ど-46. 哀しい事に、旦那様とは…呼べません
だって、ばれちゃいますから♪
「…おい」
「はい、如何用でございましょう?」
「お前さ、俺をここに連れてくるとき確かこう言ったよな。アルゼルイのあのタヌキ学長が俺に用事があるって呼んでる、ってさっ!?」
「多少文面は異なりますが…ええ、はい。確かにそのように申し上げたと心得ております」
「で、ここは一体どこだろうな」
「分からないのでしょうか、と少々疑問に思ってしまうのですが…いえ、ある意味では当然の帰結と言えましょう。ここはどう穿った見解をしても詰所、もしくは牢屋以外の何所でもないと思われますが?」
「いや、俺が言っているのはそう言う場所的な意味合いじゃなくてだな、今ある俺の現状についてなのだが」
「では一言だけ申し上げさせていただきます。いい加減、潮時でしょう。お身をお清めになられる事を強く推奨いたします」
「いや待てだから事実無根だと、おま、ちょそれ何受け取ってるんだよっ!?」
「…申し訳ありません。もう一言、忘れておりました――フトコロがほかほかです」
「だからどうしてお前が金を…つかそれはあれか、俺に掛かってた懸賞金か、そして俺を売ったな、売りやがったな、お前」
「御冗談を。私は早々に罪に対して御身をお清めになられてはいかがでしょうか、とお勧めさせて頂いただけでございます。あ、あと皆様方、ご心配には及びません。このようにしかとお体を拘束させていただいておりますので例え『幼女監禁拉致不純猥褻調教』を働いた!……容疑の掛かっておりますこの方と言えど下手な事は致さないでしょう。心を広く、ご安心して連行してくださいますよう、お願い魔申し上げます。ええ、それはもう早急に」
「いや待てだからこれは冤罪だって頼むから信じて下さいよ皆さんこんな純情そうな俺がそんな酷い事するわけないでしょ――って、ますます状況が酷く!?」
「流石、自ら墓穴を掘られになられましたね。あまりの潔さに些かながら感服してしまいました」
「だから俺は無罪――」
「ではしばしの別れではございますが、ご帰還を心よりお待ちしております――……旦那様」
本日の一口メモ〜
『はっちゃけてみよう』
レムくんは結構なマザコンだったりします。…と、言うよりもお母様の教えが無意識にまで刷り込まれてる?
所詮、レムくんの人生なんて女難の相で始まって、女難の相で終わるのですよ。
う、羨ましい奴め。
旦那様の今日の格言
「…冤罪」
メイドさんの今日の戯言
「無知とはこの世で最もたる罪にございます」