表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
【キックス編】
661/1098

Early X. キックス-18

今日は駄目です、短いです。そしてやる気と時間がない。


――まるで人がゴミのようだ


キックスはぼんやりとそんな事を思っていた。


目の前には魔物、魔物、魔物。見渡す限り魔物しかいない。

それが刻一刻と迫ってくるのにもはや何の感慨も抱かなかった。ただ、ヒトが――つまりは“自分”がゴミのようだ、とだけ思った。あんなものに巻き込まれればひとたまりもないんだろうなぁ、と。



「キックス、頑張ってください!」

「キーくん、がんば!」



後ろではノノーツェリアとツェルカの二人が何か言っていたが、さほど気になりはしない。

一応最後の望みとかで二人に魔力の回復具合を聞いてみたのだが、全然らしい。おまけに不思議と普段よりも回復が遅いらしい。

ノノーツェリアの実力は詳しくは分からないが、仮にツェルカが万全ならば迫りくる魔物の群れの、せめて半分程度は削ることができるはずなのに――と、キックスは思っていたりしたのだが、ないものはないので仕方ない。


もうあれだ、このままじゃ確実に死ぬことが決定なわけだが、かと言ってキックス自身、ノノーツェリアが動こうとしなければ逃げられなかったりするので正直お手上げの状況だった。もし逃げる事が出来たとしても、後ろにある街への被害は相当なものになるだろう――もっともその時自分は生きていないだろうが。


本当に、覚悟を決めるしかないと言うことか。



「僕の人生も、これで終わりかぁ……」



後ろの二人に聞こえると色々と拙いことになりそうだったので、溜息を吐くように小声で辞世の言葉となるかもしれない言葉を吐き出す。




「でも、ま――余り見っとも無い姿は見せられないよなぁ」


少なくとも、自分が死んでも後ろの二人には生きていて欲しいと思うのだ。なんとなく、深い理由などそこには存在しない。


武器を――とはいっても手持ちの武器などご主人様から渡された用途不明の小枝くらいしかなかったので情けない姿だが――それを構える。

彼に何時も付いているくすんだ銀髪の彼女から渡された羽飾りが魔力を吸い取るとか言う凄いかもしれないアイテムだったから、もしかするとこのただの小枝に見えるものも何かすごい力が隠されているのかもしれない――と、余り希望は持ちすぎず、それでもちょっとだけは期待しておくことにする。

少なくともツェルカが持っていたナイフで傷一つつけられなかったのだから、武器としては使えるだろう。



「――よしっ、掛かってこい、お前たち!!」





威勢よく言った言葉を――キックスはすぐさま取り消したくなった。


何せ本当に魔物たちがキックスに向けて掛かってきたのだから。近くにある町など目にもくれない様子で、本当に一点に集中するように、数百の魔物たち全員が一匹残らず殺到してきた。



「チャンスだよ、キーくん。ここは一発、大技で蹴散らしちゃえ!!」



そんな技、持ってません。

ツッコミを入れた句でもできなかった、と言うより迫りくる恐怖に足がガタガタと震え始めていた。


初めての実践がこんな形とか、あんまりじゃありませんか? などと思っていても魔物たちは当然待ってはくれないわけで。



「キックス、群る雑兵を蹴散らすのです!!」



だから無理だって。

万全の状態のツェルカならばそれも可能かもしれないが、少なくともそれができる技量をキックスは持ち合わせてはいない。隠された実力とか、そういう持ち合わせのないものは一切抜いて。



この状況で生き残る可能性があるならば――それは一秒でも早くこの群れの“頭”を倒して、一気に逃げる事。それくらいしか思いつかない。


見た限り――何か指示を出していそうな個体はいない気もしたのだが恐らくはこの量だ、見逃してしまっただけだろう、と。



「――すぅぅ……ふぅぅぅ、よしっ!」



呼吸をして、日頃の訓練を思い出す。少しは震えが収まった気がした。

あの地獄のような訓練に比べれば、この程度――は、やはり無理だと思った。



今できる事は、前へ。ただ前へ。



「う、おおおおおおおおおおおお!!!」



雄たけびを上げて、キックスは魔物の群れへと向かい特攻を掛け――



「お、おぉ?」



かけれなかった。

先頭の魔物がもう鼻の先に迫った距離で、急にそれ以上進めなくなってしまったから。

ここまで全力で駆けてきて、予定ではその勢いのまま魔物たちの群れを駆け抜け中枢部へ――なんて考えていたのだが、勢いも何も合ったモノじゃなかった。



「――ちょっ!?」



足をどれだけ動かしても、全力で足掻いても空回るだけ。一歩たりとも前へと進めなかった。



「キーくん!!」

「キックス!!」



二人の声がなくとも分かっている。

先頭の魔物――カニのような生物が、大きな爪のついた片腕を振り上げて、キックスに振りおろそうとしていた。


【アルとレムの二言講座(ツッコミ役:レアリア)】



「今日も働いたなぁ!」


「……」


「アルもお疲れ様、そして頑張ったアルには何かご褒美をあげよう。何が良いかなー?」


「……」



「っていうかあんたら、見かけなかったけど今日何してたのよ?」



「ん? アルと一緒に昼寝。なー、アル?」


「……?」


【お終い】


何か色々と、だめ。

疲れてるっぽいです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