ど-460. わーるど・ランキング
WR
世界で強い、十人?
No00-09
00.白面の女王――ホロン・アーク・プリム(女)
(01.夜天の女王――フォロゥ・アーク・プリム(女))
02.燎原の賢者――ステイルサイト(男)
03.点睛の魔王――スヘミア(女)
04.灼眼の剣士――ラライ(女)
05.掌握の鬼神――リリアン・アルカッタ(女)
06.金奴の傭兵――クリステル・リュートリアム(女)
07.万化の魔法使い――ニシア(男)
08.情報士――マデューカス(女)
09.千烈の騎士――トマス・ミューズィリア(男)
10.豪拳――フィン・マークス(男)
です。
……やべぇ、何か女性陣の方が人数と言うか、勢力強いんですが(汗)
「先の魔力爆発の件、何やら大変な事になっているようで御座います、旦那様」
「へ、へぇ、そうなんだ」
「はい。つい先日にはギルドより調査隊が結成、派遣されたとのことで御座います、旦那様」
「……あー、そう」
「はい。加えて申し上げさせていただきますと、調査隊にはクリステル・リュートリアム様もご参加なされるとのことでした」
「クリステル・リュート……クリス? ――って、あの守銭奴が?」
「はい。W.R.第六位、クリステル・リュートリアム様に相違御座いません」
「そりゃまた……あの守銭奴を雇うのも安くないだろうに」
「はい。金貨1000枚で契約なされたとか」
「千――って、そりゃまた大盤振る舞いな事で」
「ですが此度の件は致し方ないことかと。なにしろ突如として途方もない魔力が発生し、それが数日も連続して継続していたらしいですから」
「……あー、そうなんだ」
「はい。その原因が不明であるとなれば用心はしておいて越したものではないかと」
「ま、まあ確かに? その通りではあるな」
「他にも第五位リリアン・アルカッタ様、第四位ラライ様にもお声をかけたそうですが良い返事がえられなかった、とのことでした」
「そうなのか? リリアンならこんな面白そうな事って言って喰いついてきそうな気がするけど?」
「なんでも“レム”と言う名の男性を探すついでの花武者修行の最中とのことでお断りされたそうで御座います」
「あ、そう」
「ラライ様は『眠いから嫌』の一刀両断であったそうです」
「それはまた、ラライらしいっつーか。でもその様子だと他のW.R.のヤツらにも声がかかってそうだけど?」
「白面、並びに第三位スヘミア様は行方知れずで連絡が出来なかったそうです。それにスヘミア様は地方によっては災厄の魔女として嫌われてもおりますので」
「まあスヘミアは仕方ないとしても……へー、連絡付かずで、ねぇ」
「旦那様、何か? 仰りたい事があるのでしたら耳汚しのついでにお聞きいたしますが?」
「……」
「旦那様?」
「い~や。別に」
「左様でございますか」
「ああ。でもスヘミアに限らず、他の……例えばマデューカス辺りなんてお金で動きそうな気もするんだが? あいつもどちらかと言えばクリス寄りの性格だったはずだけど」
「マデューカス様は……どうやら『頭が痛い』と言う理由で断っている様ですね」
「頭痛い? いや、それってどんな仮病だよ」
「まあ、何か厄介事であると感付いたのかもしれません。あの方はあれで中々、侮れない所も御座いますので」
「そうか? ふつーの、何処にでもいない根暗なねーやんだと思うのだが?」
「そう思われているのは旦那様だけではないかと思われます」
「ん~?」
「お分かりでないのならばそれで宜しいのでは? それはそれで旦那様らしいのではないかと私は思います」
「……何かお前に俺らしいって言われると馬鹿にされてる気になるのって俺の被害妄想なのかなぁ?」
「いえ、それはおおよそ間違っていないかと」
「って違わないのかよっ!?」
「はい。当然ではありませんか。旦那様をバカにしてこなかった日など一日たりともありません」
「何だその驚愕の事実!?」
「もっとも同時に尊敬してこなかった日も一日たりとも御座いません」
「うわぁ……何か一気に信憑性と言う名の真実味が下がった気がするな」
「心外です」
「そう思わせる、魅力と言う皮を被った夢幻の妄想の類がお前にはあるんだよ」
「そうなのですか? 旦那様に魅力的と言われたのであれば納得しておきますが……」
「いや、んな事微塵も言ってないし」
「存じております。ですが敢えて旦那様のお言葉をポジティブに捉えてみました」
