45. どれいといつもの
~これまでのあらすじ~
アルカッタとカトゥメ聖国との戦争を止めるために単身(?)尽力を尽くすレム。だがそのかいもむなしくアルカッタから追ってきた刺客(?)に捕まってしまった。何とかその刺客の説得に成功するモノに、何故かこう言う時に限って余計な相手と再会して……?
アルーシア・・・愛称、アル。口のきけない奴隷の女の子。基本的に口がきけないので影が薄い? かどうかは分からない。
シンカ・・・絶賛気絶中の不幸な巫女様。レムに攫われてから碌な目にあってなかったり。
スィリィ・・・スィリィ・エレファン。何か知らないがレムに(多分)恋する女の子。ちょっとだけ、口より先に手、手より先に魔法が出る癖があるかもしれないが可愛いものである。
スヘミア・・・ロリ担当……と言う訳ではない。世界で五指に入る筈の凄く強い、そして凄くちっちゃい女の子。合法ロリ。でも小さい事は本人気にしてるので禁句です。
シャトゥ・・・多分、どこかにいる。
「ああ、世界よ。どうして世界は俺に試練を与えるかっ」
「レムの困ってる顔が好き、とか?」
「……(こくこく)」
「……スィリィ、ヒトの独り言に答えないでくれ。あとそれはありそうでなさそうで怖いから止めて。あとアル、意味も分からず頷かないでくれ」
「……その顔、何かぞくぞくする」
「……?」
「アル、ちょっと教育に良くないから耳を塞いでようなー? そしてスィリィ、それは気の所為だ」
「いいえ、そん」
「気の所為だ」
「で」
「気の所為だ」
「……」
「気の所為だ。そうだよな?」
「え、あ、うん。そう、かしらね? それよりもレム、ちょっと顔が近くないかしら?」
「そんな事はない」
「……」
「……」
「……」
「どうした? 目なんて瞑って、魔法使い過ぎで眠くなったのか?」
「――むぅぅぅ」
「?」
「レム・アイリアス!!」
「な、なんだよ急にそんな大声出して……」
「ちゃんと! 全部包み隠さずに説明、してもらうからね!!」
「お前、何いきなり怒ってるんだ?」
「怒ってない!!」
「……それもそうか。思い返してみればスィリィって、コレがデフォだし」
「――はい? 何か言いやがりましたか、レム・アイリアス?」
「……何でもない」
「そう。なら――いいの。それよりもちゃんと説明。はぐらかさせないんだからねっ?」
「いや、説明と言われてもなぁ……」
「レム兄様、久しぶりだねっ。後そっちの冰頂の子も久しぶりっ」
「……――で、誰?」
「誰って、……あれ? そう言えばスィリィってスヘミアと会った事なかったか?」
「すへみあ?」
「そ。点睛の魔女スヘミアって言えば結構有名だと思うけど?」
「点睛の魔女ことスヘミアちゃんで~す。コレでも君よりもお姉さんだから間違えないでね? あとレム兄様、久しぶりに会ったんだから愛の抱擁の一つでもしようよ~?」
「む? 愛の抱擁をご所望とあらば――、」
「……レム」
「なんだよ? てか、ちなみに正真正銘の本物だからな」
「――と言うより、そんな事はどうでもいいのよ」
「はい?」
「私が知りたいのはこの子とレム、あんたがどんな関係かって事だけよ。その他の些事なんてどうでもいいわ」
「ゃ、些事って……」
「兄様、とかって呼ばれてるけど別にレムの兄妹ってわけじゃないわよね? 顔、似てないし。レムはどうせそう言う趣味だろうし」
「ああ、まあ、違うけど。あとそれはスィリィの勘違いだと言っておく」
「……ふ~ん?」
「わ~、全然信じてない目だな、ソレ」
「当然でしょ。信じてないから」
「……正直は美徳かどうか迷うところだなぁ」
「はーい、レム兄様の愛の奴隷のスヘミアちゃんで~す♪」
「――へぇ、ふぅん、そう、……そういう関係?」
