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harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜  作者: nyao
【時々晴れ編】
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 27. ぶゆうでん

発言者候補リスト「リッパー、シャルア、キリル」

……何の候補かは、秘密と言う事で。


☆☆~メイドさんの場合3~☆☆

(メイドさん:最近は? 旦那様を虐めるのが日課らしい、メイドさん)




「……お? みんな落ち着いたみたいだな」


「はい。旦那様が何でも一つ、無条件で皆様の命令を厳守すると言うことで決着がつきました」


「俺のいないところで何勝手に決めてやがる」


「問題ありません。例え旦那様が居られたとしても何一つ変わることはなかったと確信しております」


「……うん、哀しいけど俺もそう思ってしまうのは如何なものかな」


「ちなみに抜け駆けは禁止との協定も結ばれた模様で御座います」


「ふぅん……で、抜け駆けってのは?」


「旦那様を巡る所有権でしょうか」


「ふっ、つまりは――……お、俺をぼこる権利が誰にあるとかじゃないよな?」


「はい。そちらは皆様、私に譲って下さいました」


「譲るなよっ!? つか、んな権利はそもそもお前にもねえよ!?」


「冗談です」


「……、だ、だと思ったぜ」


「旦那様? 汗をかいておられるようですが、皆様の熱気にあてられましたか?」


「うん、少しだけな」


「そうですか。――では旦那様?」


「なんだよ」


「旦那様からも何か皆様にお返しをしては如何ですか?」


「……え?」


「まあ、お返しをするほどの甲斐性もなければ度胸もやる気も気遣いもないと言ってしまえば旦那様らしいとも言えるのですが」


「いや、そもそもさ、その俺のお返しって言うのが恐怖の皆からお願いを一つだけ何でも聞くってやつじゃないのか?」


「それは私から皆様方への、労いを込めたお贈り物です。ヒトの手柄を勝手にご自身のモノにしようなど、旦那様にも程が御座います」


「なに、その手柄って? つかそれで身体張るのは俺の方だろうが。お前の方こそ、何一人だけ安全圏内で『私、良いコトしました』みたいにしてるんだよ」


「私、大変良い事をしました」


「全然よくねぇよ!? 俺にとっては災厄以外の何でもないじゃねえか!!」


「そのように大々的に皆様のお願いを聞くのは嫌だと仰られては、皆様方が大変悲しまれてしまいますよ?」


「うぐっ、……そうは言うけどさぁ」


「あの、『お前たちの事は俺が守ってやる。だから安心しろっ!』との雄姿は一体どこへ行ってしまわれたのですか」


「……あれ、俺、そんなこと言ったっけ?」


「いえ、旦那様がそのような凛々しい事を仰られた事は御座いませんし、少なくとも私が聞き及んだことは御座いません」


「だよなぁ。それにお前が聞いてないって事は俺も多分、言ったことなんてないだろうし」


「つまり凛々しい旦那様と言うのは全てが例外なく夢妄想幻想の類であるというこれ以上ない証拠であると――」


「そんな事はない。俺はいつだって凛々しいし、恰好良いだろうが」


「そうで御座いますね、旦那様♪」


「……何故だろう、肯定されたのに全然肯定された気がしないぞ?」


「相も変わらず旦那様は意気地がないほどに我儘で御座いますね」


「いや、我儘に意気地とか関係ないから」


「では旦那様、旦那様が旦那様の仰られた通り、常に凛々しく恰好良く、すれ違う女性と言う女性が一目見ただけで恋に落ちてしまうほどの美男子であるかどうかという事を皆様にち尋ねてみてはいかがですか? 幸いなことに、これだけの人数がいれば偏見や個人的な趣向もなくなるでしょうし」


「それもそうだな。俺の意見とお前の意見、果たしてどっちが正しいのか、こういうことは大衆に確かめ――、……」


「旦那様、如何なされましたか?」


「……いや、何でもない」


「そうですか? では早速、皆様方に私と旦那様、どちらが正しいかということの採決を」


「いや、いい。それはもう良いから」


「ですが、」


「うん、もう良いから。だからこれ以上は何も言うな」


「そうですか。何やら今の大変落ち込まれておられる旦那様は皆様の目を見れば尋ねる必要もなく一目で答えが解ったとばかりのお姿に見えるのですが、旦那様がそう仰られるのでしたら、それで」


