ど-501.にゅーふぇい、す?
無口(?)な女の子、一人追加。
「……右よし、左よし」
「……?」
「うん、あいつはいないな」
「……」
「よし、それじゃあアル。今日はちょっと言葉の練習でもしてみようか」
「……?」
「言葉の練習、な? ……そうだな先ずはこの言葉を言ってみようか。“あ”」
「……」
「最初は“あ”だぞ? 口をこんな感じにして、さあ、リピートあふたーみー。“あ”」
「……ぁ」
「うん。よしよし。それじゃあ次は続けて“い”だ」
「……」
「“い”な? さあ落ち着いて、口はこんな感じで――“い”」
「……ぃ」
「そうそう。んで次は“し”。いけるか?」
「……し、し?」
「そうだ。それから“て”」
「……て」
「最後に“る”」
「……るる?」
「よしっ、それじゃあ今まで言った言葉を連続して、ついでに俺の目を見て言ってみようかっ!」
「……あ、いし、て――るる???」
「そう、それをもっとスムーズな感じでっ。つまりはこうだっ、『レムっ、愛してるっ!』」
「あいし、」
「ぶべ!?」
「――それでこの旦那様は一体何を言わせようとしているのでしょうか」
「……痛い」
「それで、旦那様は一体何をされておられたのでしょうか?」
「その前に俺の上から退いて、」
「旦那様は、何をなさっておられたので?」
「……ちょ、ちょっとアルーシアに言葉を教えてただけだっ。俺は断じて、後ろめたいことなんて何もしてないからなっ!」
「その様な言い訳が出てきている時点で既にご自身で後ろめたい事をしていた自覚があると言う事をお察し下さいませ、旦那様」
「うぐっ」
「そしてアルーシア様、その言葉の練習ならば旦那様に向けてではなく、私に向けて練習なさるようお願い致します」
「って、テメェはなにどさくさにまぎれて言ってやがるかッ」
「旦那様、少し足元でうるさいです」
「むぎゅ!?」
「さて、アルーシア様、では――」
「――って、いつまでも足蹴にされている俺だと思うなっ!!」
「……と。おや、旦那様では御座いませんか」
「なっっっっっにを、わざとらしいっ。てめえで踏みつけておきながらっっ」
「そもそも旦那様、アルーシア様を一人占め、もといアルーシア様はこれから他の“隷属の刻印”を刻まれた方々と共に初歩の勉学の時間ですので、余計な行動は控えるよう、お願い致します」
「余計な行動って事はないだろ、余計って事は。俺はただ単に、アルに言葉を教えようとだな、」
「それが余計だと申し上げているのです。それに旦那様自らがお時間を割いていると言うのも問題として挙げられる点の一つです。余りにアルーシア様ばかりを特別扱いなされると周りからの反感を買いますよ? その時被害にあうのは旦那様ではなく、アルーシア様です」
「そんときゃ俺が黙らせる」
「――旦那様?」
「……と、言うのは流石に冗談です、はい」
「たしかにアルーシア様は他の方々とは色々と異なっておりますし、何より【燎原】である。スヘミア様やラライ様同様に特別扱いすることに否と申し上げているわけでは御座いません。私はただ――」
「ま、な。一応わかってる。それ以上は言われずとも一応分かってるつもりだから」
「……はい」
「まあ、これからみんなと一緒にお勉強タイムってんなら仕方がない、と言うよりもそっちの方がきっとアルの為にもなるしな。うん、分かった。それじゃあアルを連れてってくれて良いぞ」
「はい、旦那様。……それではアルーシア様、行きましょうか。私についてきて下さいませ」
「……よし、それじゃあ俺は――」
「――ああ、それと旦那様? 先程アルーシア様にされようとしていた件については後ほど拷問いたしますので、どうかそのおつもりで」
「……、……、…………逃げるか」
ちょっと何か、企画っぽい話題を間に挟むの忘れてた……。と言う事で全く考えていなかったので、しばらくしたら唐突に間に挟まれるかもしれません。
ん~……510話の後くらい?
と、言う訳でアルーシアさんが参戦です?