「ちょ、おまっ、そう言う場をかき乱すような発言は――」
「……まあ、レムがその事どういう関係だろうと私には関係ないんだけどねっ、――砕けっ、アイス・エッジ」
「ちょ、ぅお!?」
「“砕けっ! 突刺せっ! 粉砕しろっ!!”~~っ、“滅殺!!!!”」
「っと、お、ひょ!? っっっ!!」
「あぁもうっ、相変わらず避けるのだけは上手いわね、レム!! 一陣を以て灰塵に化せ、“ストーム・ファング”」
「っおぉぉ!!?? と言うか俺は何で攻撃されてるわけ!?」
「問答無用!!」
「いや、問答ってのはヒトとヒトが理解し合ううえで一番大切な、っっ」
「“ちょっと凍って反省なさいっ!!”」
「氷漬けはちょっととは言わん!!」
「あーもうっ、ちょろちょろと逃げないでよっ、レムの癖に!!」
「逃げるに決まってるだろうがっ、つか逃げないと死ぬわ!!」
「死なないわよっ、ちょっと氷漬けにして反省させるだけじゃない!!」
「それは十分死ねると気付けっ、それに俺は反省するような事をした覚えはないぞ、このバカ!!」
「バッ――そんな事言う事ないじゃないっ、レムのバカっ、鈍感っ、変態っ、ロリコンっ!!」
「俺はロリコンじゃねえ!!!!」
「ならそっちの子は何なのよ!?」
「だから点睛の魔女ってさっき説明したばかりだろうがっ!?」
「仮にそうだとしてもっ、あ、愛の奴隷って――つまりそう言う関係なんでしょ!?」
「そう言う関係ってどんなだ!?」
「そ、それはその……兎に角っ、レムなんてロリコ」
「俺は断じてロリコンじゃねえっつってるだろうがっ!!!!!!」
「そんなの全然っ、全然信用できないわよ!!」
「信用しろ!!」
「無理! 大体、その、アルーシアって子やシンカって子を見て、何処をどう信用しろって言うのよ!?」
「……???」
「……無理か」
「無理よ!!」
「だが俺はロリコンじゃねえ!!」
「信用できないわよっ、そんな事っ!!」
「……う~ん、相変わらず、レム様の周りは賑やかだなぁ」
「――って、そもそもの原因が何ふざけたこと言ってやがるっ、スヘミア!! ちょっとは俺を助けようとかそう言う気はないのか!?」
「と、言われても。……冰頂の子は何だか怒ってるみたいだし、どうせそれってレム兄様の所為でしょ? ならほとぼりが冷めるまで傍観してた方が利口かなーって」
「怒らせたのはテメェだっ、スヘミアぁぁぁ!!??」
「さっきから何でその子ばっかり見てるのよっ!? ちゃんと私の方を見なさいよっっ――死塵と化せ、デッド・エンド」
「ちょ、おまっ、使っていい魔法と駄目な魔法が――」
「殲滅っ、殲滅っ、殲滅っっっっ!!!!」
「っっ、テメェら……い・い・加減――――」
「「っっ」」
「ちょっと落ち着けっ、このお転婆娘!! スヘミアッ、お前もお前だっ! いい加減傍観者気取ってないでさっさとこの場を収めろっっ!!」
「「あ、うん、はい……」」
「……、宜しい。つか、初めからちょっとは大人しく俺の話を聞けってんだよ、お前ら二人とも」
「「ごめんなさい――ぁ」」
「あん? まだ何かあるのか、と言うよりも本当に俺をこれ以上怒らせたいのかお前ら?」
「あ、いや、ね、レム?」
「あのね、レム兄様……」
「なんだ!! 言いたい事があるならはっきり言いやがれ!!」
「えっと、その……」
「ん~」
「だから何だってんだよ!?」
「「――上」」
「あ? 上、……て――」
デッドエンド――全てを死塵と化す、魔法とも呼べない魔法。それでいて半ば禁呪扱いされる程に、大昔に何処かの“ル”のつく白龍が保証したほどの威力・殺傷力をもつ、超々高純度の圧縮魔力の塊。
レムの真上に……直撃した。
「「……あ」」
レム君、撃沈?
……何故こうなっているのか作者にも分かりません。