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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
707/1098

ど-414. どんぶらこ

波に揺られて、どんぶらこ、です。

何故か二人は今、船の上。


「そう言えばさ、ギルドの依頼とかどうなったんだ? まだこなしてないのが幾つかあったと思うけど……」



「あちらでしたら全てキャンセルしておきました」



「キャンセル? でもそうしたら確か違約金を払わなきゃいけなく……」



「ええ、はい。旦那様が苦労し汗水たらして稼いだお金をほぼ全額寄付致しましたら快くキャンセルを認めてもらえましたよ?」



「……ぜんがく?」



「はい、ほぼ全額」



「……本当に俺が汗水たらしただけの事はあるくらい、金額としては結構溜まってたはずなんだが?」



「はい、ギルド局員の皆様方、大喜びで御座いました」



「そりゃ喜びもするだろうよ」



「と言う訳で今私たちはお金が御座いません。旅をしようにもその資金が御座いません。そして旦那様に一つ御進言したい事が御座います」



「なんだよ」



「資金のやりくりはもう少々考えてなさった方が宜しいかと」



「ってか全額何処かに寄付しやがったのはテメェだよ!」



「旦那様が無茶な数のご依頼を引き受けたりするからです」



「その依頼を受けたのがそもそもお前だってことを覚えてらっしゃいますかぁ!?」



「当然では御座いませんか。旦那様が望まれたとおりに依頼を粗方受けてきた事をしかと覚えております」



「全部、お前が勝手に受けてきたのですが!? と言うよりも気付いたら大量の依頼を受けさせられてたんですが!!」



「そうで御座いましたね?」



「つまり、何から何まで全てお前のせいと言う訳なのだが、何か弁明する事は?」



「申し訳ございません、旦那様」



「……ぉ? 今日は何か、やけに素直――」



「どうやら旦那様の密航がばれてしまったようで御座います」



「――……どゆこと?」



「いえ、ですから申し上げた通り、旦那様の密航」



「はいそこでストップ、そして最後の言葉復唱!」



「旦那様の密航?」



「……それ、おかしくね?」



「何処もおかしなところは御座いませんが?」



「何で俺、密航とかしちゃってるわけ?」



「旦那様、犯罪はいけませんよ?」



「いや、でもほら、ここにちゃんと切符だって――」



「ああ、そちらは私が匠の技で作り上げた偽造品で御座います」



「相変わらず無駄な事に力使ってるなぁ、お前は!!」



「お褒めいただき恐悦至極に存じます」



「褒めてねぇ。でもこれが偽造って事はつまり、」



「旦那様は無断で! この船に乗っておりますねっ?」



「つか声でかいよ、お前!!」



「ご心配なく。ワザと周りに聞こえるように声を大きくしただけですので」



「余計性質悪いよ!!」



「む? ――旦那様、こちらに来る足音多数。どうやら何者かが旦那様の密航を告げ口したようで御座います」



「ズバリお前だろうがっ!」



「いえ、私は単にここで声高らかに旦那様との会話を楽しんでいただけですので。それに私旦那様の不利になるような事をするとでもお思いですか?」



「一、切符の偽造。二、偽造した切符を平然とした顔で俺に渡しやがった。三、俺が稼いだ金全部、勝手にギルドに寄付、四、告げ口まがいの大声での会話――おー、軽く上げただけでも四つもあるな!」



「旦那様、そのような些事よりも今は差し迫る危機を何とか致しませんと」



「……流しやがった、こいつ」



「ちょっとしたお茶目では御座いませんか。旦那様の寛大とはほど遠い矮小な御心でお許しくださいませ」



「うんご免、俺の心って矮小だからさ、許せるものも許せないよね?」



「さすが旦那様、心が狭い」



「……お仕置きに何をしてくれようか」



「私への謂れなき仕打ちを悩むのは勝手ですが、さしあたっては接近してくる傭兵達を何とかなされた方が宜しいかと」



「何とかって言われてもなぁ、ここ、海の上だし」



「逃げ場が御座いませんね」



「そうなんだよなぁ……」



「旦那様は遠泳はお好きですか?」



「泳ぐくらいなら俺は飛んで逃げる」



「それはつまり私に飛ばしてほしいと言う事ですねっ」



「誰も“殴り”飛ばしてほしいなんて一言も言ってないから。これ見よがしに拳を振り上げようとするの止めい」



「ではどうなさるおつもりで?」



「……まー取り敢えず、このまま甲板にいるってのも捕まえて下さいって言ってるようなもんだし、ここらで降りとくか」



「了解いたしました、旦那様」



「よっ……と」



「おぉ、旦那様が海の上にお立ちに――」



「って、んな如何にも驚いた、みたいな風芸は良いからお前もさっさと降りてこいって」



「旦那様は風情と言うモノをお分かりになられていないので困ります」



「そんな風情は要らないから」



「そうでしたか。それは失礼を」



「良いから、さっさと来いって」



「……旦那様」



「なんだよ、だから早く――」



「私をちゃんと受け止めて、下さいね?」



「――て、は?」



「えいっ」



「――、っっ!!」



「流石は旦那様」



「……つーか、そう言う訳のわからない行動は止めて欲しいのだが?」



「いえ、旦那様にお姫様抱きをしてもらう良い機会かと唐突に閃きまして」



「そう言うのは閃かなくて良い。と言うか、頼むんであれば普通に頼んでくれ、お願いだから」



「では今後そのようにいたします」



「そうしてくれ」



「はい。……それで旦那様、これから如何なさるのですか?」



「まあ……歩くしかないだろ?」



「次の陸地までですか?」



「……気長に行こうや」



「そうですね、旦那様」



「……ま、海の上を散歩ってのも悪くないだろ」



【ラライとムェの修行一幕】


「……(ぶくぶくぶく)」

「……どうしよう、ムェが浮いてこない」

「……(ぶくぶくぶく)」

「でもこの泡が出てるうちは大丈夫……て、聞いた気がする」

「――ぶはっ!!??」

「ムェ、お帰り」

「……(ぶくぶくぶく)」

「また沈んだ。……ムェは根性が足りない」

「……(ぶくぶく、ぶ)」

「……泡がなくなった? ムェも亡くなった??」

「――」

「たいへん、ムェを助けないと。でも濡れるのは嫌」

「――っあ!!!」

「ムェ?」

「って、だからこの重りは無理だってそう言って」

「うん、元気そうで良かった」

「全然、元気じゃありませんって!!」

「それじゃ、もう一度いってみよう」

「じょ、冗談――」

「ごー」

「うそぉぉぉ――……」




ぽちゃん


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