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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
709/1098

41.5. どれいと脱走劇2

~これまでのあらすじ~

両肩にアルーシア、シンカを担いでレム君、カトゥメ聖国の全軍と命を掛けた鬼ごっこの最中。逃げてます、兎に角走って逃げてます。


アルーシア・・・喋れない奴隷の女の子。基本的には呼びかけても反応すらもない、人形みたいな子。

シンカ・・・リリシィ共和国で“巫女”なんて言う偉い役目をしていた女の子。絶賛、レムに誘拐され中。不幸(?)街道まっしぐらな。



「待てと言われて待つ奴がいるかぁぁぁ!!!」



「……」



「うん、ごめん、アル。今のはちょっと、ノリ的な感じで言ってみたかっただけだ」



「……」



「だから悪かったって。今は反省している」



「……」



「でも、追手は相変わらず遥か後方だし、楽勝だなっ! ――って、一つ問題を除けば本当に使い勝手が良いなぁ、この“韋駄天”とか言う魔術」



「……」



「ん? 心配してくれるって? ありがとな、アルはやっぱり優しいなぁ」



「……」



「でも大丈夫、ちゃんと分かってるって。こういう風に事態がスムーズにいってる時に限って良くない事を起こされる……もとい起きるのは慣れっこだしな」



「……」



「はははっ、……何だか自分で言ってて悲しくなってきたぜ」



「……」



「……ふぅ」






「……あの~?」






「ん? おお、シンカ。やっと起きたか」



「……?」



「さっきから何独り言を呟いてるんですか、変態さん。凄く不気味です」



「独り言言うな。俺は楽しくアルとお喋りしてるだけだ」



「……」



「……お喋り?」



「そうだ」



「……」



「……楽しく、お喋り?」



「――そう言う事にして置いて下さいお願いします。だって全部が全部独り言とかだったりしたら俺が寂しすぎるじゃないか。なあ?」



「……」



「なあ、と言われても……十分独り言だと思いますけど?」



「……ふぅ、やっぱり人から言われるのは違うなぁ。これが言葉の重みってやつなのか、もしかして」



「……」



「いえ、違うと思いますが」



「そうか。……まあ、しかしなんだ、シンカも一度目はあれだけ暴れてたのに、二度目ともなるともう慣れたのか?」



「……」



「二度、目……? ――って、わた、わた、」



「綿菓子?」



「……!!」



「綿菓子! ――って違いますそうじゃなくてっ!!」



「今、アルが凄い反応を示した気がする」



「……」



「何でわたし、また抱かれてるんですか!? それに二度、二度目って……!?」



「ん~、気のせいか? いや、でもなぁ?」



「……」



「二度、抱かっ……そ、そんなっ、わたしもう……?」



「――あ、もしかして……綿菓子?」



「……」



「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ」



「ん~、何の反応もなし、か。見間違えじゃなかったとしても、何かアルを反応させる為のツボみたいなものがあったりするのか? ん~」



「……」



「おろっ、降ろしてくださいっ!!」



「――っと、こらシンカ、そんなに暴れてると危ないぞ?」



「……」



「そんなっ、二度じゃまだ足りないって言うんですかっ!? この変態鬼畜!!」



「何だ、その謂れなき罵倒は。出会いがしらにへたれ認定された事のある俺から見ても今の発言は酷いと思うぞ?」



「……」



「わたっ、わたしの事を二度も抱き……汚して置いて何ですかその言い草はっ!!」



「いや汚してないし」



「……」



「せき……この責任はどうしてくれるんですかぁ……赤ちゃん、出来ちゃったらどうしよう」



「っていうか、さっきから人聞き悪い事ばっかり言うなよ、シンカ。……何か心無し、後ろの追手の覇気が上がった気もするし。冗談じゃねえ」



「……」



「わたしをバカにしてるんですかっ! 男のヒトに抱かれたら赤ちゃんが出来ちゃうことくらいわたしだって知ってるんですよっ、はぐらかそうとしても無駄なんですからっ!!」



