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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
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42. どれいと、こおりのあくま

~これまでのあらすじ~

前回に引き続き、両肩にアルーシア、シンカを担いでレム君、カトゥメ聖国の全軍と命を掛けた鬼ごっこの最中。逃げてます、兎に角走って逃げてます。

取り敢えず逃げ切ればアルカッタとカトゥメ聖国の戦争は止まりそう? レム君の両足に多くのヒト達の命が――!!



アルーシア・・・愛称、アル。喋れない女の子。基本的には話しかけても小突いたりしても何の反応もない。人形みたいな子である。よって、レムの独り言が多い。

シンカ・・・リリシィ共和国の神聖な“巫女”様……のはずがレムに着替え覗かれるは拉致されるは、見ず知らずの兵隊(カトゥメの軍隊)に命を狙われるは散々な目に会ってる、可哀想な女の子。恋に恋するお年頃なのはナイショである。



スィリィ・・・スィリィ・エレファン。【冰頂】の魔術師。幼いころに命を救われた自称“魔法使い”に恋して愛に暴走する(?)一途な女の子。ちょっとだけ手くせは悪いかもしれないが、きっとそれも愛情表現の一種である

……と、信じたいところ。



「――ひょっ!?」



「……」



「いいい今わたしの髪の毛を掠りました掠っていきましたよ!? 矢、矢が……それに魔法の雨あられ――ダメです、わたし、もう……」



「大丈夫だ、シンカ。俺を信じろ!」



「……」



「だだだ大ジョブって何が大丈夫、何を根拠ににに――!?」



「根拠? そんなモノはどぶ川から拾ってきたいくらいないぞ?」



「なら今すぐ拾ってきてくださいっ!!」



「んな無茶な」



「……」



「無茶でもなんでも、やらなきゃわたしたち死んじゃいます殺されちゃいますっっ」



「おぉ、何かその台詞恰好いいな。うっしっ、ヤル気が出てきたっ」



「……」



「ヤル気が出たくらいでどうにかなるなら、っっ!!」



「おぉっと、今のはちょっとヤバかったな。そして新たな発見が一つ」



「……」



「ちょっとヤバかったな、じゃないですよぉぉ!? 火、火とか氷とか雷とかの矢が凄い速さでわたしの目の前をびゅって、髪の毛が何本か焦げちゃってますっっ」



「安心しろって、シンカ」



「……」



「安心!? 周りを見てもわたしたちを殺そうとする怖いヒト達ばっかりの、何を安心しろって言うんですか、レム様はっ!?」



「だからもう少し落ち着けって。それにシンカはまだいい方だぞ? 俺なんて足やられたし」



「……」



「……ぇ?」



「さっきの火の矢に思い切り貫かれました。いやぁ、“この状況”で無傷で済ますってのは流石に無視が良すぎたみたいだな」



「……」



「……って、冗談ですよね?」



「いや、冗談なんかじゃないぞ」



「……」



「で、でも今だってちゃんと走って――っ、その足……」



「あーうん、だから貫かれたって言っただろう? 正直痛いやら熱いやら良く分からん……と言うよりも既に感覚がなくなりかけてるんだけどなっ!」



「……」



「痛いって、そんなレベルじゃ……それにそんな足で走るのなんて無理――」



「ああ、正直俺もそりゃないだろ、って思ってる」



「……」



「……あ、そう言う事ですか。もう、レム様ってば、こう言う時にそう言うおふざけは止めてください。本当に足を怪我したのかと驚いちゃったじゃないですかっ、もうっ」



「ん? いや、だから足は怪我してるぞ? もう感覚ないし、正直現実を直視したくなくなってきてるんだが」



「……」



「そんなこと言って私を騙そうとしてもだめですよ。本当に怪我をしていたのなら、こんなに早く走れるはずがないじゃないですかっ」



「ああ、それ? つか俺としては今すぐにでも立ち止まって傷の手当てをしたいと言うのが本音なんだけどな。……良いか、シンカ、落ち着いてよく聞けよ?」



「……」



「……何か、デジャビュを感じます。聞かない方が、良い様な……」



「どうにもこの魔術、暴走しちまってるっぽい。足が勝手に動くし、無茶苦茶痛ぇし……なあ、コレどうやったら止まってくれると思う? つか壁とかにぶつかってもまだ直進しようとしたらどうしよう?」



