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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
o メイドさんとご主人様
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ACT XX. スィリィ-1


この物語は本編とはちょっと距離があります。



「っ、はぁはぁはぁ」



寒い。身体が冷たい。

わたし、このまま死んじゃうのかなぁ…?


意識はもうろうとしていたけど、お医者様が今夜がトウゲだって言ってたのを聞いた気がする。



原因不明の不治の病。生まれた時からずっと、体が冷たくなっていって、最後には凍えて死んでしまうと思われる、病気。

それがわたしがかかっているモノ。


まだしたいこといっぱいあるのに。ともだちとだっていっぱいあそびたいのに。



冷たいよぅ。




「…ん、ここか?」



「っ!!」



きいた事のない、声。



すこしだけ目を開けると、知らないヒトが開いた窓の傍にいた。


真っ黒い布をぜんしんにかぶった、顔は見えないけどこわそうなヒト。



……トウ賊だ!!


わたしはどこまでついてないのだろう。ただでさえ病気なのに、もしかしたら今すぐこのヒトに殺されてしまうかも…!そうじゃなくても……。



だいじょうぶ、だいじょうぶ。眠ったふりをしていればどこかにいってくれるかもしれない。



「えっと…まあ、起きてるのは分かってるから」



「っ!!」



ばれた?…ばれたっ!!


わたし、ころされちゃう!!!



「そう緊張しないで。俺は単なる……まあ至極一般的な男だと言っておこう。それに君に用事があってきたんだよ、スィリィ・エルファン嬢」



そっと、そっと少しだけフトンから顔を出して、そのヒトの事を見る。



「…なに?わたしなんて、どうせ直ぐに死んじゃうんだから、なんのかちもないですよ」



声が震えちゃう。


わたしがとても当たり前の事を言うと、どうしてかそのヒトが寂しそうになった気がした。どうしてだろう?



「君は、生きたいか?何を引き換えにしても生きる意思はあるか?」



「……」



そのヒトを見て、まるで死神だ、と思った。とするとあれだ。やっぱり私は今夜死んじゃうんだ。そしてこのヒトはその迎えなんだ。


わざわざわたしに生きたいかどうかを聞いてくれるなんて、優しい死神さんだ。



「どうなんだ?」



でも続けてきいてくるその言葉が、まるでわたしが生きる事を責めてるみたいで、


ずっと抑えてきたものが、溢れ出した。



「……やだよぅ、わたし、まだ死にたくない。まだやりたいこといっぱいあるのに。ともだちとだってやくそくしたままなのに、死にたくなんてない」



「――そうか」



「っ!!」



どうする、のだろう?このヒトは。やっぱりわたしを連れて行ってしまうんだろうか?



「実はさっき一般人だって言ったけどな、あれは嘘なんだ」



「…」



そうなんだ。やっぱりこのヒトはわたしの死神――



「実はね、俺は魔法使いだったりするんだよ。自分で言うのも何だが、結構凄い奴。そして、魔法の力で君の願いを叶えてあげよう」



「――ほんとっ!?」



「…ああ。ただし、これから先きっと辛い目に会うだろうし、死にたい、って思うようになるかもしれない。それでも、やっぱり生きたい?」



「うんっ、わたし、生きたい!!」



「なら――望みを叶えてあげよう。君の…を代償に」



そのヒトは何の前触れもなく手をわたしの胸に押し当ててきて、



「熱っ!?」



手を当てられた胸と、左手に何か熱を感じた。



「…ほぅ、これでもまだ足りないのか。中々」



そのヒトが何かを呟いていたみたいだけどわたしはそれどころじゃない。胸と左手がすごく熱い。熱くて、痛くて…これで死んじゃうんじゃないかって思うくらいに辛い。


いつまで続くのだろう、って思ってたその時間。



「――よし、と」



その声といっしょに、ウソみたいに熱さがなくなった。


あの熱は一体何だったのかな、と左手を見てみると不思議な文様が浮かび上がっていて――



「一つだけ、忠告だ。決して他の人にその刻印を見せてはいけない。分かったね?」



「…うん」



そっか、この文様は“こくいん”て言うんだ、て思いながら。



「これはプレゼント。今はこの手袋で“それ”を隠しておくといい」



「…うん、わかった」



「よし。それじゃ、今はゆっくり休むといい。次起きるときはきっと体調も良くなっているはずだから」


そっと伸ばされた手が、そのヒトの指先がわたしの頭にちょこんって触れて。




そこから先の記憶はない。








十年ほど前の出来事。


その“こくいん”が“隷属の烙印”と呼ばれるものであり、それを刻まれたものは主に絶対服従の奴隷であると知ったのはそれほど後の事じゃなかった。


あのヒトの言ったとおり、わたしは誰にも――家族や近辺メイドたちさえも手と胸の“刻印”を見せなかった。もし見せていたら…きっと全員の態度が変わっていただろうから。


おかげで身の回りの事は自分ひとりでするようになってしまったのが悩みと言えば悩みで、おかげで周りの友達からは変わり者扱いされてしまったりしているわけで。



それが、ちょっとだけ困っていたりする。





しばらく続く…かも?


登場人物紹介は次回に見送ります。



今回の裏話(正直、組み込みたかった…! 会話)


「む、胸触ったぁ!?」

「い、いやその…」

「チカン! ヘンタイ!! あっちいってぇ!!!」

「…済みません」



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