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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
740/1098

44. どれいと“ち”のつくケンカ

~これまでのあらすじ~

アルカッタとカトゥメ聖国との戦争を止めるために単身特攻をかけた(ただし結果的に)レム。そして逃げ切れば戦争を止めると言う約束をカトゥメの皇子クィックと交わして、いつものごとく逃亡を開始した訳だが、遂に捕まってはならない相手に捕まってしまった。



アルーシア・・・愛称、アル。喋る事が出来ない、表情も欠落している奴隷の女の子。基本的に何かに反応する事はないのだが……?

シンカ・・・只今気絶中の、リリシィ共和国の偉い巫女さん。

スィリィ・エレファン・・・カトゥメ聖国の結構偉い貴族さんの娘だったりする子。


クィック・・・別名、イチ? カトゥメ聖国の次期聖王サマ。今回アルカッタを攻めるカトゥメ軍の最高責任者。


「それでレム、どうしてカトゥメの軍になんて追われてるのよ?」



「あー、それはまあ、色々とあってだな」



「……」



「……まさか、ネルファ王女に手を出したとかじゃ――ないわよね」



「痛いっ、痛いっ、違うから傷口をえぐるような真似は止めて!?」



「……」



「あ、っと。ごめん、つい」



「……ついで傷口を穿り回すのはどうかと思う」



「……」



「だから悪かったって言ってるでしょ!?」



「いえごめんなさい。俺が悪かったです」



「……」



「なんで謝るのよっ、今のは私の方が悪かったっていってるでしょっ!!」



「マジ済みません。だからお願いだからもう傷口抉るの止めて、恥も外聞も投げ出しそうなくらいに痛いから」



「……」



「ぁ……ご、ごめんなさい」



「と言うかスィリィ、お前は俺の怪我を治療しているのか、それとも悪化させてるのかどっちなんだよ」



「……」



「ごめんなさい、悪化させてたわ」



「……ゃ、そこで開き直られても」



「……」



「でも事実だし。それに大丈夫、今度はちゃんと治療してあげるんだからっ」



「全力でそうしてくれる事を望む。じゃないと俺の身が持ちそうにないし」



「……」



「分かってるわよ、そんな事……っ」



「――しっかし、これまた壮観だよなぁ」



「……」



「……何がよ?」



「いや、周りの光景が。死屍累々って感じだし」



「……」



「……、ちょっとだけやり過ぎた感はあるわね」



「いやちょっとじゃないだろっ!? 痛っっ」



「……」



「ああもうっ、じっとしてないと手元が狂うじゃないっ」



「悪い。……と言うか、スィリィよ」


「……」



「なに?」



「やっぱりこれはちょっとじゃないだろ。ざっと数えただけでも数万人規模で氷づ――……戦闘不能ってどうよ?」



「……」



「なによぅ。そもそも私のレムを勝手に、私に何の断りもなく狙ってたんだからこれくらい当然、自業自得でしょ」



「私のとか言うな」



「……」



「そっ、――そんな事言う訳ないじゃないのっ!!」



「いや、今普通に言ってたからな。な、アル?」



「……」



「ば――バッカじゃないのバッカじゃないのバッカじゃないのっ、えぇそうよ“私の”レムよ、悪い、悪いって言うの!?」



「いや、悪いとまではいってないが――」



「……」



「あ、でもどちらかと言えば私のレム、じゃなくて私がレムのモノ、なのかしら? ……ねえ、どっちだと思う?」



「どっちと聞かれてもなぁ」



「……」



「あ、いやご免今のなしっ、今のは嘘よ軽い冗談なんだから気にしちゃ駄目なんだから気にしないでっ」



「痛いっ!? 痛い痛いっ。だから照れ隠しとかに傷口抉るのは止めっ」



「……」



「あ、ごめ……つい」



「だからついでお前はヒトの傷口を抉るのかっ!?」



「……」



「そんなわけないじゃない。レムだからよ」



「……それは悲しめばいいのか、それとも怒ればいいのか、どっちなんだろうな?」



