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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
775/1098

Act X.クェルバ

……うぅむ?


南に少し――集団を確認。ついで第一注意目標の青年、“静鎮”クゥワの存在も確認。


会話の内容を聞き取るのは無理ですが……何か、近寄り難い雰囲気を感じる気がします。何故でしょう?




「――いえ、これも任務」




任務ならば我儘も許さ……れるかもしれないけれど。そんなお姉様やご主人様の優しさを利用し、踏みにじる私でいたくはない。


――と、までは言い過ぎの気がしますが。




任務……とはいっても、本当の意味での“任務”が与えられる機会などほとんどなかったりする。


基本、お姉様は何だってご自身でしてしまわれるし、ご主人様は……まあ、うん。




兎に角。


本当に久しぶりに与えられた“任務”。それもご主人様直々のとあれば……、……館に戻ってからの他の子たちが怖そうですね。


正攻法で言えばハッスにシャルア、キリルあたりが要注意で、搦め手ならリヒッシュ辺りには気がつかないうちに“処理”されないように気をつけないといけない。


……いや、極論を言えば館の皆、全員のやっかみの視線が怖いのだけれど。




「……いけないいけない。心をちゃんと切り替えないと」




今は。




「――潜入、開始です」




◇◆◇




「――あの」




断っていた気配を戻した瞬間、一気に視線が集まった。




「――誰だっ!?」




「済みません。あなた方の仲間になりたいのですが……」




即座にこちらの言い分を伝えておく。


でも……中々、気配を探るのが上手い輩が多かった。注意するべきはあの男と、それからあっち……あっちに……大体あの五人くらい、かな?




「な、仲間!?」


「で、でも女だぞ……?」


「いや、そっちと言う事も考えられ……」


「それはいくらなんでも非生産的では――」


「むしろそっちも有りかも……?」




「?」




何か騒がしい……しかも私が“女”だと言う理由で騒がれているような気がするのですが……どういう事なのだろう?




「な、なら聞くが……」


「はい?」


「誰が一番だと思う?」


「誰、が……」




先程までの彼らの会話から推測するに……




「しゃ、シャトゥルヌーメ……?」


「――お前、話が分かるやつだなっ!!」


「っ!」




最重要注意人物、クゥワ!? ――いや、こう言う時こそ落ち付いて……




「よしっ! お前の事を仲間って認めてやる……だがっ、俺の女神シャトゥルヌーメは俺のモノだからな!!」


「……はあ、ありがとうございます」




と、取り敢えず、潜入成功……?




「よし、なら早速、俺の女神シャトルヌーメの魅力についてとことん語りあ」






――必滅、のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ






『?』




――“俺の”とか気色悪いこと言うなっ、超々長距離“ろんぐ・ブレイク”ッッッ!!!!




「……ぇ?」




何か、空から(?)何処かで聞いた事のある声が聞こえたかと思えば、次の瞬間、目の前にいたはずの数十人のヒト達が全員、地面に圧しつけられていた。




――我断われはだんじる、≪くりむぞん・クロス≫




『っっ!!??』




見上げると、天に途方もない大きさの赤い十字が――堕ちて来た。




や、避けられな、――っ!!




「……、ぁ」




◇◆◇




≪チェンジリング――ったく、あのバカ≫




◇◆◇




「……」


「お~い、大丈夫か、クェルバ」


「……、ぇ、ご主人、様?」


「そう、愛しのご主人様」


「いえ、別に愛しとかじゃないです」


「あ、そう」


「はい」




目の前にはご主人様。お姉様は……少なくとも私に姿は見えない。周りを見ると……何処か分からない。


何処なんでしょうか、ここ……?




「えっと、ご主人様……?」


「ああ、取り敢えずここは安全な場所。んで、どういう事あったか覚えてるか?」


「えっと、確か……空に、大きな十字架が――?」


「そ。んで、(別の意味で)危なかったんでちょっと助太刀した」


「助だ……ご主人様が?」


「そ。……所で今回は悪かったな、クェルバ。ちょっと俺の見通しが甘かった」


「え、は?」


「ん~、まさかあのバカがあそこまで見境なしのおバカだとは思ってなかった、つか、やることなす事無茶苦茶だな、あいつ」


「あ、あいつ?」


「シャトゥ。今どこにいるかは知らないが、『静鎮』の言葉にブチ切れて我断きりふだを使いやがった」


「切り札……?」


「まあその辺りの事情は良いとして。何処か調子の悪いところはないか?」


「調子、調子、……敢えて言うなら少し、ご主人様が近いです」


「それは仕方ない。俺がかっさらう様にしてクェルバを助けたから。約得だと思って諦めてくれ」


「……約得なのはご主人様の方じゃ、」


「そうとも言う。兎に角諦めろ」


「……はい」


「ま、とにかくこれで今回の依頼は無しだな。つか、あいつら全員絶滅したし。いや絶滅? ……まあ、全員絶賛、ラリ中?」


「ら、ラリですか……?」


「ああ。まあ、ぼろ雑巾のようになった『静鎮』を除いてだけど」


「ま、だからゆっくり休め」


「え、あ……? えっと、一体何が……?」




何が起きたのか、は覚えているけれど、でも何がどうなったのか、理解が追いつかない……?




「ん~、まあハズレクジ引いちまったってこと? ま、ゆっくり休んでくれって事だ。何なら俺の膝でもかそうか?」


「ご主人様の、膝……?」


「ごめんなさい、調子に乗りました」


「あ、いえ。別に嫌という訳じゃ……それじゃあ、ご主人様、膝をお借り、しますね?」


「お、そう? なら存分に貸してやろう、貸してやろう」


「……はい。…………、これだけでも十分、ハズレじゃないです」


「ん? 今何か言ったか?」


「いえ、何も」


「疲れてるんなら俺には遠慮せずに休めよ?」


「……はい」




……まあ、結局のところ良く分からないのだけれど。


いっか、これはこれで。






◇◆◇




「……じー」


「……何か言いたい事が?」


「いえ、旦那様。私の方からは何も?」


「ならなんで見つめてくるんだ?」


「クェルバ様、大変寛いで――寝ておりますね。良いことかと」


「……何か裏がある発言に聞こえるのは何故だろう?」


「私が裏を含めたからだと思います」


「……」


「私は、別に? 旦那様は思う存分、クェルバ様に膝をお貸しになっていればよいのです」


「……あ、後でお前にも膝枕してやるから」


「では旦那様、私はしばし姿をくらませていただきます」


「…………何故、俺が何をしたっ!?」



……何で赤い子が?

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