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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
【とある大会で編】
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とある大会での一幕-3(予選編)

準備運動の回。

……奴め、ちょっと調子乗り過ぎか?


「ふふふっ、皆が俺に注目してるっ、注目してるっ!!」




感動するように両手を握りしめてガッツポーズをした白い面をつけた男――その頭上を紙一重で剣が通り抜けた。



「なっ!?」


「――ほいっ、と」




男の背後から剣を振った剣士風の男は驚愕を顔に張り付けたまま、軽い一声と共に振られた剣の腹に顔面を打ちつけて、呆気なく意識を失った。




「おぉ、おお? 俺って実は凄い? な、なな??」




笑顔で――とは言っても仮面で表情は見えないが声が嬉しそう、な男は軽く、まるでその場で踊る様にステップを一つ踏んだ。


――正面から飛来した水の玉が、またもや男を紙一重で通過して、その真後ろで今にも斧を振り降ろそうとしていた筋骨隆々の男の腹を直撃、ゴムボールの様に大きく吹き飛ばす。




「ふっ、今日の俺は絶好調! 何故ならあいつの邪魔が一切入らないからっ!!」




手に握りしめた剣を無駄に頭上に振りかざし――何処からか飛来していた矢が剣の腹に当って角度を変え、真横で奇襲をかけようとしていた男の腕へと突き刺さった。




「危ないなぁ、もう」


「――ぐっ!?」




ため息交じりに振りかざしていた剣をそのまま振り下ろして、奇襲をかけたはずが逆に奇襲を受けていた男の頭を直撃、一撃で混とんさせた。




「――今宵の俺は、一味違う。……なんちゃってっ、なんちゃってっ、なんちゃって!!!!」




弾む声だけは楽しげに、向かってくる剣を、槍を、矢を、魔法での攻撃を、“いなし”て“いなし”て――“いなし”ていく。






「よっ、」


「――むっ!?」




「ほっ」


「――くぅぅ!!??」




「それっ♪」


「――えぇ!?」




「やっ!」


「――ちぃぃぃ」




「おまけにも一つ、――っと、やべっ!?」


「――好機!」


「な、訳あるか。フェイクだよ、ボケ」


「――む、無念」




そうしてあれやこれやと――周りの男たちが攻撃を仕掛けて行った結果、初めは十数人に囲まれていたはずが、今は男を囲む人数はその半数以下――僅か三人だけとなっていた。




残った三人は――三角形に男を囲んだまま、微動だに動こうとはしなかった。


一人は槍を持った、何処か優男っぽい風貌の男――槍使い、とでも呼んでおこう。


一人は魔法使い風の、何処となく神経質っぽい感じがする男――だが手には杖ではなく剣を持っているから魔法使いではなく魔法剣士、だろうか。


最後の一人は剣を持ち、鎧を着込み、如何にも剣士と言った風貌の男だった。そのまま剣士と呼ぶことにする。






「――で、残ったのは結局お前ら三人な訳だけど……お前らは掛かってこないのか?」


「「「――」」」


「まあ、こうしてても無駄だし? 何なら俺の方から向かって行っても良いけど――?」




彼を知るモノならば間違いなくこう言うだろう――『こいつ誰だ? 偽物だろ、絶対』と。


そんな感じに何時になく強気の――顔を白面で隠しているからだろうか? 挑発をした瞬間、その期を逃さずに最初に動いたのは槍使いだった。




「――っはぁぁ!!」


「その心意気や、良し!」




常人から見れば十分な程の、神速一突の突きを、やはり今までと同じように手に持った剣の腹で“いなし”て、そのまま槍使いの懐まで入り込む。




「お、おおお、おおおおお!!!!」




軽く槍使いの腹を撫でると同時、槍使いの腹を蹴って、その反動で――跳ぶ。




跳んだ方向は槍使いより一拍遅く突進を掛けていた剣士。


振り下ろされる直前の剣を、自分の剣で受け止めて――跳んだ勢いを殺さず、力任せに剣士の両腕を跳ね上げた。




「甘い、甘い」


「――そちらこそっ!」


「お?」




直後、剣士の跳ね上げられた両腕――その手に握られた剣が懐に入り込もうとしていた男の頭上、直下に振り下ろされた。




「よ」


「――残像だ」




剣士の背後から聞こえたその声は。


剣士が振り返るより先、剣の柄で剣士の首筋をトンッと軽く叩いて、同時に剣士の背中を蹴って宙へと跳んだ。




「くふふっ、一度言ってみたかったんだよな、『――残像だ』とか何とか。あれって恰好いいよな、な、な??」




小声で、しかも白面の内側で漏れる声は誰にも届く事はなく。




宙で軽やかに身を捻った男の僅か隣を――まるで狙ったかのように魔法剣士が振り下ろした炎で包まれた剣が通過していた。




「うん、良い腕だと思うぞ?」


「――くっ」


「最後に残したお前ら三人、相手が俺じゃきゃいいところまで行ってたかもな?」


「何を――」


「じゃ、オヤスミ」




――着地して、流れるように炎に包まれた魔法剣を再度振りかざしていた魔法剣士は、白面の男に触れる僅か直前でその動きを止めていた。




「――ん、それなりに良い準備運動だった」




「「「――」」」




立ち尽くしていた三人が――同時に地面に倒れる。




「――しょ、勝者、アーク!!」




勝利宣言が高らかに上げられた。




◇◆◇



くそっ、次回こそひどい目にあわせてやる!!

……いや、そんなつもりは全くないですけどね?


……あ、予選通過者、二人だ。つか、一人残すの忘れてた(汗)

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