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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
799/1098

ど-484. いつもどおり

話術の賜物。



「今日は楽しいっ、休日だっ♪」



「おや、旦那様。随分と浮かれておられますね?」



「ああっ、なんつっても、今日は仕事一切なし! のんびりだらだら過ごせる一日だからなっ!」



「一日の始まりに自堕落宣言は、些かないし相当に情けないと判断されますが?」



「いいんだよっ、偶には日頃の俺の気苦労やら肉体的疲労やら――」



「それはおかしいと指摘します、旦那様!」



「な、なんでだよ、と言うよりも今の俺の言葉のどのあたりがおかしいと?」



「それではまるで旦那様が日頃よりご苦労されているように聞こえるでは御座いませんか」



「……いや、しているが?」



「それはないと不肖この私めが断言させて頂きます。旦那様にご苦労を掛けるような事態など断じてこの私が許しは致しません。そして私はしかと旦那様をお守りしているモノと、自負しております」



「……へ~」



「何やら反論がおありのご様子……良いでしょう、聞きましょうか、旦那様」



「いや、特に言う事はないぞ」



「その様には見受けられませんが?」



「兎に角、俺から言う事は別にないから。あと……やっぱり疲れてるからさっさとぐ~たらのんびりさせてもらう事にする」



「酷いっ、旦那様がこの私を無視なさるなんてっ」



「虫とかまでしたつもりはないんだが……」



「しくしくしく」



「?」



「しくしくしく」



「あ、あ~!」



「しくしくしく……ちら?」



「いやさ、悲しむとか泣き真似とか、するつもりならせめて表情を変えろ、表情を。無表情で『しくしくしく』とか言ってるだけじゃ、意味ないから。むしろ訳わかんないから」



「しくしくしく……ちらり?」



「ゃ、だから俺にどうしろと?」



「旦那様、折角のお休みなのですから引きこもりのような真似はおやめ下さいませ。旦那様は旦那様らしく、女人狩りでも行っていればよいのです!」



「断る……つか、何だそれは」



「何だも何も、今更とぼける必要はないかと指摘させて頂きますが? 女人狩り――それは遂に本性を現した旦那様が過ぎゆく女性たちを襲っては喰い、襲っては喰うと言う世にも恐ろしい……旦那様のこの鬼畜!」



「冤罪だから! つか自分から言い出しておいて逆切れとか、どんなだよ」



「照れずともよろしいでは御座いませんか」



「照れてない!」



「ではご謙遜を?」



「謙遜もしてない、と言うよりも女人狩りとか、そう言う事実は一切ないと言っておこう」



「それもそうですね。旦那様は先ずはまともに相手にされる所からがんばらなければいけませんし?」



「……ふっ、そう思うのは凡人の浅はかさ。アレは単に皆照れてるだけだ」



「そうですね、私も旦那様の仰る通りかと、そう思います」



「……」



「……旦那様?」



「お前にっ、慰められると罵倒されるより逆にムカつくんだが!?」



「慰める?」



「良いよっ、俺だってちゃんと分かってるよ!? 女の子に相手にされてない? ああそうだよ、どうせ俺如きがだよ!!」



「旦那様、その様に御自分を卑下なさらずとも……いえ、卑下と言う訳でも御座いませんか、単なる事実ですし」



「畜生っ、俺だって、俺だってなぁ!!」



「はい」



「俺だって好き好んで女に子に相手にされないわけじゃないんだ!!」



「一応訂正しておきますが、旦那様は相手にされていないわけではないと思いますよ?」



「……俺を見てくすくす笑ったり、慌てて隠れたり、武器とか持って襲い掛かってきたり、罵倒して悦に浸ってたりするのを相手にされているとは俺は断じて認めない」



「では全く女性には相手にされていませんね、旦那様」



「ぐっ、そうはっきりと……」



「ですからこそ指摘させて頂きますが、折角の休日をご自身の自堕落の為に用いるのは宜しくないのではありませんか?」



「……だったらどうだって言うんだよ、今日は日がな一日、お前に付き合えとでも?」



「いえ、そうして頂ければ私は嬉しいですが。そうではなく少しでも女性に対する根回し、気遣いは大切ですよ、と申し上げております。具体的には、“隷属の刻印”の方々のお相手も偶にはなさるのが宜しいのではありませんか、と具申させて頂きます」



「あいつらに?」



「はい。言い方は悪いですが練習相手にされるも良し、この際旦那様の在りもしない魅力を存分に勘違いなさり完全に落として旦那様のモノにされてしまうも良しです。まあ後者は旦那様が出来るならば、と言う事ではありますが?」



「……回りくどいな。お前、言いたい事を言ってないだろ?」



「流石は旦那様。いえ、私はただ単に、偶には皆様方の相手もして差し上げないと、最近寂しそうにしておられますよ、と申し上げたかったまでの事です」



「……それもそうか。そう言えばしばらく地上の方に出かけてて、あいつらの相手もしてやれなかったしな」



「はい」



「でも……そうか~、俺があいて出来なくて寂しかったか、あいつら。うんうん、全く仕方のない奴らだなぁ~」



「旦那様、話は変わりますが嘘も方便と言う言葉を知っておりますが?」



「嘘も方便? それくらいは知ってるが……それがどうした?」



「いえ、聞いてみたかっただけですのでどうか深くお考えはなさらぬ様」



「? ああ」



「それで旦那様、結局のところ、本日のご予定はどうなさるおつもりで?」



「そうだな。うん、久しぶりに護衛部の奴らをいっちょ揉んでやるのも悪くないかなって感じかな?」



「ちなみにその“揉む”のが彼女らの胸であった場合、私が即刻旦那様を地平の彼方へ殴り飛ばしに参りますのでどうかそのおつもりで」



「わ、分かってるって。つかそんな事はしない」



「出来ないの間違いでは?」



「……そうとも言う、可能性もある」



「――では旦那様、本日のご予定は護衛部への視察ならびに、本当に久方振りの旦那様のご指導と言う事で……宜しいですね?」



「ああ、それでいい。まあ体動かすのも悪くないし?」



「はい。では――ご朝食をもって参りますので、お待ちくださいませ、旦那様」



「ああ」



「……やはり突発的なイベントがないと、皆様方だらけてしまいますからね。たとえそれが旦那様の部の視察であったとしても、まあないよりはましでしょう。嘘も方便……いえ、」



「ん? どうかしたのか?」



「いえ、何でもありません、旦那様。では、お待ちくださいますよう。――失礼いたします」




だいじょうぶ。

きっとうまく行きます、うん。

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