「……大丈夫だ。此処にいるヤツらはあくまでこいつに洗脳されているからであって、別にこれが世界一般的な見解と言う訳では断じてないはずだ、そのはずなんだ」


「それはそうと旦那様、話を戻しますが、旦那様は感謝の印として皆様に何か贈られるモノはないのですか?」


「んな、急に言われてもなぁ」


「旦那様は皆様方の、期待に満ちた目が見えないのですか?」


「――ぅ、まぁ、折角こういうのを考えてくれたんだから、お返しに何かって言うのは吝かでもないんだけどさ。……例え俺の気が全然休まらなくてアレ、これの趣旨っていったい何のためだったっけ? とかと疑問に思っていたとしても、だ」


「では旦那様から何かしらの御褒美を皆様にお贈りすることに否はない、と?」


「ああ。でもなぁ、急にの事だし、一体何がいいか……ま、直接聞いてみるっていうのも有りは有りな訳だが……」


「それでは些か趣きに欠けると思われます。そういうことは、旦那様が御自らお選びになられるからこそ宜しいのではないかと」


「ま、だよなぁ。ん~、じゃ、何をしようかねぇ。感謝の言葉――だけじゃありきたりだし、俺としてもそんなものを貰っても全然嬉しくもないしなぁ」


「私は旦那様より感謝の言葉を頂けるのは、大変嬉しい褒美で御座いますが?」


「あ、そ。んじゃ――日頃からどうもアリガトな、……て、言う程度でも嬉しいのか?」


「心が感じられません」


「ほら、みろ」


「ですが例えどのような理由言い訳言い逃れがあろうとも……嬉しいモノは嬉しいです、よ? ――私の旦那様」


「う、む……あ、そ、そうか」


「はい」


「……」


「不意打ちは苦手ですか、旦那様?」


「いや、そんな事はないぞ?」


「そうですか。で次からはこのようにして旦那様の隙を付けばよいのですね?」


「や、だから別に苦手じゃないって」


「大丈夫です、旦那様。私も、そして他の皆様方も重々に承知しておられますよ」


「な、」


「ね、皆様方?」




『はいっ――!!!!』




「や、止めろ。そんな目で俺を見るな、見ないでっ!?」


「ふふ」


「……と、言う冗談はこのくらいにして、まあ少し動揺してしまったのは確かだが、別に苦手ってほどでもない」


「旦那様は意地を張っておいでです」


「いや、だから別に……と、この意味のない問答はいい加減止めにするとして。そうだなぁ……昔話、でもしてみるか」


「私と旦那様の睦み事で御座いますね?」


「いんにゃ。俺が今まで如何に苦労してきたかの、実体験兼苦労談」


「――旦那様、僭越かとは存じ上げますが、誰一人としてそのような話を聞きたいとは思っていないと」


「え、いやそんな事はないだろ。大体、一人くらいは……」




『――』




「一人くらいは、何でしょうか、旦那様?」


「……ちっ、なら仕方ない。じゃあ俺の武勇伝でも語るか」


「武勇伝? 旦那様の? 旦那様の武勇伝?」


「えぇい、二度も言うな、二度も聞くなっ。俺が武勇伝を語って悪いかっ」


「……旦那様に武勇伝など有るのですか?」


「あるに決まってる。お前は俺を何だと思ってるんだ」


「旦那様は旦那様ですが……そうですか、あるのですか。少なくとも私は皆様方に語れるほどの武勇伝に一つ足りと思い当たる節がないのですが、いつの間にそのような武勇をなされたので?」


「……や、色々とあるだろ? ほら、色々とさ」


「色々……そうですね、ではつい勢い余って私と一緒に旧五大商家の一つ、サルタナを潰してしまわれた事など、どうでしょうか?」


「あれはちょっとした若気の至りだった。うん、今になって思うと少しやり過ぎた気もするし、語って聞かせるようないいものじゃないな」


「そうですか。では突然全国制覇するなどと仰られて、私と一緒に全世界お酒巡りをした事など如何です?」


「あれは頭の痛くなる思い出だなぁ。ちょぉぉと、前言に撤回が出来なくてついあんな下らない事を。今になって思うとなんつー苦い思い出だよ」


「これも駄目ですか。では――」


「いや待て。と言うか、お前は何他の奴らの前で俺の恥部を喜々としてばらしてやがるか」


「恥部ですか? 私は旦那様の武勇伝を思い起こしているだけですが?」


「武勇伝じゃない。武勇伝じゃないぞ、全然」


「ではどのようなモノが旦那様の仰られる武勇伝なのですか?」


「武勇伝っつーたらあれだ、何千、何万と……もしくは数多の立ちふさがる強兵つわもの達を斬った投げたとバッタバッタと倒していき、最後にお姫様とか、可愛い女の子を救い出してハッピーエンド、みたいなのを希望」


