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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
714/1098

ど-419. 託すもの、託されたもの

……何事もなく。


「うん?」



「如何なさいましたか、旦那様?」



「……いや、何か変なもの拾った」



「変なものですか?」



「ああ。海の上を流れてどんぶらこっと」



「旦那様、拾い食いを止めてくださいとは申し上げませんが、どうかご自愛のためには控えてくださいますよう」



「いや、いつも俺が拾い食いしてるみたいな言い方は止めてくれない!?」



「それで今回はどのような奇怪なものを拾ってしまわれたのですか?」



「これなんだが……」



「小瓶、ですか?」



「ああ。一見ただの小瓶なんだけど何か妙な感じがするんだよなぁ」



「……確かに旦那様の仰られる通りですね。何やら妙な感じが致します」



「だろう?」



「では旦那様、私は端の方へ退避しておりますので、お気を付け下さいませ」



「待て」



「なんでしょうか? それとももしや、せめて犠牲は旦那様お一人でと言う私の思いやりは伝わりませんでしたか?」



「いや、それは思いやりとは言わないと思う」



「そうだったのですか。それは知りませんでした」



「……とか言いつつも、やっぱり離れていくのは何故だ?」



「旦那様、ふぁいとっ」



「……まあ良いけどな。――せめて小瓶の口はお前に向けて開封してやる」



「旦那様、酷いです、鬼畜で御座いますっ」



「ちゃっかり退避してるお前に言われたくはないな、それは」



「それもそうですね」



「って、認めるのかよ」



「潔いのは私の数少ない欠点の一つですので」



「……誰が潔いって?」



「ただし時と場合を選びます」



「それはちょっと、潔いとは言わないと思う」



「では旦那様、こちらの準備も完了いたしましたので、いつでもどうぞ」



「準備?」



「はい、旦那様から向けて、小瓶から何かが出てきたと仮定した場合、見事旦那様へと反射するように結界の角度を調整するのには苦労致しました」



「……思えば、ビンの口をお前に向けて開くなんて非道な事、しちゃ駄目だよな」



「いえ、遠慮なさらずに。旦那様のためを思えばこそ。私の方も既に準備は万端に御座いますので」



「その準備とやらが問題なわけだが……」



「ご心配なさらずに。抜かりは御座いません」



「抜かりがあってくれた方が俺としては助かるんですが……?」



「さあ旦那様、いつでもどうぞっ!」



「……ここは妥当な線で空に向けて開封するか」



「そうで御座いますね。それが宜しいかと」



「……じゃあ、開けるぞ」



「はい」



「よし、――、?」



「旦那様にしては珍しく、何も起こりませんでしたね?」



「あぁ、そうだな。……中に何か入ってるな?」



「手紙でしょうか?」



「どうにもそれっぽいけど、何々……『あなたに最後の希望を託します』だってさ。最後の希望? なんのこっちゃ」



「最後の希望を託されてしまいました」



「いや何そこ真面目に受け取ってるの!?」



「如何なさいます、旦那様?」



「如何って言われてもなぁ……んで、最後の希望って一体何の事だ? 小瓶の中身はこれでもうカラだぞ?」



「――どうやらその手紙から妙な感じがするようですね」



「コレか? ……んー、この手紙一枚が、最後の希望?」



「状況から考えると、そうかと。こちらの小瓶の方はどうやらただのガラスの小瓶の様ですので」



「この紙切れ一枚が最後の希望、ねぇ……んん?」



「如何なさいましたか、旦那様?」



「いや、今ちょっと妙なものが見え――っと、……何か出てきたな」



「本、ですか? それが本当の最後の希望?」



「ああ、多分な。態々異空間作って結界張って閉じ込めて……って、随分と手間をかける奴だなぁ。何だか最後の希望ってのにもちょっとだけ興味がわいてきたぞ」



「それで旦那様、そちらの本はどのような?」



「まあ慌てるなって。えっと、タイトルは……、……――」



「旦那様?」



「……『ラストストーリー・オブ・下僕一号様-下僕一号様よ、永遠に-』って書いてあるんですけど?」



「ふむ、やはりあれはシャトゥの筆跡でしたか」



「気付いてたんなら言ってくれると嬉しいのですが!? ……俺、期待してて損したよ。てか何が最後の希望だよ」



「たしかファイ様の写真集はファイ様の手によって全て破棄されたと聞き及んでおりますが、最後の希望とは恐らくそのような意味かと」



「……はぁ。取り敢えず、この本はファイにでも送っておくか」



「宜しいので?」



「いや、俺興味ないし」



「そんなっ!? いつもの旦那様であればファイ様が恥ずかしがる様を嫌らしい笑みを浮かべつつ楽しまれると言うのに!! 如何されてしまったのですか、旦那様っ」



「いや、そんなことしたことないし。勝手に俺の過去を捏造するなよ。あと過剰演出もいらないから、それ」



「そうですか。ではそのように。……それで旦那様、そちらの本は?」



「言った通りファイにでも送りつけることにする」



「シャトゥが悲しみそうですね?」



「ま、それは自業自得だ。悲しませておけばいいさ」



「成程。今回はファイ様ではなく、シャトゥの泣き顔を見て楽しまれるのですね」



「いや、だからそれ違うし」



「では旦那様、」



「なんだよ、まだ何か言う気か?」



「そちらの本はファイ様へと届くように、承りました」



「最初からそれだけ言っててくれよ。ったく。……んじゃ、頼んだ」



「はい」



【ラライとムェの修行一幕】


「今日もムェを鍛えます」

「……」

「? ムェ、寝てちゃ駄目。修行の時間だから、起きる」

「……」

「……私も眠くなってきた」

「……」

「お休みなさい、ぐー」

「……――ぁ、っと。ここは……? あぁ、そっか、僕、師匠に半殺しにされて気絶して、イテテッ」



今日も今日とて平和な一日でありますように。


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