「……今すぐシンカの教育係を殴りにいきてぇ」



「……」



「わたしじゃ飽き足らずお姉ちゃんまで!?」



「よし、そのお姉ちゃんとやらに会ったら問答無用で一発殴っておく事にしよう。あ、でも女の子相手だからデコピンくらいで勘弁しておくかな?」



「……」



「まっ、マデューカス姉さんは変態さんになんか負けないんだからっ!!」



「……までゅーかす?」



「……?」



「そうだよっ! W.R.(ワールドランク)の保持者で凄く強いんだからっ、貴方なんて、変態さんなんて姉さんにかかれば――」



「……あのー、シンカさん。つかぬ事を窺いますが、マデューカスってもしかしてもしかしなくてもあの根暗ねーちゃん事、陽気な街の情報屋さん、他人のプライバシー大好き“情報士”マデューカスで合ってたりする?」



「……」



「姉さんは根暗じゃないもん!!」



「……わお、驚きのご姉妹、発見」



「……」



「だからだからっ、変態さんなんて、変態さんなんて……う、うぅ……」



「まあ取り敢えず少し落ち着け、シンカ。そして重要な事を一つ教えておこう」



「……」



「まっ、まだ何かひどい事をするつもりなんですかぁ!?」



「いや、しないし。そもそもしてないし。んで、これが重要な事なんだが――シンカ」



「……」



「な、なんですか……?」



「確かにな、男に抱かれれば赤ちゃん出来ちゃうっ……とか言う事は一般的にはその通りだが、シンカの言ってる意味での“抱かれる”ってのは意味が違うから」



「……」



「――ぇ?」



「具体的にはおしべとめしべが――、って何が悲しくて俺はそんな恥ずかしい事をこんな逃走中に教えて聞かせにゃならんのだっ!?」



「……」



「……ぇ?」



「だから、シンカの言ってる“抱く”とか“汚す”とかは意味違い。俺は誓って何もしてません、この身は潔白でーす。……と言うよりも少し冷静に考えてみようぜ? さあシンカ、落ち着いて俺の後ろを見てみよう」