「んな余計な事は要らん。……つか、聞きそこなったけどそれじゃあ他のW.R.の奴らはどうなってるんだ?」
「順当に申し上げますと……先ず第七位ニシア様は研究が忙しいそうです」
「研究て、」
「“隷属の刻印”についてですね」
「……未だ諦めずに解析やってるのか、あのショタ老人」
「ついで第九位トマス様は己の鍛錬に忙しいのと、国を離れるわけにはいかない、と言うのが表向きの理由だそうです」
「表向き?」
「はい。実際のところは何やら“赤い女神様”とやらを崇めるのに忙しいそうです。何やら彼の国の人々の多くが覚醒ざめたとか何とか」
「覚醒ざめるて、……ロリに?」
「はい、ロリに。ちなみに言うまでもないと思いますが、“赤い女神様”とはシャトゥの事ですね、間違いなく」
「まあ、そうだろうな。と言うかその国の奴ら、ヒトとして色々と終わったな」
「そうとも言います」
「――ちなみに聞いてみとくが、第ゼロ位と第一位のお姉様方は?」
「……申し上げる必要性を感じません」
「ふーん。あ、そ」
「しかしながら旦那様、」
「ん? 何だよ?」
「あくまで他人事ではありますが、何やら大変な事になっておりますね?」
「……そ、そうだな。何か最近検問も多いし、何でこんな事になってるんだろうな?」
「もしかすると過去最大の【厄災】が出現した、とでも考えているのではないかと。なにしろあの無色透明なラクリマの草原――あぁ、クリアクリマと名付けられたそうですが、あそこで生じた魔力の原因はいまだ不明だそうですので」
「……じー」
「何でしょうか、旦那様。私の顔に何かついておりますでしょうか?」
「いや。つか、その原因、お前」
「はい、そうですね。もっとも旦那様にご迷惑をかけてしまいかねませんので、何方かに申告する気は一切ありませんが」
「例えばお前を一人突き出して俺は一人気ままな一人旅に出ると言う妙案もある」
「その時は私を捕えようとするもの全てを蹴散らして旦那様を追うとしましょう」
「……うわ」
「旦那様?」
「いや、今お前が追手を蹴散らしてる光景を想像してみてた、って何か凄い光景になってたな、おい」
「旦那様の妄想の中であられもない事をさせられてしまう私……旦那様、恥ずかしいですのでそのような事は控えていただけるとありがたいのですが?」
「いや、恥ずかしいと言うか……銀色の悪夢?」
「……――旦那様がお望みとあらば今すぐにでも実現してまいりましょうか?」
「いやいやいや! 止めろって、つか何危ない発言してやがるか、テメェは!!」
「……旦那様が意地悪を仰るのが悪いのです」
「そんな拗ねたみたいに言っても駄目だからな?」
「旦那様の、イケズぅ」
「ぅ」
「と、今のところは旦那様のうろたえた表情を拝見する事が出来たので満足しておくとしまして。もう少々逃亡速度を上げた方が良いかもしれませんね?」
「逃亡言うな」
「ですが真面目な話、クリステル様に見つかると少々拙い事になるやもしれません」
「そう、だなぁ。伊達にW.R.六位ってわけでもないし。まあ出遭えば間違いなくお前が“事の原因”って疑われるだろうな、つか別に間違ってないし?」
「旦那様、やはり進行速度を上げる事を提案致します」
「いや、進行って言い方変えても同じだから、それ」
「では……愛の逃避行?」
「愛は要らないとして、まあ逃避行で間違いないな。後ろ暗い事は全然してないけどな!!」
「そうですね。旦那様は兎も角として私は後ろ暗い事など一切しておりません」
「いや、どちらかと言えばお前の方が後ろ暗いだろ?」
「いえ、旦那様にはとても及びませんとも」
「そんな事はない」
「十分御座います」
「……いや、不毛なやり取りは止めよう」
「そうですね。不毛なのは旦那様の頭だけで十分かと」
「いや俺禿げてないし!!」
「……、では不作なのは旦那様だけで十分かと」
「不作って何が!? 何が不作だって言うのんだよっ!?」
「……さて? 神ならぬ、旦那様のみぞ知る、と言うものかと」
「……ぅ~」
「さて旦那様、お戯れも早々に、早急に逃亡いたしましょうか。なにしろクリステル様は金銭事については旦那様の存在と同じく非常識な程に鼻が効きますから」
「……まあ、あいつに会うと面倒な事になるのは否定しないし。うん、そうだな。ならもう少しだけ、急ぎで旅するか」
「はい、旦那様」
とある護衛の独り言
「……料理も、勉強しておこうかな?」
ちょっと花嫁修業が気になるお年頃。