「ありましたか、そのような事?」


「……思い当たる節がない」


「そうですね、私も確かにそのような事は……、おや? そう言えば一つだけ思い当たることが」


「何だとっ!?」


「旦那様ご自身が驚かれてどうするのですか」


「いや、でも、なぁ? ……あれ? そんなおいしい出来事とかって、あったか?」


「いえ。少なくとも旦那様に関しては御座いませんね?」


「だよなぁ。あったらあったで、俺なんてもう喜々として吟遊詩人の語り部にしてるはずだしな」


「吟遊詩人の語り部と言えば一番の定番はやはり『魔王と黒白の勇者の物語』では御座いますが?」


「あんなもののどこが面白いかねぇ。つか、一言でまとめりゃ、世の中で悪い事をしていた魔王を勇者が倒して世の中は平和になりました、めでたしめでたしってだけの話だろう?」


「……」


「話だろう?」


「そうですね、旦那様の仰られる通りかと」


「そんな面白味のかけらもないモノよりも、やっぱり俺の武勇伝――」


「などと言うモノは存在しませんので」


「……」


「存在しないモノを作るとなればそれはもはや創作、妄想と変わりありませんね? 旦那様の妄想話ならば、今度一度書物にしてみますか? 妄想だけは磨きがかかっている旦那様の作品とあれば、それなりの好評が得られるものと私は考えているのですが?」


「……そう言えばお前さっき、思い当たることが一つある、とか言ってたよな?」


「はい。旦那様の事ではなく、しかし吟遊詩人の語り部にも語られていない、知られていない物語。皆様に語って聞かせるには、良いものかと」


「ん~、そんな事……まあそこそこ思い当たるものがあるな。俺に関しての事が一つとして思い浮かばないのが実に不愉快だが」


「皆様に語れる類の、旦那様の武勇伝は存在しませんので。それは致し方ない事に御座います」


「……ふっ、あの頃は俺も若かった」


「何かあるように語ってみても無駄ですので、悪しからず」


「……」


「では、皆様に武勇伝を語って見せる、と言う事で旦那様の一発芸は宜しいのですね?」


「一発芸!? つか、いつの間にそんなことに!?」


「はじめからその話だったではありませんか」


「……あれ、そうだったか?」


「はい、そうで御座いました。むしろそれしか話しては居ないと断言させていただきます」


「いや、一発芸とかなら別に俺の恥ずかしい昔話を語って聞かせなくとも――」


「別に旦那様の恥ずかしい昔話ではないのでご安心を」


「……それはそれで、何か納得いかないモノが」


「では旦那様たってのお望みと言う事ですので、旦那様の十八番のひとつ、裸踊りを――」


「って。何でそんなもの十八番にしなきゃいけないんだよ、つか今まで一度もしたことないわ、んなことっ!!」


「えー」


「……何で不満そうなんだよ」




『えー』




「いやっ!! だから何で他の奴もそこで不満を!? 見たいのかっ、お前らは俺の裸踊りをそんなにみたいのかっ!?」




「「「――見たいですっ!!!!」」」




「誰だっ!? 今、見たいとか言った奴は誰だ、今すぐ出てきやがれ、おいっ!!」


「仕方ありませんか。――旦那様を剥きましょう」


「何が仕方ないんだよ!? つか、剥くとか、いきなり物騒な事を言ってるんじゃねえっ!! ――て、何で他の奴らもその変な手の動きは何だ、そして近づいてくるんじゃねえ!!」


「良かったですね、旦那様。大変人気があるようで」


「こんな人気は全然嬉しくねぇよっ!? と言うより、何で俺の裸踊りとかで一致団結してるんだ、お前らはっ!!??」


「旦那様の人望の賜物かと」




『人望ですっ!!』




「嬉しくねぇぇぇぇ!!!!」


「――皆様、突撃ですっ!」




『はいっ、お姉様!!!!』




「くそっ、何でこんなことに……っ! ・…………あれ、というより、俺の日頃の苦労を労うとかいう話は、一体どこに?」




いつも最後の方でレム君が酷い目に遭っていくのは、そこはレム・クオリティ。


レム君の武勇伝はないです。そんなのありません。

武勇伝とかじゃない類の話なら結構ありますけど?


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