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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
764/1098

ど-457. ドレス・パーティ・ちょっとだけ

こんな日もあるさ、的な。



「――風が気持ちいい」



「火照った体にはちょうどいい、か」



「はい、旦那様。しかし火照った体などと……仰る事は分かるのですが少し下品であると言わせて頂きます」



「そうか? つかそのままだと思うけどな」



「まあ、確かにあちらの熱気は凄いですので。身体が熱い、と言うのは事実ですが、旦那様が仰られると別の意味に聞こえてくるので驚きです」



「それはお前の受け取り方が悪いだけだ」



「左様でございますか」



「ああ」



「……」



「……」



「旦那様、夕焼けが――いえ、黄昏が綺麗ですね?」



「……ああ、そうだな」



「同意していただけるのは嬉しいのですが、こちらを見て仰って下さるとなお嬉しいです」



「……」



「旦那様?」



「……いや、何で俺、こんなところにいるんだろうなって思ってさ」



「パーティに招待されたからではないですか?」



「まあ、その通りなのだが。そもそも何故にパーティ?」



「旦那様が偶然にも暴漢に襲われているこの国の姫君をお助けになられたからではありませんか?」



「助けたのはお前だけどな」



「はい。旦那様は偉そうにふんぞり返っていただけでしたね?」



「まあ事実、俺って偉いし?」



「その癖、『大丈夫か!?』などと姫君に駆け寄られるのは一番最初でした」



「何と言っても見せ場だからな!」



「そうですね?」



「まあ、でもどちらかと言えばパーティに誘われたのって俺のおかげと言うよりもお前の所為だと俺は思う」



「そうでしょうか?」



「いや、そうだろ。姫さんってよりは王子様がお前に一目ぼれ、んで俺はそのおまけみたいな感じだったと思うけどな?」



「それは由々しき事態ですね」



「ま、だとしてもいつもの事だろう」



「……何故私の様なものが他の方々から好意を抱かれるのか甚だ疑問なのですが」



「それはまずお前の容姿を見てから言え」



「美人です」



「しかも絶世、がつくくらいのな」



「私としては旦那様に喜んで頂けるのであればそれだけで十二分なのですが。あとからかうのと」



「いや、からかう方は必要ないからな?」



「えー」



「んなあからさまに不満そうに演技して見せるな!!」



「今のは八割本気で不満を漏らしてみました」



「……聞かなかった事にしよう」



「しかしどちらにせよ、旦那様以外の男性の方からの好意など迷惑以外の何物でもないのですが」



「くっ、その余裕な態度は俺に対する遠まわしな嫌がらせかっ!?」



「いえ、そのような事は。……まあ旦那様は先ず相手の好意を正しく受け取ると言う事から始められた方が宜しいかと。性根共々激しくひねくれておりますので」



「そんな事はない。俺はいつでもカモンな受け入れ態勢万全だ」



「……涙が出そうです」



「何がだよ!?」



「いえ、旦那様の余りの哀れさに」



「……言うな」



「……ほろり」



「……」



「……」



「全然、泣いてないからな、お前。表情も変わってないし」



「それは当然ですね。私が泣くのは旦那様の胸の中だけであると、そう誓いを立てておりますので」



「いや、そう言う意味じゃないし、……つか、はぁぁぁぁ」



「如何なさいましたか、旦那様?」



「ゃ、何と言うか……こう言うのは俺の性に合ってないなーってつくづく思うよ」



「そうですね」



「即答で同意されるってのもなんとなくむかつくんだが?」



「ですが事実ですので仕方ありません。旦那様にはこのようなモノは似合っておりません」



「かな? でもその点、お前の方は……そのドレスも似合ってるし、性にも合ってそうだよな?」



「お褒め頂きありがとうございます、旦那様。しかし私の性に合うなど――そうではないかもしれませんよ?」



「いや、そんな事はないだろ」



「方々の世辞に付き合うのもそれなりに気苦労があるのですよ? まあ旦那様には無縁のものでしょうが」



「放っておけ。つか、アレは世辞とかじゃないと思うけどなぁ」



「このような場では世辞を言って女性を如何に落としてその気にさせるか、と言うのは世の男性の常套思考に御座います」



