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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
【とある大会で編】
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とある大会での一幕-11(四回、戦?)

ふしぎだなー。

何でこんな話の流れになっているのでしょう? 的な感じ。


試合開始、の合図と同時。




「さあ、尋常に勝負……」


「先ず謝っとく」


「? 何を、」




“すれ違い様”に手刀を一閃。




「――」


「――悪ぃ、聞く気ねえわ、って聞こえてないか」




準決勝まで残っていた、それなりの強者であるはずの男が声もなく崩れ落ちる姿に――振り返りもせず“白面”をつけた男は勝利宣言を背中に受けて、会場を後にした。






◇◆◇




選手入出場の通路。


丁度よく御目当ての“新人君”がこちらに向かってくるのを見つけて、男は軽く挨拶でもしとくかっ、と言う事にした。当然、確信犯である。




「よっ!」


「……ど、どもです」




何となくおどおどしているな―、と言うのがまだ少年とも呼べる年頃の彼、クドウェルに対する第一印象だった。


ついでにもう一言加えるならば、――何かを隠しているな、と言う感じがひしひしと。根拠は何もなく、ただの勘でしかないのだが。




だが、まあ。


それは些細なことだ、と。気にしても仕方ない思考を打ち切った。




「調子はどうだ? 次の試合、勝って俺と戦れそう?」


「そ、それはどうでしょう。ヤルハルさん、あ、次の対戦者の方なんですけど、戦ってみないとどっちが勝つかなんて分かりませんし……」


「――嘘ばっかり」


「え?」


「ゃ、なんでもない。でも、うん。俺としてはどちらかと言えば君と戦ってみたいかね、決勝でさ」


「……僕としてはリリーさんと戦ってみたかったんですけど」


「ん?」


「いえ、何でも……」


「そか? ま、そんな些細な事はどうでもいいとして。ん~、そうだな、どうせならお前がやる気になれる様にちょっとだけ発破をかけてやろうか」


「……発破?」


「そ。――お前、やっぱり臭うよ。飛び切りにな」


「え、す、済みません。ふ、不快にさせてしまいましたか?」


「いや。むしろ俺はそれでお前に興味を持った口でな。こう言うの、どう言うだったか、えっと……」


「……?」


「ああ、そう。死を呼ぶ臭いだ。周りの死を呼び寄せて、それで自分も周りの死に呼び寄せられる――“聖遺物”の気配だ」


「――」


「ぉ? 今、少しだけ目の色が変わったぞ。どうかしたのかな?」


「――……たくは、なかった」


「ん? なんだ、」




腕を動かして、亜光速で向かってきたソレを事も無げに掴む。


クドウェルがそれを見て『ありえない!』とでも言いたげな表情をしていたが敢えて無視して、先に止めていた言葉を続けた。




「で、今何か言ったか?」


「――くっ、けどこの事を知られる訳にはッ」




更に複数、今度は同時に向かてきた不可視のソレらを先程と同じように掴んで、結んでから“丁重に”お返しした。




「な、何で……?」


「まあそう焦るなって。この手の類のモノは日頃から見飽きて慣れてるんだ。しかも関節、胸、喉、頭みたいな急所とか、狙いが単純すぎ。仮に視えてなくてもこれなら楽勝で避けれる」




そんな事はない、と。今までは避けるどころか知覚出来るものさえいなかったのだ。それを易々と掴んでしまうなど、十二分に楽勝と言う問題を超えている――はずなのだが、それを言うのは何故だか憚られた。


いや、それ以上に目の前の男に対して、恐怖を抱いていた。




そしてクドウェルの身体がガタガタと震えるのに呼応するように。




「……ぁ」




――ソレらは爆発的に、二人がいる通路を埋め尽くした。




触手のような何か。ただしそれは肉感的の様なグロテスクなモノではなく、敢えて当てはめるならば金属で出来た無数の鞭と言った方がいい。




その不可視の、ソレらで出来た“壁”が狭い通路をひしめき合い、押しつぶそうと向かってくる中でも男が慌てる事はなかった。


ただ、僅かに唇を釣り上げて――




「来い、ユグドラシル。餌の時間だ」


『ごはん!? 応ともさっ』




正しく空間を突き破って出現した一本の若木ユグドラシルは、やはり一瞬で爆発的に増殖して、迫ってきていた“壁”と正面からぶつかった。




均衡したのは一瞬の事、“ユグドラシル”が押し勝つ。


と、同時。男の周囲でぽんっ、ぽんっ、と立て続けに音を立てながら緑の少女が増産された。




「――ぇ」




目を見開き驚くクドウェルを他所に、増殖された木々は通路を埋め尽くしていた金属っぽいソレらを悉く喰らい尽くして――まるで霞の様に消え去った。


後に残ったのは無数にいる、何故か森を連想させる緑色の少女達だけ。とはいっても彼女らは数十人単位で、しかも狭い通路の中にひしめき合っていたので邪魔で仕方ないのだが。




「――うぜぇ」


『ぼ、暴力反対!』




余りに邪魔だったので一人蹴り飛ばしたら、全員から涙目で訴えられた。




「……」


『う!』




もう一度蹴り飛ばしたら噛みついて来たので、乱戦になった。




殴って――噛みつかれて。蹴って――噛みつかれて。投げ飛ばして――噛みつかれて。


噛みつかれて、噛みつかれて、噛みつかれて、噛みつかれて、噛みつかれて。






物量的な勝利だった。






「うお!? いや、え、ちょ、ま、ユグド――」



“白面”をつけた男は緑の少女に埋もれて、完全に見えなくなる。そして先程の木々同様、まるで夢幻だったかのように緑の少女たちがかすんで消えて、その後には何も残らなかった。――正確には小さな若木が一本、床に落ちていたのだがクドウェルはそれに気付かず。


“白面”の男の影は、何処にもなかった。




半ば以上呆然とそれを眺めていたクドウェルだったが、背後からの歓声を聞いて我に返る。




「ぁ、そうだ。試合、出なくっちゃ……」




ふらふらと、まるで何かに化かされたような夢心地で、クドウェルは試合――舞台のある出口へと歩いていった。






◇◆◇






一方で。


消え去った“白面”の男はと言うと。




「テメェ、ユグドラシル! 何しやがるっ!?」


『暴力反対!』


「行儀のなってないペットってのはなぁ、こうして躾けるのが当然なんだよっ!!」


『暴力振るうならご飯を下さい!!』


「何だそれは! つか、ついさっき食べたばかりだろうが!!」


『同族はお腹壊すので食べてないの! あんなものを食べさせようとするなんて、この鬼畜!』


「んな“聖遺物てめえら”の事情なんざ俺が知るかっ!!」


『と、言う訳だからご飯を要求する!』


「黙れっ、この役立たずの大飯喰らいがっっ!!!!」


『それは本当の事なので言い返せない』


「開き直るなっ!?」




聖遺物≪ユグドラシル≫の内部で、言い合いをしていた。




◇◆◇



気付いたら日を跨いでいた今日この頃。

う~む、サボり癖が最近ついてきて、怠けてるなぁ、自分。

結構、反省。

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