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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
822/1098

ど-503. 籠の中のヒト達1

アルーシア(ファースト)vsリョーン(偽名。真名は燎原)

「……」



「……」



「「……はぁぁぁ」」



「どうかしたの、リョーンさん。何か暗いね?」



「そっちこそ、アルーシアも十分暗いですよ? どうかしたんですか?」



「……何か疎外感感じちゃって」



「……私もです」



「何か、ヤだね。こう、鏡一枚挟んで世界が広がってる、みたいなのって」



「そうですねぇ。私も正直、此処まで寂しいなんて“感情”を覚えるとは思ってませんでした」



「あと、何か自分にじぇらしー。……情けないよ、私」



「ジェラシーなら私も感じてますから安心して、とは言えませんけど、」



「「……はぁぁぁ」」



「何か、寂しいよね、こう言うのって」



「そう、ですよね。私だってあのヒトに優しい言葉を掛けてもらったり頭なでてもらったりごろごろ抱きついちゃったりなんてしてっ! ……いっぱいいっぱい甘えてみたいです」



「……うん、そうだよね」



「――アルーシアはまだいいんです。生前はぜいたくなくらいに優しくされてたくせにっ。私なんて、私なんて生きた死体扱いですよ!? こんな可愛い女の子を捕まえて生きた死体とかっ、ゾンビとかってありえなくないですかっ!?」



「あー、うん。そうだね……」



「それをっ、それを……アルーシアも“アルーシア”も、二人とも同じ【燎原】のはずなのにッ、この扱いの差は何処から来てるんですかッッ!!」



「ど、何処からだろうね?」



「大体っ、大体ですよっ、以前勇気を振り絞って夢枕に立った時なんて、第一声で『成仏しろよ?』……ですよぉぉ!!?? ちょっと酷すぎません? なけなしの勇気があれで粉々の玉砕ですよ!?」



「……リョーンさんには悪いけど、普通夢枕とかに死んだヒト? が出てきたら私でも同じ事を言うと思う」



「ちゃんと私は説明しました! 『これはフィクションではありません、れっきとした夢の出来ごとです』――って!!」



「それって、夢なのか夢じゃないのか迷いそうな言い方だよね?」



「……言われてみれば、そんな気も……?」



「それにね、レムだってきっと理由もなくリョーンさんに冷たくしてるんじゃないよ、きっと。ほらっ、良く言うツンデレってやつだよ、きっと!」



「そ、そうですか?」



「うん! ……まあ多分、きっと、恐らく? 凄い希望的観測で『そうかもしれない』って言っても良いと私は思うよ!」



「でっ――ですよね、ですよねっ! アレはあくまで愛情表現の一種であって、別に私だけが嫌われてるとか、そう言う訳じゃないですよね、ねっ??」



「あ、うん。少なくとも嫌われてはないと思うよ? レムはそんな事で他人を嫌ったりする子じゃないし」



「……うん、よし。何かアルーシアにそう言われると勇気が出てきました。そうですよね。一度拒絶された……様に見えただけで、怖がってなんていられませんっ。もう一度勇気を振り絞って、また夢枕に――」



「夢枕は止めた方がいいと思う」



「……、そうですか?」



「うん。普通に、死んだ幽霊か何かの戯言か、もしくは夢の中の出来事ってとられて終わりの様な気がする」



「……、確かに言われてみれば。あのヒトってその辺り気にしない性格っぽいですし」



「だね。レムは基本的にはてきとーだよ」



「ならどうしましょう? 私、このまま“アルーシア”の中からずっと外を見てるだけなんて、もう嫌です。耐えられません」



「それは私だってそうだよ。――こんなに近くに手を伸ばす事が出来たならすぐにでも届きそうな距離にレムや、あの子たち……私の大切な親友がいるのに手を伸ばす事も声をかける事も出来ないなんて、耐えられない、ううん、耐えたくないよ」



「……そこで一つ相談です、アルーシア」



「うん、何かな、リョーンさん」



「――裏技を使いましょう」



「う、裏技?」



「そうです。ふふっ、私だって伊達で長く生きてるわけじゃないんですよ?」



「……ど、どんな裏技なのかな、それって?」



「それは、ですね、」



「う、うん」



「“アルーシア”の意識がない時、つまり眠ってるときなんかにちょっとだけ身体を借りちゃいましょう!」



「え、そんな事が出来るの!?」



「……」



「……」



「出来るといいなぁ、と」



「……そうだね、出来るといいよね」



「大丈夫、何とかなる……はずですっ! 例え身体を借りる事が出来なくたって他に何か方法がある……と良いですよねぇ」



「……うん、そうだね」



「兎に角ものは試し何ですし。やってみて損はないはずですよね?」



「そうだね。それじゃあ――」



「もしかすると危ないかもしれないので、ここは発案者の私が先に危ないかどうかを試してみます」



「え、いいよ。むしろリョーンさんにはいざって時に助けてもらいたいかも? だから私が先に試してみるよ」



「いえ、私が先に、」



「ううん、だから私が先に」



「「――」」



「……」



「……」



「「私が、」」



「……」



「……」



「不毛、だね」



「ですね。ここは年長者って事でアルーシアに先に譲りますよ」



「え、でも……」



「私はあとで良いです。それに、もしも危ない時はちゃんと助けないと駄目ですしね?」



「……うん、そうだね。ありがと、リョーンさん」



「いえいえ。それにどちらにしても自分わたしたちのことですしね。どちらか先か、なんて些細な違いですよ」



「実際はそうなんだけどね。でもやっぱり気持ちの方が先走っちゃうよ、私は」



「まあ仕方ない事なんですけどね。……と、言う事で早速今夜決行してみちゃいましょう!」



「そうだねっ、善は急げって言うしね!」



「それじゃあ、」



「うん」



「「――成功する事を祈って」」




レム君が出ていない!?

……まあいっか。

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