「……」



「後ろ……? ――な、なんですかあの兵隊さんたちの数は!? やっぱり変態さんが何かふしだらな事を……」



「だから違うし。魔狼から逃げたのは覚えてるよな? 俺が担いで逃げたの」



「……」



「は、はい。それはなんとなく、ぼんやりと……」



「ぼんやりと、なぁ……まあそれでもいいや。それでな、魔狼から逃げる際に、勢い余って軍隊の中に特攻を噛ましてしまった訳だよ、これが。はっ、はっはぁ~!」



「……」



「……バカですか、あなた」



「いや、だからちょっと勢い余っちゃったんだってば。急にそんな冷静に返されても」



「……」



「バカなんですね、変態さんって」



「だから俺は変態ではないっての。それで、まぁ色々とありまして、結果がこの命を掛けた鬼ごっこ」



「……」



「あの、命って……まさかわたしたちの命もそこに――」



「当然入ってるな」



「……」



「……何でわたしがこんな目に。わたしはただ、邪神フェイドから神殿を、故郷を守りたかっただけなのに……」



「ドンマイっ、その内いい事あるさっ。……ない時もあるけど」



「……」



「変態さんにだけは言われたくありません!!」



「だから俺は変態じゃないって。まだ着替え覗かれた事を根に持ってるのか」



「……」



「……当然じゃないですか!! 男のヒトに裸を見られたの、初めてだたって言ったじゃないですか!!」



「ヒトってのはそうして一歩一歩、成長していくんだよ。勉強になってよかったな、シンカっ」



「……」



「酷いよ、こんなのあんまりだよぉっ!?」



「そうだよな、こんな世の中、酷い事ばっかりだよな。大体何で俺はこんな兵隊どもに追われるような事態になってるんだ?」



「……」



「あなたが悪いことしたからですっ!!」



「俺の話、ちゃんと聞いてた? と言うかどんな脳内変換があっての結論だ、それは」



「……」



「……うぅ、家に帰りたいよぅ」



「遂に現実逃避が始まったか……うん、俺も昔はそうだった。その気持ちはよぉぉく分かるぞっ」



「……」



「助けて、マデューカス姉さ――、」



「ん? シンカ、どうかし――いや、これは……」



「…………」



「――、――、――――」



「おーい、シンカー、こっちゃ帰ってこーい」



「……」



「――ぁっ」



「やあおかえり、シンカ」



「……」



「ぁ、はい、――……ただいまです」



「んで、早速だけど今のが多分噂に名高い巫女の予知ってやつだろ? 何を視たんだ?」



「……」



「わ、分かるんですか?」



「まあ、初見だったけど雰囲気とか、そう言う感じでな。似た感じの奴も知ってるし。……それで何を視た?」



「……」



「それはえっと、……――ぁぇ?」



「あえ?」



「……」



「なっ、何でもありませんっ、少なくともあなたには関係のない事ですっ」



「? 何を視たか知らないが、何か態度が変わってないか、シンカ?」



「……」



「そそそそんな事は全然、全然っないです!!」



「いやおかしいだろ、それは。と言うか何いきなり動揺してる?」



「……」



「動揺なんてしてないもん!!」



「してるだろ。伝わってくる胸の鼓動だってこんなに激しく――って、ははぁん、成程そう言うことか」



「……」



「そう言う事って何ですかっ」



「ふっ、しかし困ったな。予知で何か、俺の事を視たな? そしてズバリその雄姿にシンカは惚れたと見た! どうだこの迷推理!!」



「……」



「~~っっ」



「――って、あれ? ……ここは『あなた、バカ?』とかそんな感じのセリフが返ってくる所じゃないのか? あのー、シンカさん? 何で黙ったままなんですか、っていうよりもしかして……図星だったり?」



「……」



「あ……呆れてものが言えなかっただけだもんっ!!」



「……」



「……」



「な、なに、何か言いたい事でもあるのっ!?」



「いや、別に。と言うか、この話はもう止めよう。色々と藪をつつきそうな勢いだし、何よりもうそろそろのんびりしても居られなそうだし、なっ」



「……」



「のんびり――って、ぇ!?」



「よぅし、それじゃあ――」



「……」



「あの、変態様?」



「何その地味な嫌がらせ。つーか何で急に“様”づけ?」



「……」



「えっと、それはその……そ、そう言えばまだ貴方のお名前、聞いてませんでしたしっ」



「それと“様”づけと何の関係があるのかは知らんが……そう言えばそうか? まだ名乗ってなかったか」



「……」



「はい、変態様」



「“様”づけは止めて。つか変態様って……その偉そうなんだかバカっぽいのかどっちつかずな呼称はどうなんだ?」



「……」



「では、なんて呼べば……」



「――取り敢えず、レムってでも呼んでおけっ。レム・クルジェ……って、相変わらず適当なネーミング」



「……」



「分かりました、レム・クルジェ様。……ところでその、早急に聞きたいが一つ……」



「なんだ? 聞きたい事あるなら今のうちだぞっ? 今から目の前の何か屈強っぽい兵隊さんの群れに飛び込む予定だからっ」



「……」



「やっぱりですかっ!?」



「ああ。何があるかは知らないけど、アルの希望だし、取り敢えず直進中なので目の先の雑魚共には蹴散らされてもらう予定」



「……」



「け、蹴散らすって……出来るんですか?」



「と言うよりも――……まあ落ち着いて聞いてくれ、シンカ。それとアルも」



「……」



「な、なんでしょう? 何か嫌な予感しかしませんけど……」



「その予感は正しいと言っておこう」



「……」



「そ、そういう不安を煽るような事は良いですからっ。それよりも一体何を言いたいのか……」



「実はな、曲がれないんだよ」



「……」



「……ぇ?」



「今、“韋駄天”っていう魔術を使ってるんだけど、初めてだからかどうにも慣れなくてな。ぶっちゃけ直進しかできません。しかもブレーキも効きそうにないし」



「……」



「……」



「いや、困ったね、こりゃ」



「……」



「困ったねって、困ったねってそれじゃあどうするんですか一体!?」



「うん、まあどうしようもないかなって結論だから、今から目の前の集団に突っ込む予定。と、言う事でしっかりと掴まっててくれよ、二人とも?」



「……」



「――ぃ」



「っしゃぁ、特攻パート2、行くぜっ!!!!」



「……」





「ぃやああああああああああああああああ!!!???」


逃げよう。

うん、逃げよう。


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