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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
703/1098

ど-411. 歌姫

……む?


「知ってるか?」



「はい、存じております」



「そうか」



「はい」



「……」



「……」



「……って、俺まだ何も言ってないんですけど?」



「何やらこの街に有名な歌姫が来訪されているらしいですね。名前はスフィレイア――と言いましたか」



「らしいな――……と言うか、お前良く俺が言おうとしてること分かったな?」



「旦那様の事ですので」



「それは俺が単純と言うことか、それとも単にお前が俺の事を理解してるって意味で言ってるのか、どっちだ?」



「そのような問いかけしか出てこないとは、本当に旦那様は単純であらせますね?」



「……ふっ、どうせそんな事だろうと思ったけどなっ」



「それで旦那様、その歌姫がいるとのことですがそれが如何されたので? やはりいつも通り見にいこうという事でしょうか?」



「そのいつもどおりってのはどういう意味だ、おい」



「いえ、大した他意は御座いませんが……そうですね、ではこのようなところでどうでしょうか。『……おっと、悪い』『あ、いえこちらこそ御免なさい――っ、ぁ』『お?』『……ごっ、ごめんなさいっっ』『……いや』――といった具合に偶然を装って出会いと接触を試みるといった、」



「お前、見てたのか?」



「……」



「あ、いや、何でもない。今のは気にするな」



「はい、了解いたしました旦那様」



「うん、いやぁ、別に何でもないんだからなっ」



「しかし既に時遅しでしたか。私が目を離した僅かな隙にこのような……流石は旦那様」



「……流石とか言いつつ、若干目が冷たい気がするんですが? と言うか今のは忘れてくれって言ってるだろ。別に何でもないから」



「そうですね。それに仮に旦那様が件の歌姫と偶然を装った出会い方をして、その貞操に狙いを定めているとしても私に旦那様を止める権利はありますが意思は御座いませんので」



「いや、装うとかじゃなくってあれは本当に偶然……」



「……」



「いや、何でもない」



「……それはそうと旦那様、あちらの方で何か催仕事を行っているそうですが、行ってみませんか?」



「お、おおそうだな。何かヒトが集まってて何やってんのかなーとか思ってたからちょっと行って見る――」



「歌姫の歌が聞けるそうです」



「……」



「……」



「……ふぅ、仕方ない。お前がそこまで言うのなら認めてやろうじゃないか。ああそうさ、あくまで偶然だけどレイアとひと悶着あったさ、あああったともっ、それがどうかしたのかよっ!?」



「“レイア”と、既に愛称でお呼びですか。流石は旦那様、手が早い」



「よし、落ち着け。先ずは落ち着いて、俺の話を良く聞け」



「私は十二分に落ち着いておりますし、旦那様の話など聞かずとも既に十分何が起きたかなど把握しきっております」



「……本当か?」



「はい。何でも歌姫様はとある貴族から熱烈な求愛をされているそうですね?」



「……らしいな、と言うかお前は一体どうやってそういった情報を集めてくるんだ?」



「五割は街の方々の噂話でしょうか? ほら、旦那様にも聞こえますでしょう?」



「いや聞こえないし。つか、噂話とか小言とか、こうやって普通に街を歩いてるだけで漏らすことなく聞きとれるのはお前くらいだっつーの」



「そうとも限りません」



「いや、そうだろ」



「最近、マレーヌ様が頑張っておられます」



「……マレーヌの奴め、無駄な努力を」



「では旦那様、参りましょうか」



「……え、何処に?」



「歌姫の歌を拝聴しに」



「ああ、まあ、そうだな。お前が全部分かってるって言うのなら隠す必要もないし――」



「ついでにバカな貴族とやらを懲らしめましょう」



「……お前、今さらりと怖い事言ったな?」



「怖い事? はて、なんのことでしょうか、旦那様」



「お前がそうやって無表情でとぼけると、本当に何のことかわからなくなるな。流石天然ポーカーフェイス」



「貶されました」



「まあ貶したが」



「旦那様に、穢されました」



「それはそれで違う意味になってくるから止めろ。あと通行人の何人かに誤解されたっぽいんだがどうしてくれる」



「今更旦那様に恐れる誤解など御座いません」



「あるに決まってるだろうが、てか勝手に断言するな」



「あるのですか!?」



「……それは驚き過ぎ。つか、俺の事を十分に理解してくれてる奴が目の前にいてくれてありがたいよ、本当に」



「いえそのような事は……」



「ちなみに今のセリフは皮肉だ」



「はい、分かっていて照れてみました」



「……だよなー」



「では旦那様、空気の読めない無能で低能で権力を笠にした貴族様を退治しに参りましょうか」



「いやいや、主旨が変わってるし」



「旦那様、様々に発生する責任問題は全てお任せしますのでどうかよろしく」



「っておぉい!?」



「信頼って素晴らしいですね、旦那様」



「……それは絶対、信頼とかじゃないと思う。つか、軽いイジメ?」



「私が旦那様を虐めるなど、とんでもない。愛情表現の一種と捕えて下さればよろしいかと」



「無理」



……特に面白い小言が思いつかないなぁ、と。

今日も世界は良い具合に平和じゃないです。


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