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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
739/1098

ど-440.病人るーる

風邪をひいたときは寒いやら熱いやら喉が痛いやらと色々大変です。



「――油断したなぁ」



「そう、で御座いますね、旦那様」



「動くのは……無理そうか」



「……はい」



「しかし、……――まさかお前の方が熱でダウンするとはなぁ」



「面目次第も御座いません。ここはどうか、旦那様の賞金首一つで許してはいただけないでしょうか」



「いや、勝手にヒトの首を差し出すなよ!?」



「……うぅ、旦那様が大声を出されるので熱が」



「思い切り棒読みなのな、お前」



「ですが辛いのは本当です」



「声だけ聞いてる限りじゃ、とてもそうは見えないけどな」



「旦那様の前ですので強がっているだけです」



「だ、ろうな。そうじゃなけりゃお前が寝たきりってのがそもそもありえないしな」



「……面目次第も御座いません」



「ま、良いさ。それに偶にはこう言うのも別に悪くはないだろ」



「私としては、不本意極まりないのですが……」



「でもどうするかなぁ。今手持ちの――少なくとも俺用に調合したモノじゃお前に効き目ないしな。かと言って材料取りに行くのは、」



「私を一人にしないで下さいませ、旦那様」



「だしなぁ~。俺としても病人を一人放っておいて何処かに行く、とか言うのはなるべくしたくないし」



「誰しも病気の時は気が重くなり、人恋しくなるものです」



「それをお前が言うな、つか病人は病人らしく大人しくベッドの中で眠ってろ」



「……旦那様?」



「あん? 何だよ」



「……何処にも行きません?」



「だから、俺は病人一人放って何処か行くほど薄情じゃないってさっき言っただろうが」



「……そうでしたね」



「おいおい、お前、本当に大丈夫か?」



「少し、熱で頭がぼぅっとしているかもしれません。おかしなことを口走るかもしれませんがその時はどうかご容赦を」



「何、日頃お前が口走ってる暴言の数々に比べれば少しくらい変な事を言われたとしても余裕で聞き流せるっつーの」



「……ふふっ、お優しい旦那様。それでこそ私の大好きな旦那様で御座います」



「――、よし、今のは聞き流しておこう」



「いえ、聞き流さずともよろしいですよ?」



「あ、そうなのか?」



「はい。私の心よりの本心ですから」



「……何だか、お前にある事ない事質問したくなってきた。今のお前なら実に俺好みの返答を返してくれそうな気もするし、」



「旦那様がお望みとあらば、なんなりとご質問をなさってくださいませ」



「いや、でも止めておく」



「……何故でしょうか?」



「だーかーらー、病人は病人らしく寝てろって事だよ。ほら、俺なんかの与太話に付き合ってないで寝た寝た。お前ならこの程度、一晩か――最悪でも二晩も寝れば良くなるだろう?」



「はい、恐らくは――」



「なら早く眠って、元気になれって事だ。今日はもう大人しく寝とけ」



「でしたら……あの、旦那様、一つよろしいでしょうか?」



「あん? まだ何かあるのか?」



「いえ、本当に……本当に些細なことなのですが、」



「些細なことだってんならさっさと言ってみろって。別に取って喰いはしないし」



「――手を」



「?」



「……手を、私が寝るまでの間、繋いでいては下さいませんか?」



「何だそんな事? 別に良いぞ」



「では旦那様、どうぞこちらに」



「……それで、布団をまくってお前は俺を何処に誘ってるつもりだ?」



「良いぞ、と仰って下さったではありませんか」



「手を繋ぐのを言いと言った覚えはあるが、添い寝とか白と注文された覚えはないな」



「では今します」



「却下」



「……偶には私の我儘を聞いて下さってもよろしいのでは御座いませんか?」



「ゃ、偶にはって、お前の場合は――……って、あぁもうっ、お前が病人だからだからなっ! 今が特別であって別にやましい事を考えてるとかそういうのは一切ないんだからなっ!!」



「私としては、やましい事を考えて下さっても一向に構わないのですが……」



「えぇい、うるさいっ、病人は大人しく寝てろっ。ちゃんと注文通り、お前が寝るまで添い寝して手を繋いで出やるからさぁ!!」



「……私が起きるまで」



「……」



「……」



「――分かったよ!! お前が起きるまで傍にいて添い寝してて、手をつない出りゃいいんだろっ、そうしますよええそうさせて頂きますよお嬢様っ!!」



「……ありがとうございます」



「だから――あぁもう、寝ろ」



「――はい、優しい優しい、私の旦那様」


【ラライとムェの修行一幕】


「……師匠」

「なに、ムェ」

「寒いです」

「それは大変。ムェ、風邪でも引いた?」

「いえ、そうじゃなくって……」

「風邪より酷い? それはもっと大変」

「いや、そうでもなくてですね、師匠」

「? ならどうして寒い?」

「いやここ雪山!! 普通に寒いですからっ!!」

「……驚愕の新事実」

「ちなみに、師匠が寝ぼけたまま僕を引きずってここまで連れてきたんですからねっ! しかもありえないほどの軽装のままでっ!!」

「……そう言う時も、ある?」

「普通はないですよねぇ!?」

「……がんばれ、ムェ」

「出来れば師匠も頑張って下さい」

「師匠の分も、弟子は頑張るもの。頑張れ、ムェ」

「……取り敢えず、早く山を降りよう。はぁぁぁ」



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