「……」



「喜びなさいよ」



「いや無理。つーか俺にそんな特殊な性癖はない」



「……」



「何でよっ!?」



「いや!? 何でとか逆切れされても困るのだが!?」



「……」



「……それにしても、ねえレム?」



「あん? 何だよ」



「……」



「そっちの子……確かアルとか言ったわよね?」



「ああ、可愛い可愛い俺の愛の奴隷コト、アルーシアだ」



「……」



「――」



「って、冗談。冗談だからバカみたいに殺気のこもった魔力をまき散らすな、スィリィ」



「……」



「まき散らしてない」



「まあ、確かにまき散らすと言うよりは俺に一点集中されてるっぽいけど、むしろそっちの方が性質悪ぃ」



「……」



「何よ、喜びなさいよ」



「いや、だからお前――と言うか俺の周りの奴らは何でそう俺をそんな特殊性癖の持ち主にしたがるんだよっ!?」



「……」



「何よっ、私がじっと想いを込めて見詰めてあげてるんだから少しくらいは喜びなさいよ、ばかっっ!!」



「その想いとやらが殺気なのはどう受け取ればいいのか困るんだがっ!?」



「……」



「それくらい察っしてよ!!」



「いや無理!! ……――つーかスィリィ、このままじゃらちが明かないから話を戻すが、アルがどうかしたのか?」



「……」



「そうやってレムはいつもいつもいつもいつも私の事を蔑ろに……」



「おーい、スィリィー、戻ってこーい。それと別に俺はお前を蔑ろに扱った事は一度もないぞ? 命の身の危険を感じて逃げ回ったりはしてたけど」



「……」



「っ!! な、なにヒトの独り言を盗み聞きしてるのよっ!?」



「いや、目の前でぶつぶつ言っておいて盗み聞きとか言われても……。それと普通に独り言とかって余り良くないと思うぞ?」



「……」



「余計なお世話っ、……心配してくれるのは嬉しいけど」



「で、だ。スィリィ。いい加減話を元に戻そう」



「……」



「え、あ、話? そ、そうね」



「んで、アルがどうかしたのか?」



「……」



「あ、うん。……その子、さっきから殆んど――と言うよりも全く動いてないけど、本当に生きてるの?」



「何だ、スィリィ、見てなかったのか? ちゃんと瞬きとかしてるぞ」



「……」



「いや、私が言いたいのはそう言う事じゃなくて、その子って全然――」









ぱち、ぱち、ぱち






「「――っ!?」」



「……」









◇◆◇









「見事、見事だよ。まさかそんな隠し玉を持っていたとはな。単純に単身で軍に特攻をかけるような愚かモノではなかった訳だ」






「……軍に、特攻?」



「いやごめんなさい。何か色々とごめんなさい」



「……」



「レム、そんなことしたの?」



「事の成り行きとその場の雰囲気とノリで、まあ結果として……」



「……」



「バカじゃないの? いつも思うけどあなたバカでしょ、何でそんな危ない事をいつもいつもいつもしてるのよ」



「うん、俺もそう思う」



「……」



「ま、まあ私も? レムが処刑されるとかでつい似た様なことしちゃったし、ヒトの事言えないんだけど……」



「あぁ、そう言えばスィリィもアルカッタに特攻かけてたなぁ。俺を助けるために」



「……」



「そ、そうよっ、だから感謝しなさいよねっ!?」



「いやそれは微妙――」






「――で、そろそろ俺も会話に入っても良いか? レムとやら……それと久しいな、スィリィ嬢」






「ぁ……クィック皇子」



「何だ、二人とも知り合い……って、そうおかしい話でもないか」


「……」



「そうだな。彼女とは幼いころから懇意にさせてもらっていたよ……いや、今となっては俺の方がそう勘違いしていた、と言った方が正しいかな?」



「何か随分と意味深な発言だな」



「……」



「そうでもないさ。それなりに付き合いは長いつもりだったが、そんな……素の、とでも言えば良いのか、スィリィ嬢を見たのは初めてでな。彼女の“活発さ”と言い“実力”と言い、俺としては色々と驚いているところだ」



