49. どれいと―― -1
~これまでのあらすじ~
アルーシアが暴走しました。んでもって、満を持してメイドさんが登場!
国家間の問題とか、もう些細なことなので気にしないように。
メイドさん・・・メイドさん。それ以外ない。
アルーシア・・・燎原?の女の子??
シャトゥ・・・シャトゥルヌーメ。困った赤い子。
「おっと、足が滑りました」
「むぴょぉ!?」
「何か変な感触が? まあ旦那様、如何なさいました?」
「っ、っ、っっ!!」
「せめて私にも通じる言語でお話し下さい。念話でと仰るのでしたらそちらも試みますが、何分初めての試みですので余り期待はしないで頂きたいです」
「――じゃ、ねえよ!? テメェはどさくさにまぎれて何処踏んでんだっ!!!!」
「……、何処でしょう?」
「分かってるよなっ、お前、ちゃんと分かっててとぼけてるよなっ!?」
「はい」
「っ、っ、っ!!!!」
「旦那様、下で悶えられるとバランスがとりにくいのですが?」
「ならさっさと退きやがれっ」
「思いのほか踏み心地が良いのです」
「テメェの踏み心地とかは聞いてねぇよ。良いから、退け」
「承知いたしました」
「……」
「……」
「しかし、いつもながら驚くほどグッドタイミングだなぁ、お前。……実は何処かで隠れて見てたりしないか?」
「偶然です。もしくは私の第六感が旦那様の危機を察しました」
「あ、そう……」
「それで旦那様、――御指示の程を」
「ああ……と言うか、もうホント、マジでいい加減俺の上から退こうな、お前?」
「これは失礼いたしました」
「……、んで?」
「はい、如何なさいましたか、旦那様?」
「いや、『失礼しました』とか、口頭でのセリフは取り敢えずいいとして、さっさと退けよって話なんだが?」
「踏まれて喜ぶ旦那様」
「「やっぱり!?」」
「いや、そんな事実は一切ないから。あと今声上げたそこな二人、後で要話し合いな?」
「それで旦那様、照れ隠しはその辺りでよろしいですので、そろそろご指示を頂きたいのですが? 状況を理解していないので、私では如何ともなりません」
「照れ隠し違う。あと本当にいい加減、退け」
「失礼いたしております、旦那様。ですが喜ばしい事に今この体制で安定してしまっているのです。先ずは行動の指針を決めなければ動くに動けません」
「――」
「本当ですよ?」
「……まあ、信じてやろう」
「ありがとうございます、踏まれるのが大変お好きな旦那様」
「……訂正するのも疲れるから、もう突っ込まないぞ?」
「そうですか。――では、旦那様」
「ああ、」
「御指示を」
――アルーシアを無力化しろ
「はい、旦那様。承知仕りました」
◇◆◇
それは、きっと。
“驚くほど”と言う言葉ですらまだ生ぬるい。驚く間すらそこにはないのだから。
「――やはり、何処か違う。ですがこれは……」
“いつ”かは定かではない。気付くと、気付いた時には既にその事象は終わっていた。
◇◆◇
「――では旦那様、懇切丁寧、何一つ省略するところなく詳細に、事態を――そしてこの子の事をご説明願います」
「ああ、分かってる。……でもその前に、」
「はい旦那様、承知しております」
「――ちょい待てシャトゥ、お前はどこに行こうとしてる?」
「――シャトゥ、少々話があるのですが?」
「我は我の超直感に基づき戦略的逃亡を血行します。さあ私に追いついてごらん、あははうふふな感じなのです!」
「……ふぅ。――アレ、捕まえろ。取り敢えず生死問わないから」
「はい、旦那様」
「レムってばやっぱり積極的っ、あと母様がお相手とならば私も本気を出さないわけにはいきませんね……なの」
「……シャトゥ、私に挑むと言う気ですか?」
「母様が相手ならば百人力! 相手にとって不服有り! がくがくぶるぶる膝が武者笑いで震えています」
「身体は正直のようですね、シャトゥ」
「うむ、どうやらそのようです、母様」
「予め申し上げておきますがシャトゥ、私を相手にするにはあと五十年は早いですよ?」
「そして奇跡を起こすのが撃滅☆美少女撲殺魔のサダメ!」
「……そうですか。ならば手加減は致しません。私、これでも久方振りに気が立っているんですよ、分かりますか、シャトゥ?」
「――うむ? そう言えば私は少女じゃなくて幼女でした! これでは奇跡が起こせませんっ、どうしましょう!?」
「大人しくしていれば手っ取り早く半殺しで済ませます。抵抗するなら全殺しは覚悟しなさい」
「ならば私の道は全面抵抗しか残されていないっ! 今こそ私の命を燃やしつくす時なのですっ……ちょっとだけ違う気もしますがきっと気の所為です?」
「……、……、――シャトゥ」
「はい、母様?」
「覚悟は良いですね?」
「脱兎!」
「……逃がしませんよ、シャトゥ?」
「うははははっ、我が何をしたと言うのですー!?」
「――自分の胸の内、もしくは旦那様にお聞きなさい」
「レムー、へるぷ、ゆー!」
「断る」
「そんな冷徹なレムも素敵っ、そして薄氷モノー!」
「それを言うなら薄情者ですよ、シャトゥ――?」
「か、母様、ホントの本当に本気なのですかっ、」
「そう言っているでしょう? 待ちなさい、シャトゥ」
「は、半転がしは否なのですぅ」
「私は未だ状況を理解していないので、怨むなら旦那様を恨みなさい」
「レムー、愛してるー!」
「……存外余裕ですね、シャトゥ。それに逃げるのが中々上手い」
「伊達にレムの真似っ子はしてません! でもって母様が本当に怖いので内心必死なのです!」
「――ですが、これで終いです。さあシャトゥ、覚悟なさ」
「さあ、いよいよ俺の出番だぜっ! 愛しの我が女神、シャトゥルヌーメ!」
色々、いっぱいいっぱいです。
でもって、ちょい続く。