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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
751/1098

ど-450. 何故か? そこにあるからだと答えよう

一夜城


「一つ、積んではヒトの為~」



「……」



「一つ、積んでは世の中の~」



「……」



「一つ、積んでは……ん~? 俺の為~」



「……それで旦那様は一体何をなさっておられるのでしょうか?」



「ふっ、お前ともあろうものが見て分からないのか?」



「私が長方形にくり抜いた石をひたすら積み上げているようにしか見えませんが……」



「って、そのままじゃねえかよ」



「では一体、何をされておられるので? 以前のようにギルドの依頼で家を建て……と言う訳ではないですよね?」



「ああ、誰かからの依頼ではないな」



「……家を建てておられると?」



「まあ、家と言わずに城くらい?」



「……規模が通常の――アルカッタにある程度の大きさだとして、旦那様の今のペースではお城の完成まで大凡、150年程かかるかと推測されますが?」



「それは……ないな。お前、ちょっと手伝え」



「宜しいので? 私が手伝えば、恐らく城の完成に要する時間は半日になりますが――」



「って、どれだけ短縮されてんだよ!?」



「私は優秀で御座います。旦那様はお忘れでしたか?」



「忘れ、と言うか半日と言うのは流石に……“裏技”なしでだよな?」



「はい。今の旦那様の8万倍程度の作業速度ならば可能ですから」



「……俺、何か自信をなくしそうだよ」



「存分になくして下さいませ。自信とはなくし、打ち砕かれ、はたまた粉微塵にされた上でもう一度持ち直す事により強くなっていくのですから」



「お前の場合、間違いなく自信なくしてる隙をついてくると思う」



「流石よくおわかりで」



「伊達に長い付き合いじゃないしな……と言うか経験則だ」



「そう言えばそのような事も御座いましたね?」



「御座いましたね、とかほざくな。くそっ、俺があの時どれだけ……」



「旦那様、手が止まっておりますがよろしいので?」



「ああ、てか飽きた」



「左様で」



「やっぱりコツコツと地味にって言うのは俺の性に合わないんだわ」



「やる気のない方が仰られる常套句の様なものに御座いますね、その台詞。正に旦那様の性根を表していると言えましょう」



「いや、だからと言って途中でやめる気はないぞ?」



「私に手伝えと仰るのでしょう? 所で旦那様は一体何をなさっておられたのですか?」



「何をって、だから城を建てようとしてるって言ったはずだが?」



「それは承知しておりますが。一体何のための“城”なのでしょうか?」



「……なぁに、偶には世のため人のために働くのも悪くはないなって思ってな」



「それは本当に甚だ傍迷惑な思いつきでは御座いますが、ならばこのような平原に城を立てずともよろしいのでは御座いませんか?」



「いや、そこはホラ、人目につかずに良い事をするのが恰好いいんだろうが」



「人目につかない所に城など立てて旦那様はどうするつもりで?」



「どうもなにも城の役目と言えば一つだろうが。王様の棲み家だ」



「それで、その王様とやらはどちらの方でしょう? 旦那様が自らここに住まれる、と仰るのでしたら止めは致しませんが」



「……」



「……」



「よし、どこかから一匹、王族を攫ってこよう」



「了解いたしました、旦那様――」



「いや待て待て待て。冗談だから本当に攫いに行こうとするな」



「私も冗談です」



「……しかしうっかりしてたなぁ。そうか、王様かぁ……どうしよ?」



「少々お待ちいただければ私が調達してまいりましょうか?」



「調達言うな、調達。……あと、今のも冗談だよな?」



「はい。冗談は旦那様の存在だけにして下さいませ」



「それはどういう意味だよ!?」



「いえ、特別深い意味は御座いませんが」



「ないのかよ」



「はい、御座いません」



「……」



「……」



「ま、取り敢えず王様とかその辺りの面倒な事は城を建てた後に考える事にしよう」



「はい、旦那様。しかし、一番の問題を先送りするとは旦那様でなければ誰もやりませんね?」



「うるせ」



「これは失礼を、旦那様」



「いや、どちらかと言えばお前そのものが失礼だから。別に気にしなくて良いぞ?」



「では気にしない事に致します」



「……今のは嫌味だと気付け」



「ですから申し上げたでは御座いませんか、気にしない事にする、と」



「……」



「それで旦那様、私はどのような事をお手伝いすればよろしいのでしょうか? 何か、ご指示をお願いします」



「あ、ああ。そうだな。それじゃあここら一周を囲むみたいに塀を作ってくれ」



「承知いたしました。では早速――」



「ああ、それじゃあ俺もさっきの続き、」



「終了致しました。次のご指示を、旦那様」



「早っ!? てか、え、もう?」



「はい」



「……うわぁ、何だか本気で俺、自信喪失しそうなんですけど? 俺が半日かけて積み上げてきたあの努力って一体」



「私には旦那様が何をなさりたかったのかが分かりません」



「俺も何だかわからなくなりかけてるけどねっ!?」



「恐らく何かの盛大かつ無駄な努力的な理由があったのでしょう、私はそう信じておく事にします」



「……無駄な努力」



「では旦那様、次の指示を宜しくお願いします」



「……ああ、何かもうばからしくなってきたっ! それじゃあ次の指示だけどなっ、ここにお前が思いつく限りのビックリギミック城でも建ててろっ」



「――では、その様に」




【シャトゥちゃんの冒険-without Blue Sky-】


「……ここはどこでしょう? 道に迷いました」

きゅ、きゅ~

「ダメなの! ルルが空を飛ぶと青い子に見つかっちゃうのでいけませんっ!」

きゅ!? きゅぅぅぅ

「うむ。と言う訳で地道にでも歩かなきゃ駄目なのです。ルル……頑張って二人で生きようね?」

きゅ?

「しんみりした空気は嫌いなので行きましょうか、ルル」

きゅぅ!!

「うむ、あっちはなんとなくいやな感じがするので、今度はこっちにします。……願わくば、新しい信者さんも増えますように。あとレムが酷い目に遭いますように」

きゅっきゅっ♪



のんびりまったり、一人(二人?)旅。


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