「ちなみに補足して置いてやるが、今のお前の考えは正しいぜ? イチ」



「……」



「――そうか、それは嬉しい誤算だな」



「さあて? 喜ぶべきかどうかの判断は未だ早いと思うけどな?」



「……」



「その様子、随分と自分の魅力とやらに自信があるようだな?」



「そりゃ当然! スィリィがそれはもう、子供の時分から俺様にぞっこんらぶなのは当然の――」






「――“凍れ、愚者そこのバカ”!!!!」






「っぉぉ!? いっ、いきなり何しやがるスィリィ!?」



「……」



「れっ、レムの方こそ何て事を言ってるのよ!? 私がレムに、その、ぞ、ぞぞぞ、ぞっこ、」



「ぞっこんらぶ?」



「……」



「そっ、そう、それよ!! 何そんな本当の事を抜け抜けと……バカじゃないのっバカでしょっこのバカ!!」



「……」



「……」



「な、何か言いなさいよっ!?」



「……いや、今の三段活用は新しいな、うん」



「……」



「そ、それもそうね、そうかもねっっ」






「……今のやり取りとスィリィ嬢の様子、成程、言うだけの事はある」






「な、何が今のやり取り、言うだけの事があるっていうのよ!? まるで私がレムに下手惚れして、いや間違ってないけどっっ!!」






「いま君が言った、そのままの意味だ、スィリィ嬢。確かに、貴様の言う様に素直に喜べるわけでもないようだな」



「ああ、だからスィリィをリリアン――W.R.第五位『戦姫』にぶつける手駒に……なんて考えは止めておくことだな」



「……」



「なに、それはそれで想定外の駒がまた無くなっただけの事だ。気にかける事じゃない」



「そういや、それもそうか」



「……」



「それに――どうやら手がないと言う訳でもなさそうだしな」



「……」



「……」



「――さて、その件はどちらに転ぼうとも、お前との約束に関係はないわけだが」



「ま、それもそうだな」



「……」



「だが――そこのスィリィ嬢を相手にと言うのであればわが軍の被害が増えるのは必須……さて、困ったものだ」



「その割にはそれほど困ってないように見えるけどな?」



「……」



「ふふっ、そうか?」



「ああ。……まったく、お前みたいに狡賢そうな奴は相手にしてて疲れるから嫌だね、ホントもう」



「……」



「王とは多少狡賢くなければ務まらないものだ」



「ま、それはあるかもだけど。俺としてはお前みたいな性格よりもスィリィみたいなのの方がン百万倍も好きだけどな」



「……」






「んにゃろえ!? えっと、その、私もレムの事は……だけど急にそう言う事を言われると困るっていうか、困らないと言うか、でも少しだけ覚悟する時間が欲しいと言うか……あぁダメ、何か頬がニヤけるわっ!?」




「――スィリィ嬢は少々直情的すぎる様だからな。俺の様な輩よりは好感が持てるだろうさ」



「よく分かってらっしゃる」



「……」



「伊達や酔狂の次期聖王であるつもりはないからな」



「つーことで、どの道お前には今の俺を捕まえる事は無理だ。つまり、アルカッタへも向かわせない、諦めな」



「……」



「諦めろ? そう言うお前の方こそ、その怪我をした足でどう俺から逃げるつもりだ?」



「逃げるだけってんならたかがこの程度の怪我、手段は色々とあるぞ? それに捕まらなきゃいいだけであって、別に逃げる必要はないしな」



「……」



「確かに、スィリィ嬢がお前の傍にいるのならばそれも可能か」



「ああ」



「……」



「……ふふっ、面白い。やはり貴様は面白いな」



「俺としては、状況的には全然全くちっとも面白くもなんともないんだけどな」



「……」



「そう言うな。俺としてはこうも心が躍るのは久しぶりだ」



「左様で」



「……」



「ああ。それに、いつまでもこのような話に興じていると言うのも些か時間の無駄と言うモノだ。そろそろ、お前を捕まえさせてもらうとするか」



「出来るモノなら、いくらでも?」



「……」



「ふふっ、その強気がいつまでもつか――」



「んなもの、永遠に決まって――ん?」



「……、?」







「ああー、レム兄様、ようやく見つけたー!!」







「……また、何か聞き覚えのある声が聞こえるなぁ。今日は厄日か何かか?」



「……」



「――レム、“兄様”?」



「そしてスィリィ、出来ればその殺気をひっこめてくれ」



「……(ふるふるふる)」


ちょっと、後進気味です。

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