


ここにきて戦闘の主導権が切り替わる。クドウェルは本当の意味での攻勢、狩り立てる側へと。そして“白面”の男は狩られる側へ。




「ようやく、っ」


「チィ!!」


「っと、やる気に――、ってて」


「ッ――其処!!」


「うお!? ……なったみたいだな、てか刃が視えないってのは流石にやりにくいな」


「っ、何処がッ!?」


「いや、ぉ?」


「ちっ!?」


「今のはちょい危な、てか間合いがなぁ……目に見えないは伸縮自在だわ、改まって思うが“聖遺物”って基本卑怯だろ」


「そん、なっ!」


「――ん?」


「そんなっ、全部避けてる相手に言われたくない!!!!」




クドウェルが叫んだ通り――と言うよりも叫びたくもなるだろう。至近距離からの斬撃を全て完璧に避けられているのだから。いなす、なら兎も角、“避ける”である。


既に手にしたナイフからの斬撃”以外”も使って切りかかっていた身としては文句と言うよりも出来るならば今すぐにでも喚き散らしたかった。




「ふふんっ、俺の戦闘センスもまだ捨てたもんじゃないって言う証拠だな、うん」


「本当はっ、視えてッ、るんじゃっ!! ないの、かっ!?」


「いや、そんな事は全くないぞ? 今だって必死でだな、……あーうん、そろそろ慣れてきた」


「慣れ!?」


「ああ。目の動き、手の動き、足捌き。それから勘……まあ経験則かな? 若いからかねー、動きが単純で見切るが楽だわ」


「くそっ!!」




ソレは――もう喚く気すらも起こらなくなるような言葉だった。


中途半端な己の実力が、目の前の“白面”の男の言葉が虚実やハッタリの類ではない、事実なのだと判ってしまうのだから余計に性質も悪い。




だからと言って手を止める事が出来るわけもなく、




「ん? どうした、動きが少し鈍ったぞ?」


「五月蠅いっ! 余計な御世話だ!!」


「怒鳴るな怒鳴るな。余裕がないって知れる」


「ッッ、さっきから人をおちょくってばっかり――」


「別におちょくってるつもりはないんだけどなー。……そろそろか?」


「何がっ!?」


「ん? いや、お前の援軍」


「そんなモノ――」




何処にいる、と言う言葉は続かなかった。




『ハロー』




と、クドウェルへ向けて手を振った。


森を連想させる緑の少女が、“白面”の肩越しに、




「ッ――そう来るか、ユグドラシルッッ」


『うん。私の“本体”は主が持っているから奇襲が楽で助かります』


「そう言うっ、持主に奇襲とか言う発想自体が間違ってると俺は思うが、な――!!」


『私の主は、規格外』


「ッ、この――」




肩の上の少女≪ユグドラシル≫を振り払おうと“白面”の男が動く――その腕を地面から生えた枝が絡め取った。




「ぁ、やば、」




同時に分岐、増殖、発生、開花、分裂、壊死、崩壊、再生、成長をした木の枝が、瞬きの間に“白面”の男の全身を捕縛した。


――いや、捕縛と言うよりは飲み込んだ――“白面”を残して男の姿は木々の幹の中に完全に呑みこまれている。




『さあ、今ですっ、クドちゃん、姉さんっ!』


「テメ――ユグドラシルゥゥゥ!!!!」




“白面”の男は仮面の下で叫ぶが、それだけ。身動ぎ一つする事も出来ない。


完全に“積み”の状態になった今の状況では、何処ぞのメイドと違ってバカ力やその類は一切持ち合せていない貧弱ぼーいな身体なので、当然と言えば当然えあるのだが。




『承った、ナイス妹!』




最初に動いたのはクドウェルの手元から現れた、空色の少女。


まるでハンマーでも持っているかのように両手を振りかぶり――実に爽快な満面の笑みを浮かべた。




今度は一瞬で我に返ったクドウェルも自身の行動へと移る。


身体……は木の幹に隠れて見えないので“白面“へ、丁度眉間のあたりへと、手に持ったナイフで冗談にならない“必殺”の一撃を叩き込んだ。






◇◆◇




基本的に、やっぱり恰好良くてやり手のレム君はレム君じゃないと思うのです。

やられてこそ! な感じ。

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