「いや、んな思考を当り前です、みたいに言われても」



「詰まるところ普段の旦那様と同じような行動を取ってしまうと言う、世にも恐ろしい会場が形成されるのです」



「や、だからな? 俺がいつもそう言う行動を取ってる、みたいな言い方は止めて欲しいわけだが?」



「では常日頃から女性の方々を口説いてはおられないと仰られるおつもりなのですか、常日頃より夢はハーレムなどと公言しておられる旦那様?」



「いや……まあ、そうなんだけどさ。お前みたいな言い方じゃ、俺がまるで遊び散らかすチャラチャラした奴みたいに聞こえるじゃないか」



「それは……違いますね」



「だろう?」



「旦那様の場合は相手にもされませんので」



「放っとけ!!」



「どちらにせよ、あれが世辞であれ本意であれ私が思う事に変わりはありませんが。一度自身の存在を見直してからそれでも再度同じ事を言いに来られるのであればこの世から消えて下さい、と」



「って、おいおい。……流石にそれを直に相手に言ったりとか、してないよな?」



「はい。むしろ旦那様が一度人生を考え直した方が宜しいかと」



「だから何でだよっ!?」



「……旦那様、今宵も月がきれいですね?」



「ってあからさまに話を逸らすな! あと月なんてまだ出てねぇよ!?」



「いえ、出ております。旦那様がには見えないだけでは?」



「……て、か、それはそれで見えるのはお前くらいだよ」



「左様で」



「ああ――ってだから話を逸らすんじゃねえ!!」



「ええ、はい。確かどの侵入経路が速やかに姫君の寝室まで侵入できるか、と言う話でしたね?」



「んな事を話してた覚えは一切ねえよ!?」



「私としてはこちらの経路が順当ではないかと」



「って、それこの城の地図か?」



「はい」



「準備良いなぁ。えっと、何々……ふむ、ほほぅ――って違げぇよ!?」



「その割にはヤル気に満ち溢れておりましたね、旦那様?」



「まあ、準備して置いて損はないってな。……何か出された飲み物に睡眠薬的なモノが入ってたし」



「おや、旦那様もですか? 私もです」



「お前にもかよ。……いや、むしろ本命はお前の方だったり?」



「ぞっとしますね」



「だなぁ。……まあ、この程度のモノが効けば、っつー話だけどな。陰謀渦巻く王宮で使われてる割には質が悪いぞ、この睡眠薬もどき」



「旦那様は薬に関してのみ厳しいですからね。通常の方であればこの程度の効果で十分だと思いますよ?」



「そうか? ま、だとしてもこの程度じゃどれほど飲ませたところでお前には微塵も効かないだろうなぁ」



「そうですね」



「……しっかし、やっぱりこう言うのは性に合わないなぁ」



「ならば招待の件、断ればよろしかったのではありませんか?」



「いや、女の子からの誘いは断れないし、それに断ったら断ったで何かと面倒だろ? 面子とかプライドとか、どうでもい事ほざいて騒ぎ立てるのは目に見えてるんだから」



「それはそれで旦那様の方々を蹴散らす凛々しいお姿が見れそうで楽しそうですね」



「そんなことしないからな?」



「旦那様は貧弱ですね?」



「言ってろ。まあ、それに、だ。このご招待に乗ったのはまあ、他にも理由があってな。この理由がどちらかって言うと二番目って感じかな?」



「二番目ですか? では一番目はどちらで?」



「んなの、当然女の子の誘いだからに決まってるだろうが」



「流石は旦那様」



「まあ、だから? お前も偶にはメイド服以外の服でも着てみたらどうだ――なんて思ったのはあくまでおまけだな、うん」



「――ぇ?」



「まあ気にするな。俺は気にしないし、やっぱりそう言う服も似合うよな、お前」



「……」



「いや、つかお前はどんな服着ても大体似合うか。むしろお前に似合わない服ってどんなだ? ……ふむ?」



「……」



「ま、いいや。って事だから――って、どうかしたか?」



「いえ、何でもありま――、いえ。そろそろ冷えてきましたので、中に戻りましょうか、旦那様」



「ん? ああ、まあそうだな。んじゃ、戻ろうか」



「はい」



とある護衛マレーヌの独り言


「……ふと思ったのですが、こうして主様をじっと見つめている私の姿は周りから見ればどう映るのでしょうか? 恋する乙女、とか。…………よ、余計な事は考えないようにしましょうっ」


今日も今日とて平和に過ぎていく?



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