「……」



「ぃ、いやああああああああああああ」



「ゃ、叫びたいのは俺の方だし。痛いし痛いし疲れたし。……俺は今、何で走っているんだろう?」



「……」



「も、もうヤダ。おろ、おろしてぇぇぇ……」



「ちょ、シンカ。いきなり身を乗り出すな落ちようとするなっ、危ないじゃないかっ!!」



「……」



「やあぁ、もうおウチにかえるぅぅ……」



「――ふっ、仕方ない。ならばもうこの手しか残ってないようだなっ! ……なあ、シンカ。俺の話を聞いてくれ」



「……」



「……な、なんですか?」



「こんな話を知ってるか? 戦場じゃ、平常心を失った奴から死んで行くんだ。ちょうど、今のシンカみたいにパニクってる奴は特に……な」



「……」



「ちょ――冗談でも本当でも今そんな事言わないで下さいよぉぉ!!!???」



「と、言うのは軽いジョークを交えた本当の話で、本題はこれからだ、シンカ。良いか、良く聞けよ? ……それとアルはアルでさっきからずっとピクリともしないわけだが、大丈夫だよな? ちゃんと生きてるよな??」



「……」



「ほ、本当の話なんですか。わたし、死んじゃうんだ……姉さん、ごめん……なさい。シンカはやっぱり、姉さんみたいになる事はできませんでした」



「はいそこっ、諦めモードに入らないっ、大丈夫だって。俺に任せておけば万事解決さっ☆」



「……」



「……根拠もなにもないのに、そんな慰めなんて要りません」



「だから大丈夫だって。こう言う時こそ、この転移石のでば――」






「――アイス・ブレイクッッッ」






「……」



「……凍ってますね。それと――ぁ、粉々」



「うそぉ~ん」



「……」



「それとレム様、わたし、それを使うのは嫌ですからっ!!」



「バカなっ、いくら転移石(劣化バージョン)だとしても、実はSクラスは下らない魔具だぞっ!? そう易々と壊されるはずが――」






「ようやく、追いついたわ。……それにしても女の子を両手に担いで良い身分よね。ご機嫌、如何かしら――レム・アイリアス?」






「……」



「だ、だれっ??」



「……ヒトチガイデス」






「人違い? 後ろ(こっち)を見てもないのに人違いって分かるの?」






「エエ、ソウデス」



「……」



「……こ、このヒトと知り合いなんですか?」



「イエ、マッタクシリマセン」










「ふぅん、そう。……なら、それでもいいわ、その容姿に生まれた幸運を嘆きながら逝きなさい――」



「――ちょ、いや待てスィリィ!! 話せば分かるっ!! いくらなんでも今の状況はちょっとまずいんだってっ!! 落ち着いて話そうっ!!」



「そう言う言い訳が、私に通じると――」



「だからマジだってっ!! お前だってこの二人を巻き込むとか、そう言う事は本意じゃないだろっ!?」



「……む、それは、確かに。その子たちに罪はないかもしれないし」



「それに今の状況! 俺、お前んとこの軍隊に追われてるんですよっ!? 逃げなきゃ俺の命が危ないのっ、どぅ、ゆぅ、あんだすたんっ?」



「……、……、……成程、理解したわ」



「そ、そうか。理解してくれたか。それはよかっ――」






「“蒼き清浄なる世界よ、全てを凍て、静止させなさい”――エタニティ・エンド」






「ちょま、全然分かってねー!!!!!!」






――世界が、景色全てが蒼く凍りつき、“静止”する。





◇◆◇





――一方、そこから少し離れた場所での出来事。



「……ふっ、遂に私の時代が来たようですね。今こそ波に、びっく・うぇいぷにのるときなのですっ!!!」



きゅっ?



「――おーけぇい、ルル。私は正常です。ちゃんと落ち着いてます。その上で、合えて断言しましょうっ。今こそ私の時代の幕開けであるとっ!」



きゅきゅっ??



「うむ? その根拠ですか? いえ、ただ何となくなのです。強いて言うならば私の外れた事のない直感がそう告げているの」



きゅぅ~



「いざ往かん、我らが戦場に!」



きゅー!!












「……アレ、何かしら?」



「ちょ、レアリア。あーいうのには関わらない方が良いって――って、あれ、何処かで見た事あるような……?」



取り敢えず。


赤い子が動きだしそうです。


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