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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
725/1098

ど-427. 無償奉仕、活動中

……無理。



「もうつかれたー、家に帰るー」



「旦那様、そう仰らずに」



「いーやーだー、疲れたったら疲れたんだよー」



「軽く七日不眠不休で働きづめなだけでは御座いませんか。何を弱気な事を仰られておりましょうか」



「――んだけ頑張ってるんだからむしろ偉いよ、俺!?」



「はい、旦那様は偉いですね。ですからもっと頑張りましょうね?」



「いや! と言うかそもそも俺はどうしてこんな事をしてるだ!?」



「何やら先日、この街の近辺の街道に大きな落とし穴を掘った悪漢がいるようでして。しかも場所が商人の方々が良く利用されている道で、今現在大変な被害が発生しているとあらば、恐らくは何者かの妨害工作ではないかと町の方々は今大変殺気立たれておられる様子で御座います。ご存知でしたか、旦那様?」



「へ、へぇ、そうなんだ。いや、俺はずっと奉仕活動をしてたからな。は、初耳だな、それは……」



「そうだと思われます。旦那様へのそのような情報は私の腕をもってして遮断いたしましたので。しかし旦那様、その落とし穴は人間業ではないかのように、非常に深い穴だそうなのです。そう、例えば仮に私が落ちた場合でも、そう易々とは登ってこられないような……はて、そう言えば最近、これと似たような話を聞いたような気がいたしますね?」



「さ、さぁ? 何の事だか俺は良く分からないなぁ」



「左様で。しかし旦那様も思いますよね、悪漢は、何故そのような場所に穴を掘ったのか、などと。――ね、旦那様?」



「……」



「ね、旦那様?」



「……ああ、そうだな。うん、そいつはまた、困った事をする奴もいるもんだよなー」



「はい、本当に」



「で! そんな事とは全く!! 関係ないわけだけどっ、俺はどうしてこんな無償奉仕みたいな、具体的に言えば草むしりとかどぶ荒いとか町の屋根を一つ一つ綺麗にして言ったりとか、そう言う事をやらなきゃいけなんだ?」



「お嫌で?」



「いえ、全く! 誠心誠意、頑張らせていただきますっ!!」



「そうですか。それでは旦那様、程良く力尽きるまで頑張って下さいませ」



「もう力尽きそうなんですが、と言うか身体痛いし眠いし、散々だ」



「ではお止めになられますか? 私は、それでも構いませんが?」



「いえ滅相も!! 頑張らせてもらいますっ!」



「そうですか。ではそちらの窓ふきが終わりましたら、次は三丁目の山田さんの家にお届けモノを――」



「って、三丁目ってどこだよ! っていうか、ヤマダさんって何!?」



「……、いえ、このような時はこう言うのが形式美であると、何処かで聞き及んだ気がいたしましたので。それと旦那様、ヤマダと言うのはやはり何者かの名前であると推測されます」



「……ヤマダ、ヤマダ、ねぇ。なんとなぁ~く、鬼族には居てもおかしくはなさそうな名前に思えるけど……」



「ヤチマタ、と言うモノならばいたように記憶しておりますが、ヤマダと言われると少なくとも私は記憶には御座いませんね」



「ああ、俺も……ないな。――と言うか、ヤマダとか心底どうでもいいし」



「そうなのですか? あれほどまでに楽しげに語っておられたと言うのに」



「語ってねぇよっ。つか今は無償奉仕の話だ。次の無駄かつ無茶な無理難題が特にないのなら俺は速やかに休みたいんだが?」



「実はですね、旦那様。この街の方々、商人の方々が寄り付かなくなってしまったせいでお金に困っているらしいのです。と、言う事で旦那様がドンと大金を稼いで街に寄付しますと……」



「いや、そこまでする義理は流石に――」



「そのような発案を私がした所、村の方々には大変喜んでいただけました。ですので旦那様、既に言質も取られておりますので、後はひたすら馬車馬のように働き尽くして頑張るのみで御座います、頑張れ、旦那様っ」



「――って、既に逃げ道なし!?」



「あ、いえ。正確には既に寄付をした、と言うのが正しいでしょうか……?」



「……ど、どういう意味だ、それは?」



「その様にびくびくされずとも」



「びくびく軟化してないぞっ、……ほ、本当にしてないからな?」



「そうですか、旦那様がそう仰られるのであれば。それと旦那様、その様に過度に怯えられる必要は御座いません。旦那様には何一つ迷惑をかけてはおりませんので」



「な、ならさっきの言葉の意味はどういう意味なんだ?」



「はい、私がちょっと、散歩がてらに金貨千枚程の価値のレアメタルを採掘、匿名で街に届けただけですので、贈り主が私とばれる事もないでしょうし、旦那様が心配なさる必要は何一つないと断言いたします。どうか旦那様はお気になさぬ様」



「な、なんだ。それなら……、て、あれ? ちょっとまて」



「如何なさいました、旦那様?」



「金貨千枚って、そこそこの大金だよな?」



「少なくともこの街程度の人口であれば向こう一年は生活が出来る程の金額かと」



「……つまり、だれかは知らないけど落とし穴なんてふざけたものを掘ったりした悪漢がだしたとか言う被害は、結果的にはお前のその寄付とやらで十二分におつりがくるほど補えてるわけだ?」



「はい、そうで御座いますね?」



「で、それを踏まえて聞くけど、俺のしてる事って?」



「初めから、無償奉仕ではなかったのですか、旦那様?」



「……」



「旦那様?」



「……ふぅ、これで取り敢えず、窓ふきは終了、っと」



「御苦労さまに御座います、旦那様」



「――って、やってられるか、コンチクショウめっっ!!」



「全ての作業を恙無つつがなくやり終えておいてその台詞……何かの冗談にしては面白くないと進言させていただきます、旦那様」



「……うがっーー!!!!」



【ラライとムェの修行一幕】


「心を研ぎ澄ませよ、さすれば見えてくるものが――」

「……師匠?」

「……くー」

「って、寝てるし!?」

「――見えた!!」

「……師匠、それ間違いなく夢ですから」

「? ……ムェ?」

「はい、師匠」

「? おかしい。今、確か目の前に大量のレム様がいたはず……」

「間違いなく夢の話、と言うか、それってどんな悪夢ですか」

「あと少しで捕まえられるところだったのに」

「あんなのを、捕まえてどうすると?」

「丸焼き?」

「怖っ」

「……ムェ、心を研ぎ澄ませれば、見えてくるものがある。京はそれを見る特訓、……くー」

「全っ然っっ、説得力ないですね、師匠、と言うか聞いてないでしょ!?」



ちゃん、ちゃん、です。


っていうか気がつくと遅くなってました。……今日は忙しかった、と言い訳してみる。



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